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第3章 消防設備の備付数量及び備付方法
第1節 第1種船及び第2種船
(自動スプリンクラ装置及び火災探知装置)
第50条 第1種船等及び係留船には、火災の危険のない場所を除き、すべての居住区域、業務区域及び制御場所(制御場所にあっては管海官庁が必要であると認める場合に限る。以下この項において同じ。)並びに居住区域、業務区域及び制御場所内の通路、階段及び脱出経路に、自動スプリンクラ装置及び火災探知装置(煙の濃度に感応する探知器(以下「煙探知器」という。)を配置したものに限る。)を備え付けなければならない。
 ただし、旅客定員が36人を超える第1種船及び係留船以外のものにあっては、自動スプリンクラ装置又は火災探知装置のいずれか1とすることができる。
2. 前項ただし書の規定により自動スプリンクラ装置を備え付ける場合には、居住区域内の通路、階段及び脱出経路に煙探知器を配置した火災探知装置を備え付けなければならない。
3. 第1項ただし書の規定により火災探知装置を備え付ける場合には、当該火災探知装置は、居住区域内の通路、階段及び脱出経路に煙探知器を配置したものでなければならない。
4. 第1項ただし書の規定により第1種船に自動スプリンクラ装置又は火災探知装置を備え付ける場合には、水平区域(船舶防火構造規則第2条第12号の水平区域をいう。)ごとにいずれかの一の装置としなければならない。
5. 第1項ただし書の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場所には、その全域について有効な自動スプリンクラ装置及び火災探知装置(煙探知器を配置したものに限る。)を備え付けなければならない。
(1)第1種船(旅客定員が36人以下のものに限る。)の主垂直区域であって、多層甲板公室(船舶防火構造規則第16条の2の多層甲板公室をいう。以下同じ。)を有するもの
(2)遠洋区域または近海区域を航行区域とする第2種船の多層甲板公室
6. 第1種船等には、通常近づくことができない貨物区域に、火災探知装置を備え付けなければならない。
7. 第1種船及び第2種船(沿海区域又は平水区域を航行区域とする第2種船(ロールオン・ロールオフ貨物区域等を有する船舶であって主機の合計出力が750キロワット以上のものを除く。)を除く。)には、主機、補助機関及び補機が自動制御又は遠隔制御されている程度を考慮して管海官庁が必要と認める機関区域に、火災探知装置を備え付けなければならない。この場合において、管海官庁が当該機関区域の状況を考慮して差し支えないと認める場合を除き、空気温度に感応する探知器(以下「熱探知器」という。)のみを配置したものであってはならない。
8. 第1種船及び第2種船には、車両区域内の閉囲された場所に、火災探知装置を備え付けなければならない。
(関連規則)
船舶検査心得
50.1(自動スプリンクラ装置及び火災探知装置)
(a)「火災の危険のない場所」とは、空所、防火構造規則別表第1備考(9)の衛生区域その他の本質的に火災の危険の生ずることのない場所をいう。
(b)「管海官庁が必要であると認める場合」とは、当該制御場所に常時船員が配置されていない場合をいう。
(c)居住区域を内部に有しない独立した船首楼、甲板室等の内部にある業務区域、制御場所等には、当該場所が火災となった場合に船舶及び人命の安全に及ぼす影響を考慮して差し支えないと認められる場合には、本項の自動スプリンクラ装置又は火災探知装置を備え付けることを要しない。
(d)通常の火災探知装置の作動が困難となる程度に低温の状態が維持されている冷凍区画室(業務区域)にあっては、当該場所の室温が異常に上昇した場合に船橋又は火災制御場所において可視可聴警報を発するよう適当な措置が講じられている場合には、火災探知装置が備え付けられているものとみなして差し支えない。
50.6
(a)「管海官庁が必要と認める機関区域」とは、機関制御室が設けられ、当該機関室内の主機、補助機関及び補機が機関制御室において自動制御又は遠隔制御することが可能な機関区域をいう。
(自動スプリンクラ装置及び火災探知装置の備付方法)
第51条 前条の規定により自動スプリンクラ装置を備え付ける場合には、次に掲げる基準によらなければならない。
(1)自動スプリンクラ装置の表示盤は、船橋又は制御場所に集中配置すること。
(2)スプリンクラ・ヘッドの作動警報を船員が直ちに受けることができるように船橋及び他の適当な場所に装備を施すこと。
(3)1の系統により散水する場所は、船首尾方向の長さが40メートル以下であり、かつ、3以上の異なる甲板上にある場所並びに異なる主垂直区域内の場所及び主水平区域内の場所を含んでいないこと。ただし、管海官庁が差し支えないと認める場合には、この限りではない。
(4)自動スプリンクラ装置の系統を他の部分から分離するための止め弁は、関連する区画の外側又は階段室内のキャビネットであって容易に近づくことができる場所に取付け、その位置を明確かつ恒久的に表示すること。
(5)スプリンクラ・ポンプの海水取入口は、可能な限りスプリンクラ・ポンプの取付場所に設けること。
(6)スプリンクラ・ポンプの点検又は修理をする場合を除き、船舶が水上に浮いている間いかなる場合にもスプリンクラ・ポンプへの水の供給が遮断されないように措置を講ずること。
(7)スプリンクラ・ポンプ及び圧力タンクは、特定機関区域から適当に離れた場所であって、散水する場所以外の場所に取付けること。
(8)スプリンクラ・ポンプの動力源が内燃機関である場合には、散水する場所における火災が当該内燃機関への空気の供給に影響を与えないように措置を講ずること。
(9)第1号の表示盤及び第2号の作動警報を発する装置の試験をするためのスイッチは、第1号の規定により表示盤を集中配置する場所に取付けること。
2. 前条の規定により火災探知装置を備え付ける場合には、次に掲げる基準によらなければならない。
(1)火災警報以外の信号(防火戸の閉鎖及びこれに類似した火災の拡大を防止するための措置に係る信号を除く。)の伝達に流用することができないように取付けること。
(2)火災探知装置の制御盤は、船橋又は火災制御場所に集中配置すること。
(3)火災探知装置の表示盤のうち少くとも1は、前号の制御盤が火災制御場所に配置される場合にあっては、船橋に配置すること。
(4)火災探知装置の表示盤のうち少くとも1は、船員の責任者が容易に近づくことができる場所に配置すること。
(5)火災探知装置の作動警報を船員の責任者が直ちに受けることができるように装備を施すこと。
(6)火災探知装置の作動警報が発せられた場合において、2分以内に信号が確認されないときには、船員の居住区域、業務区域、制御場所及び特定機関区域の全域に自動的に可聴警報が発せられるような措置を講じること。
(7)探知器は、当該探知器の性能を有効に発揮することができ、かつ、損傷を受け、又は機能に影響を受けるおそれのない場所に取付けること。
(8)探知器は、その型式に応じ、探知器相互間の距離、隔壁からの距離等について管海官庁が適当と認めるよう配置すること。
(9)位置識別機能付火災探知装置以外の火災探知装置にあっては、1の探知区域に含まれる室の数は、50以下であること。
(10)位置識別機能付火災探知装置以外の火災探知装置にあっては、1の探知区域は、船首尾方向の長さが40メートル以下であり、かつ、異なる主垂直区域内の場所及び主水平区域内の場所、同一の甲板上にない場所(閉囲された階段囲壁内の場所及び同一の区域として保護される場所を除く。)並びに左右両げん部の場所を含んでいないこと。ただし、ロッカー、船首尾の狭部その他管海官庁が差し支えないと認める場所(第1種船の異なる主垂直区域内の場所及び主水平区域内の場所を除く。)については、この限りではない。
(11)位置識別機能付火災探知装置にあっては、一区画室における火災により他の区画室における火災探知装置機能が損なわれないように配置すること。
(12)第1種船に備え付ける位置識別機能付火災探知装置にあっては、一の系統により探知する区域は、異なる主垂直区域内の場所及び主水平区域内の場所を含んでいないこと。
(関連規則)
船舶検査心得
51.1.2(自動スプリンクラ装置及び火災探知装置の備付方法)
(a)船員の責任者の居室に延長警報を装備する等の措置が講じられている場合には本号の基準に適合するものと認めて差し支えない。
51.1.3
(a)1の狭い居住区域等で「一の系統により散水する場所」に含まれても火災時の安全性を阻害しないと考えられるものである場合には、ただし書の規定を適用して差し支えない。
51.2.1
(a)「これに類似した火災の拡大を防止するための措置」とは、通風装置の停止、消火装置の起動等をいう。
51.2.4
(a)「船員の責任者が容易に近づくことができる場所」とは、船員の責任者の居室内、当該居室に近接した通路内、当該居室が船橋の直下の甲板にある場合の当該船橋内等をいう。なお、船員の責任者の居室が船橋の直下の甲板にある場合の当該船橋に配置された制御盤又は表示盤は、本号の表示盤と見なして差し支えない。
51.2.5
(a)51.1.2は、本号について準用する。
51.2.7
(a)本号の基準の適用については、次に掲げる事項に留意すること。
(1)探知器は、高温ガス又は煙の流れを妨げるようなビーム又は通風用のダクトの近くの場所に取付けられていないこと。
(2)頭上の位置に取付けられる場合にあっては、隔壁から0.5m以上離れた位置に取付けられていること。
(3)定温式スポット型又は補償式スポット型の探知器は、次に掲げる場所に取付けられていないこと。
(i)外部の気流が流通する場所で当該場所における火災の発生を有効に感知することができない場所
(ii)著しく高温となる場所
(iii)取付け面が感知しようとする床面から8m以上離れている場所
(iv)正常時における最高周囲温度の公称作動温度又は公称定温点との差が20℃未満である場所
(4)イオン化式又は光電式の探知器は、次に掲げる場所に取付けられていないこと。
(i)じんあい、微粉又は水蒸気が多量に滞留する場所
(ii)腐食性ガスが発生するおそれのある場所
(iii)通常の状態において煙が滞留する場所
(iv)探知器の取付け面が感知しようとする床面から15m以上離れている場所(光電式の探知器に限る。)
(v)(3)(i)及び(ii)に掲げる場所
51.2.8
(a)「管海官庁が適当と認めるように配置する」とは、表51.2.8〈1〉に掲げる基準により配置することをいう。
 なお、同表によらない方法によって探知器を配置することを認める場合には、必要な資料を添えて海事局検査測度課長に伺い出ること。
 
