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船舶電気設備関係法令及び規則 〔(資格更新研修用テキスト〕 (強電用)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導等
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


I 船舶設備規程(関連抜粋)
(1)電気設備
第1章 総則
(適用範囲)
第170条 この編の規定により難い特別の事情がある場合には、管海官庁が用途を限定して許可したものに限り、この規定によらないことができる。
2. この編の規定していないものにあっては、管海官庁が当該船舶の電気設備の効用に支障があるかどうかを審査してその使用を承認するものとする。
(定義)
第171条 この編における用語の定義は、次の各号に定めるところによる。
(1)「A種絶縁」とは、次に掲げる絶縁をいう。
イ 木綿、絹、紙又はこれらに類似の有機質材料で構成され、かつ、ワニス類を含浸し、又は常時油の中に浸したもの(以下「A種絶縁材料」という。)による絶縁
ロ ベークライトその他の有機合成樹脂、ポリビニールホルマール又はエナメルによる絶縁
(2)「B種絶縁」とは、次に掲げる絶縁をいう。
イ マイカ、ガラス繊維又はこれらに類似の無機質材料を接着材料により接着したもの(以下「B種絶縁材料」という。)による絶縁
ロ マイカナイトその他のB種絶縁材料と少量のA種絶縁材料とで構成され、かつ、そのA種絶縁材料が損傷することがあっても全体として電気的及び機械的性質を害しないものによる絶縁
(3)「C種絶縁」とは、生マイカ、石英、ガラス、磁器又はこれらに類似の高温度に耐える材料による絶縁をいう。
(4)「H種絶縁」とは、次に掲げる絶縁をいう。
イ マイカ、ガラス繊維又はこれらに類似の無機質材料を珪素樹脂又はこれと同等以上の性質を有する材料により接着したもの(以下「H種絶縁材料」という。)による絶縁
ロ H種絶縁材料と少量のA種絶縁材料とで構成され、かつ、そのA種絶縁材料が損傷することがあっても全体として電気的及び機械的性質を害しないものによる絶縁。
(関連規則)
1. JIS C 4003: 98 電気絶縁の耐熱クラス及び耐熱性評価
 旧版「JIS C 4003: 1977」の基礎となったIEC 60085: 1957が、1984年に大幅改正されたのに伴い、IEC規格と整合させた新版「JIS C 4003: 1998」が発行された。
 この新版は旧版に、相当大幅の改正が加えられており、定義などを正しく理解する必要があるので、その概要を次に示す。
(a)定義
イ. 電気絶縁:電気製品に使用されている絶縁材料及び絶縁システム。
ロ. 耐熱クラス:電気製品を定格負荷で運転したときに許容できる最高温度を基にして決めた電気絶縁の耐熱クラス。
ハ. 温度:絶縁の実際の温度。
ニ. 絶縁システム:電気製品において、導体と組み合わせている単一の絶縁材料又は絶縁材料の組合せ。
ホ. 電気製品:耐熱クラスの指定が必要な絶縁を用いたすべての電気製品。
(b)改正された主な項目
イ. 旧版では、機器絶縁では、Y種、A種、E種、B種、F種、H種及びC種絶縁に区分され、各種絶縁に使用し得る「絶縁材料表」が参考として例示されていた。
ロ. 新版では、電気絶縁の耐熱クラスは、それぞれ耐熱クラスY、A、E、B、F、H、200、220、250、また250℃を超える温度は、25℃間隔で増し、それに対応する温度の数値で呼称する。
 なお、「絶縁材料表」が削除され、適切な使用経験(電気絶縁システムの破壊がある場合又はない場合の使用に関する定量的又は定性的な記録のこと。)又は適切な試験によって絶縁の耐熱性を評価し、耐熱クラスを指定することが決められている。また、適切な絶縁材料及び絶縁システムを選択し、耐熱クラスを指定するのは電気製品の製造業者の責任となった。
(c)新版(1988年版)と旧版(1977年版)との相違点を次表に示す。
 
