日本財団 図書館


4・3・2 空中線の取付要領
 空中線の取付け場所の決定にあたっては、船舶電子機器のメーカの工事要領に基づいて工事を行うことが原則である。また、空中線の取付け、配置に関しては“第3章3・3・3空中線の配置”を併せて参照して行うこと。
(1)一般
(1)空中線の引込部は、機器に容易に短く接続できるような位置を選択し、引込線相互の誘導を極力避けるよう装備すること。なお、漁船等では、引込碍子が漁網の山に触れて絶縁低下を起こさぬよう、適当な保護装置を施すこと。
(2)送信空中線の付近に装備している鋼製ワイヤのステーは接地すること。(送信空中線やレーダーの放射電波によって、受信空中線、ワイヤ、船体構造物の一部に電圧を誘起し、人体に衝撃を与えたり、不完全接触部に火花を生じ、放電雑音を発生することを防止するため)
 図4・61に装備例を示す。
 
図4・61 ステーワイヤの接地
 
(3)無線局の開設申請書に記載してある空中線系の型式、構成、高さ、位置などを無線局検査の終了後に正規の手続きを行わないで変更してはならない。
(4)空中線を揚降するには、滑車、シーブ、揚降索などによること。また、揚降索を引留めるにはクリートを使用する。
 両端を固定する空中線には、ターンバックルを使用してもよい。
(5)空中線は、端末から引込み碍子に到るまで、全長にわたり連続したものであること。
(6)空中線用の碍子には、ペンキなど絶縁性能を低下させるようなものを塗布しないこと。
(7)空中線の引込み碍子の取付けにあたっては室内に漏水しないよう防水に注意すること。
(8)空中線を引き込むには、引込み碍子に応力がかからないよう、いったん引留め碍子を用いて船内構造物などに引留めた上、引込み碍子の導体スタッドに接続する。
(9)送信空中線を引込むには危険防止のため、空中線引込筒などを使用すること。
 空中線引込筒は、人体が直接送信空中線に触れないよう、かつ、保守点検を行いやすい構造とし、人目につきやすい所に「高圧危険」の表示を備えること。
(10)同軸ケーブルを送信空中線のフィーダとして使用する場合には、耐電圧、電流容量などに十分余裕のあるものを用いること。
(11)受信空中線の引込みには、受信空中線接続箱、防水接続栓などを用いて、同軸ケーブルに接続して引込むのが普通である。
(2)線条空中線の取付け要領
 線条空中線の装備例を図4・62〜図4・67に示す。
(1)図4・63のセーフティリンク(ヒューズともいう)は、空中線揚降索を使用する場合に、空中線支持構造物と空中線碍子との間に(空中線揚降索側−無線機器に近い側)に挿入する。空中線ワイヤー側に入れると雑音その他不安定の原因になる。
(2)空中線引込部は展張部分とを丈夫に、かつ確実に接続するため図4・64に示すようにボルト形コネクタ又はクランプを使用して強固に接続する。なお、空中線の端末は、スリーブをかぶせて保護する。
 
図4・62 線条空中線の全体装備例
 
図4・63 A部詳細図
 
図4・64 B部(引込部)詳細図
 
図4・65 C部詳細図
 
図4・66 D部(係止部)詳細図
 
図4・67 E部(引込部)詳細図
 
(3)空中線を引込む場合には、引込碍子に応力がかからないように、図4・66に示すように一旦引止碍子を用いて船体構造物などに引止めた上、引込碍子に接続する。この場合、図4・67に示すように引込線はループ状にして余裕を持たせておく。
(4)線条空中線を2条以上を水平部に並行に展張する場合には、水平部の各線条用の間隔は70mm以上とること。この場合、引込みは1本にまとめて行い、各線状にかかる力はそれぞれ均等になるようにする。(図4・68参照)
 
図4・68 2条空中線の場合の間隔







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION