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船舶電気装備技術講座 〔船舶自動識別装置等設置編〕 (レーダー)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導等
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


7・3 航海用レーダー
7・3・1 概要
 航海用レーダー(以下「レーダー」という。)はパルスのマイクロ波を指向性空中線から発射し、その電波が物標に当たり反射して戻ってくるまでの時間から物標までの距離を、また指向性空中線の方位から物標の方位を測定表示する装置である。
 物標は、平面位置表示器(PPI:Plan Position Indicator)に表示され、表示面の有効直径は7インチ(150mm以上)から、10インチ(180mm以上)、12インチ(250mm以上)、16インチ(340mm以上)の種類がある。
 最大距離範囲は24−48海里のものが普通で、120海里までのものもある。
 PPI表示には、アナログ式とデジタル式(ラスタースキャン)のブラウン管表示方式があるが、現在は多くの利点を有する後者が主流になっている。
 ラスタースキャン表示方式は、PPI走査で得られたレーダー映像の極座標位置(距離R、方位θ)を直交座標位置(X、Y)に変換しブラウン管に表示するものである。テレビのように高輝度表示のため、明るい場所で同時に複数の人がその映像を見ることができることが特徴である。
 
7・3・2 構成と機能性能
 レーダーには、空中線、送受信機及び表示器の3ユニット構成と、送受信機を空中線に含めた2ユニット構成がある。前者は保守が容易であり、後者は装備が簡易である。
 レーダーの構成の図7・3に示す。
 
図7・3 レーダーの構成
 
 レーダーの主要性能項目には、最大探知距離、最小探知距離、距離分解能、方位分解能、海面・雨雪反射の抑制特性などがあるが、レーダーの総合性能は送信電力、受信最小感度、受信周波数帯域幅、パルス幅、空中線の水平・垂直ビーム幅、空中線の装備条件等により影響を受ける。
 国際的なレーダー性能基準はIMOのMSC 64(67)決議で、国内では船舶設備規程及び無線設備規則で規定されている。
 レーダーは物標の検出と衝突予防に使用されている。衝突予防には光学プロッターを使用してレーダー表示器上で他船の動きをプロッティングすることが行われてきたが、現在ではレーダー画面上の映像を一定時間間隔でマークすると、その物標の動向をベクトルまたは数値データで表示する電子プロッティング機能がレーダーに組込まれている。
 
7・3・3 AISとのインターフェース(AIS情報のレーダーへの取り込み)
 AISは自船の情報(緯度・経度の位置情報、対地針路・速力等の航海情報、船名・コールサインの自船情報)を他船に送信すると同時に、他船からも同様の情報を受信している。
 これまで、他船の行動は、目視やARPA(自動衝突予防援助装置)等による情報収集に基づき把握しているが、この場合、他船の行動を素早く検知し、その行動を正確に推定することは困難であった。特に、島や突端の裏側に船舶がいる場合などは極めて危険である。
 相手船からのAIS情報(位置情報、航海情報、自船情報)を受信してレーダーに重畳して表示することにより、プロッティング情報に加えて高い精度で相手船の行動を随時把握でき、衝突予防の早期把握が可能となる。また船名、コールサインも表示されるので、衝突危険時に相手船と速やかに通信ができ衝突の危険が著しく低減することが期待される。
 AISからは船名、コールサイン、MMSI番号、IMO番号、自船及び他船位置緯度・経度等の情報が出力され、それらはシリアル信号仕様IEC61162-2を使用してレーダーに取り込まれ、表示される。
 AIS情報をレーダー表示器上に重畳させた表示例を図7・4に示す。
 
図7・4 AISのレーダー画面へのAIS情報表示例
(矢印の○、点線の□)
 
7・3・4 レーダー画像のVDRへの取り込み
 VDRは海難事故の原因を調査する補助装置として、操船に係わるデータや音声を記録に残す装置である。
 操船時の自船周辺のレーダー映像(航行中の他船、航行標識等)に加えて、距離環、方位マーカ、電子プロットシンボル等を15秒に1回の割合で連続12時間記録することが要求されている。
 現在のレーダー表示器はラスタースキャン方式が一般的であり、水平同期信号(H sync.)、垂直同期信号(V sync.)及びカラー映像信号(赤:R、緑:G、青:B)がレーダーから出力されVDRに取り込まれる。


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