旧JIS C 4003 新JIS C 4003
表題 電気機器絶縁の種類 電気絶縁の耐熱クラス及び耐熱性評価
適用範囲 電気機器絶縁の種類について規定している。 電気製品の絶縁の耐熱クラス及び耐熱性評価について規定している。
耐熱クラス 機器絶縁は、その耐熱性によって、Y種、A種、E種、B種、F種、H種、及びC種に区別する。 電気絶縁の耐熱クラスは、その電気製品を定格負荷で運転したときに許容できる最高温度を基に決める。
絶縁の種類 許容最高温度(℃) 耐熱クラス 温度(℃)
Y 90 Y 90
A 105 A 105
E 120 E 120
B 130 B 130
F 155 F 155
H 180 H 180
C 180を超えるもの 200 200
220 220
250 250
250℃を超える温度は25℃間隔で増し、それに対応する温度の数値で呼称する。
絶縁材料と絶縁システムの区別 絶縁システムを機器絶縁と称しているが、絶縁材料との区別は必ずしも明確ではない。 絶縁システムの定義が与えられており、明確である。また絶縁材料の組合せによる耐熱性へ及ぼす影響についても考慮している。
電気絶縁の耐熱性に及ぼす使用条件の影響 触れていない。 雰囲気、負荷などによる影響を考慮している。
絶縁材料及び絶縁システムの選択及び耐熱クラスの指定 各種絶縁に使用し得る絶縁材料表が参考として例示されている。ただし、使用した材料が当該絶縁の種類に該当するか否かは機器製造業者自身の責任において確認すべきものである。 適切な絶縁材料及び絶縁システムを選択する責任は、その電気製品の製造業者にある。また適切な使用経験に基づき、又は適切な試験を実施することによって、その絶縁の耐熱性を評価し耐熱クラスを指定する責任も、電気製品の製造業者にある。
絶縁材料の耐熱性評価方法 触れていない。 絶縁材料の耐熱性評価方法としてIEC60216: 1990を参照すること、また、耐熱グラフ、温度指数、相対温度指数及び半減温度幅の定義が役立つことが、述べられている。
 
2. 舶検第76号(40.5.7)
 E種絶縁の発電機及び電動機について
 E種絶縁(JIS規格による。)は承認してさしつかえないものとし、温度上昇限度を周囲温度40℃として下表のとおりとする。
 
(基準周囲温度40℃)
(摂氏・度)
発電機又は電動機の部分 温度計法 抵抗法
巻線 開放型 65 75
全閉型 70 75
巻線で接続する鉄心及び他の部分 75
整流子・スリップリング 70
 
3. 海検第48号(59.12.17)
 (株)帝国電機製作所の製造に係るF種絶縁の三相誘導電動機の設計検査について
 F種絶縁の回転機の温度上昇限度については、下記に定めるところによることとし、特に伺い出ることを要しないこととする。この場合において、F種絶縁の材料については JIS C4003を参考とし、耐熱性に関し十分検討すること。
 
F種絶縁の回転機の温度上昇限度
 F種絶縁の回転機の温度上昇限度は、定格負荷で連続運転したとき又はそれぞれの時間定格に応じて運転したとき、次表に示す値を超えてはならない。ただし、基準周囲温度が40℃以下の場合は、表の値よりその差だけ高くなっても差し支えない。
 
(基準周囲温度の限度40℃)
回転機の部分 F種絶縁
温度計法 抵抗法 埋込温度計法
交流機固定子巻線 *85 100 100
絶縁された回転子巻線 *85 100 -
多層界磁巻線 *85 100 -
低抵抗界磁巻線及び補償巻線 100 100 -
露出した単相界磁巻線 110 110 -
円筒形回転子を有する同期機の界時巻線 - 110 -
鉄心その他の機械的部分で絶縁した巻線と近接した部分 100 - -
絶縁されない短絡巻線、鉄心その他の機械部分で絶縁した巻線に接近しない部分、ブラシ及びフラシ保持器 機械的に支障なく、かつ、付近の絶縁物に損傷を与えない温度
整流子及びスリップッリング 90 - -
(参考)1. 全閉型の回転機では、* 印の数値より5℃高い温度とする。
2. 整流子又はスリップリングに高級な絶縁物が使ってあってもこれに極めて近接した巻線部分に低級な絶縁物がある場合には、低級な絶縁物に対する温度上昇限度による。
3. 同一部分を同時に2つ以上の方法(例えば温度計法及び抵抗法)によって測定することを必要とするものではない。
4. 交流機固定子巻線であっても、5,000kVA以上のもの又は固定子鉄心の長さ(通風ダクトを含む)が1m以上のものでは、抵抗法又は埋込温度計法による。
5. 空気冷却器により強制冷却する回転機の温度上昇限度は、冷却器の入口における冷却水の温度が30℃以下のときは、表の値より20℃高くなっても差し支えない。







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