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(7)非常電源等の配置
 
第302条の2: 外洋航行船、内航ロールオン・ロールオフ旅客船、係留船及び国際航海に従事する総トン数500トン以上の漁船に備える非常電源、臨時の非常電源及び非常配電盤は、次に掲げる要件に適合する場所に配置しなければならない。
(1) 最上層の全通甲板の上方であること。
(2)主電源、これと関連する変圧器若しくは主配電盤を設けた場所又は特定機関区域内の各場所の外部であって、これらの場所の火災その他の災害による影響をできる限り受けない場所であること。ただし、係留船にあっては、管海官庁が当該係留船の大きさ、構造等を考慮してやむを得ないと認める場合は、この限りでない。
(3)船首隔壁の後方であること。
(4)暴路甲板から容易に近づき得ること。
2. 第287条第1項の非常配電盤からの電路が分電盤を経由するものである場合は、当該分電盤は専用のものとし、かつ、離壁甲板の上方に配置しなければならない。
 
(関連規則)
NK鋼船規則H編
3.3 非常電気設備
3.3.1 一般
-1. 自己起電の非常電源装置が設けられなければならない。
-2. 非常電源装置、関連の変圧装置、一時つなぎの非常電源装置、非常配電盤及び非常照明配電盤は、最上層の全通甲板の上方で、暴露甲板より容易に接近できる位置に設けられなければならない。また、これらの非常電気設備は、例外的に本会が承認した場合を除き、船首隔壁の前方に設けられてはならない。
-3. 非常電源装置、関連の変圧装置、一時つなぎの非常電源装置、非常配電盤及び非常照明配電盤は、主電源装置、関連の変圧装置及び主配電盤を収容する区域内又はA類機関区域内の火災又はその他の災害により、非常電力の給電、制御及び配電が妨げられることのない適当な場所に設けなければならない。この場合、非常電源装置、関連の変圧装置、一時つなぎの非常電源装置及び非常配電盤を収容する区域は、できる限りA類機関区域又は主電源装置、関連の変圧装置及び主配電盤を収容する区域の囲壁に隣接してはならない。
-4. 非常発電機が非常回路以外の回路への給電に使用される場合には、あらゆる状態の下で非常負荷への給電を確保するために、適切な手段が講じられなければならない。
3.3.2 非常電源装置の容量及び給電時間
-1. 利用できる電力は、同時に運転されなければならない負荷を考慮に入れ、非常時の安全上不可欠なすべての負荷に十分給電できるものでなければならない。
-2. 非常電源装置は、特定の負荷の始動電流と過渡特性を考慮し、少なくとも次の負荷(電気に依存するものに限る)にそれぞれ指定された時間同時に給電できるものでなければならない。
(1)3.2.3-3(1)(注1)及び安全設備規則3編2.10.1-7.(注2)に規定する非常照明装置に対して3時間
注1: 招集場所及び乗艇場所は、鋼船規則H編3.3に規定する非常電源によって給電される非常照明装置により十分に照明されなければならない。
注2: 進水準備中及び進水中において、救命艇及び救命いかだ、これらの進水装置並びに救命艇及び救命いかだが進水する水面は、鋼船規則H編3.3に規定する非常電源から給電される非常照明装置により適切に照明されなければならない。
(2)3.2.3-3.(2)〜(8)(注3)の非常照明装置に対して18時間
注3 (2)すべての業務用及び居住用の通路、階段及び出口、人員用昇降機並びに同用トランク
(3)機関区域及び主発電場所とその制御場所
(4)すべての制御場所及び機関制御室並びに主及び非常配電盤の設置部分
(5)消防員装具のすべての格納場所
(6)操舵(そうだ)装置の設置部分
(7)3.3.2-2.(5)に示す消防ポンプ、スプリンクラポンプ及び非常ビルジポンプの各設置場所並びにこれらのポンプの始動操作場所
(8)引火点が61℃以下の液体貨物をばら積で運送するタンカーの貨物油ポンプ室及び危険物化学品ばら積船の貨物ポンプ室
(3)国際海上衝突予防規則により要求される航海灯及びその他の灯火並びに船籍国の国内法により要求される灯火に対して18時間
(4)次の各装置に対して18時間。ただし、各装置が非常時の使用に適した場所に設置された蓄電池より18時間独立した給電を受けられる場合を除く。
(a)非常時に要求されるすべての船内通信装置
(b)SOLAS条約附属書第IV章により要求されるVHF無線設備、MF無線設備、インマルサット船舶地球局装置及びMF/HF無線設備であって船舶に装備されているもの。ただし、これらの無線設備が二重に装備される場合は、非常電源装置の容量を算定する際、二重に装備された設備が同時に使用されることを考慮する必要はない。
(c)安全設備規則4編2.1.1から同2.1.17、2.1.26、2.1.29及び2.2.1により要求される航海設備(注4)(船籍国の国内法によって装備することが免除されるものを除く。)なお、そのような装置に給電することが不合理又は不可能と認められる場合には、総トン数5,000トン未満の船舶に対してこの規定を適用しない。
注4: 2.1.1磁気コンパス、2.1.2ジャイロコンパス、2.1.3非常操舵場所のジャイロ・レピーター、  2.1.4航海用レーダー、2.1.5電子プロッティング(EPA)、2.1.6自動物標追跡装置(ATA)、2.1.7自動衝突予防援助装置(ARPA)、2.1.8音響測深機、2.1.9船速距離計、2.1.10舵角及びプロペラの回転速度を示す表示器等、2.1.11回答角速度計、2.1.12衛星航法装置、2.1.13レーダー反射器、2.1.14音響受信装置、2.1.15船首方位伝達装置(THD)、2.1.16船舶自動識別装置(AIS)、2.1.17航海情報記録装置、2.1.26海図及び航海用刊行物、2.1.29昼間信号灯、2.2.1船橋との通話装置