表51.2.8〈1〉 探知器の配置方法
探知器の型式 各探知器に対する
最大床面積
探知器相互間
の最大距離
隔壁からの
最大距離
熱探知器 37m2 9m 4.5m
煙探知器 74m2 11m 5.5m
 
(b)階段囲壁の内部に備え付ける探知器は、原則として、階段によって接続されている2層のうち上部の層の天井に備え付けることとする(図51.2.8〈1〉参照)。ただし、階段囲壁の内部がすべての層において連続している場合(防火構造規則解釈集27-6.5(a)(1)又は(2)(i)の場合)には、階段囲壁の内部の11mを超えない間隔ごとに1個の探知器を備え付けることとして差し支えない(図51.2.8〈2〉参照)。
 
図51.2.8〈1〉
※ 探知器
 
図51.2.8〈2〉
備考 A及びBは、それぞれ11m以下とする。
 
51.2.10
(a)船舶の幅が20mを超えない場合には、「一の探知区域」は、左右両舷部の場所を含んでいても差し支えない。
(手動火災警報装置)
第52条 第1種船及び第2種船(沿海区域を航行区域とする総トン数2,000トン未満の第2種船(係留船を除く。)及び平水区域を航行区域とする第2種船(係留船を除く。)を除く。)には、居住区域、業務区域及び制御場所の全域にわたり並びに居住区域、業務区域及び制御場所の出入口に、船橋又は火災制御場所に直ちに警報することができるように手動火災警報装置を備え付けなければならない。
2. 前項の規定により手動火災警報装置を備え付ける場合には、発信器は、各甲板上の通路内のいずれの点からも20メートル以内の徒歩で到達することができる位置に配置しなければならない。
3. 第1種船等には、車両区域内の閉囲された場所の20メートル以内の距離に、及び車両区域内の閉囲された場所の出入口に、船橋又は火災制御場所に直ちに警報することができるように手動火災警報装置を備え付けなければならない。
4. 1の発信区域は、同一の甲板上のない場所(閉囲された階段囲壁内の場所を除く。)を含まないものでなければならない。
5. 第51条第2項第1号から第6号までの規定は、第1項及び第3項の規定により手動火災警報装置を備え付ける場合について準用する。
(関連規則)
船舶検査心得
52.1(手動火災警報装置)
(a)「居住区域、業務区域及び制御場所の出入口」とは、居住区域、業務区域又は制御場所のある各甲板における外部への出入口及び階段囲壁の出入口をいう。
52.2
(a)発信器が備え付けられる位置は、原則として室内ではなく、通路内であること。
(船員の招集のための警報装置)
第52条の2 第1種船等には、船員の招集のため船橋又は火災制御場所から操作される警報装置を備え付けなければならない。ただし、船舶救命設備規則第82条の規定により備え付ける警報装置が旅客区域に対する警報とは別に警報することができるものである場合には、この限りではない。
(係留船に対する緩和)
第52条の3 係留船については、管海官庁が当該係留船の用途、係留の態様等を考慮して適当と認める程度に応じて第36条、第48条第1項及び第2項、第49条第1項、第50条第1項並びに第52条第1項及び第2項の規定の適用を緩和することができる。







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