(d)火災探知装置及び火災警報装置
(e)間欠使用の昼間信号灯、汽笛、手動火災警報装置及び非常時に要求されるすべての船内信号装置
(5)R編10.2.2-3により非常発電機から給電されるように設計された消防ポンプに対して18時間
(6)D編15.2.6により非常発電機から給電されるように設計された操舵装置に対して、同規定により要求される時間
(7)C編4.3.1により要求される閉鎖装置の開閉状態を確認できる装置及び閉鎖装置の作動を知らせる音響警報装置、C編4.3.2により要求される閉鎖装置の開閉状態を確認できる装置、C編33.2.1により要求される閉鎖装置の開閉状態を示す表示器並びにC編33.2.2により要求される閉鎖装置の開閉状態を示す表示器が電気式のものである場合には、これらの表示器及び音響警報装置に対して30分間
(8)短期間の航海に規則的に従事する船舶については、適切な安全性の標準が得られていると認められる場合には、(2)から(5)に掲げる18時間を、12時間を下回らない範囲において短縮することができる。
-3. 電力が推進の復帰に必要な場合、非常電源の容量は、デッドシップ状態から船舶の推進に関連する機器をブラックアウト後30分以内に復帰するために十分なものでなければならない。
3.3.3 非常電源装置の種類及び性能
 非常電源装置は、次の規定に適合する発電機又は蓄電池のいずれかとしなければならない。
(1)非常電源装置が発電機の場合には、次による。
(a)発電機は、引火点が43℃(密閉容器試験)以上の燃料の独立供給装置付きの適当な原動機によって駆動されること。
(b)次の(c)に適合する一時つなぎの非常電源装置が備えられていない場合には、発電機は主電源装置の故障により自動的に始動すること。なお、非常発電機が自動的に始動する場合には、発電機は自動的に非常配電盤に接続され、かつ、3.3.4に掲げる負荷は自動的に非常発電機に接続されること。
(c)非常発電機が自動始動し、45秒を最大として安全かつ可能な限り速やかに3.3.4に掲げる負荷に給電できる場合を除き、3.3.4に規定される一時つなぎの非常電源装置が装備されること。
(2)非常電源装置が蓄電池である場合には、次による。
(a)充電することなく全放電時間を通じて蓄電池の公称電圧の±12パーセント以内に電圧を維持して、非常負荷に給電できること。
(b)主電源装置の故障の際、自動的に非常配電盤に接続されること。
(c)少なくとも、3.3.4に規定される負荷に直ちに給電できること。
3.3.4 一時つなぎの非常電源装置
 前3.3.3(1)(c)により要求される一時つなぎの非常電源装置は、非常時の使用に適した位置に設けられ、かつ、次の(1)及び(2)に適合する蓄電池により構成されたものでなければならない。
(1)充電することなく全放電時間を通じて蓄電池の公称電圧の±12%以内に電圧を維持して動作できるもので、かつ、十分な容量のものであること。
(2)主電源装置又は非常電源装置に故障が生じた際、少なくとも次の負荷(運転が電源に依存するものに限る。)に自動的に30分間給電できるように装備されていること。
(a)3.3.2-2(1)から(3)により要求される照明装置。ただし、機関区域、居住区域及び業務区域にあっては、恒久的に設置され、個々に自動充電されるリレー動作の蓄電池灯が装備されている場合を除く。
(b)3.3.2-2(4)(a)、(d)及び(e)により要求されるすべての装置。ただし、各装置が、非常時の使用に適した場所に設置された蓄電池により、指定された時間独立した給電を受けられる場合を除く。
3.3.5 非常電気設備の配置等
-1. 非常配電盤は、できる限り非常電源装置の近くに設置しなければならない。
-2. 非常電源装置が発電機である場合には、非常配電盤は機能が損なわれない限り、非常電源装置と同一区画内に設けられなければならない。
-3. 3.3に従って装備される蓄電池は、非常配電盤と同一区画内に設置してはならない。
-4. 3.3.3(2)に示される非常電源装置又は3.3.4に示される一時つなぎの非常電源装置を構成する蓄電池に対しては、蓄電池が放電中であることを示す表示装置を主配電盤又は機関制御室内の適当な位置に装備しなければならない。
-5 非常配電盤と主配電盤を接続する相互結合用給電線は、次の(1)から(3)に適合するものでなければならない。また、非常配電盤は、通常の状態において主配電盤から給電されるものでなければならない。
(1)主配電盤側で、過負荷及び短絡に対して適切に保護されること。
(2)主電源装置の故障により、非常配電盤側において自動的に切り離されること。
(3)系統が非常配電盤から主配電盤へ逆給電できるように構成されている場合には、非常配電盤側においても少なくとも短絡に対して保護されること。
-6 非常配電盤は、非常回路への自動給電を確保するために、必要に応じて非常回路以外の回路を非常配電盤から自動的に切り離すための措置を施したものでなければならない。
3.3.6 試験設備
 非常電気設備は、定期的試験のための措置を施したものでなければならない。なお、定期的試験には、自動始動装置の試験を含めなければならない。







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