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7・2 主な操作箇所の機能
 (この説明は図7・1・1のレーダー表示器、図7・1・2の表示画面例及び図7・1・3の主操作パネル等に準拠している。)
 主な操作箇所を下記する。大体以下の番号の順で操作する。停止するには[ST-BY/TX]キーで送信を止めてから[電源スイッチ]で電源を切る。丸型CRTを用いて中心から円周に向けてスイープしていた旧型表示器の場合は、停止の手順にCRTの中心部分を焼かないような注意が必要であったが、現在のラスタースキャン方式または液晶の表示器では特に必要はない。
1. [電源スイッチ]―電源をON/OFFする。
 電源スイッチを押せば電源が入り約3分後に画面上に“準備”の表示が現れる。この場合、空中線及び送信系統は動作しない。電源を切るには再度電源スイッチを押す。
2. [ST-BY/TX]―準備と送信を切り換える。
 画面上に“準備”の表示が現れているときに[ST-BY/TX]キーを押すと空中線が回転し送信系統も動作を開始し画面上に映像が現れる。もう一度同じキーを押すと送信が止まり、“準備”になる。
 映像は前回使用したキー設定で現れる。
3. [RANGE]―観測距離範囲を変える。同時に送信パルス幅、繰り返し周期及び固定距離環[RANGE RING]も連動して切り換える。
 固定距離環の表示が不要なときは[RANGE RING]キーを押して消すことができる。(図7・1・4参照
4. [BRILLIANCE]―画面の輝度を調整するつまみである。時計方向に回すと明るくなる。
5. [GAIN]―受信回路の増幅度をコントロールしており、時計方向に回すと感度が高くなる。
6. [A/C RAIN]―雨雪反射抑制(アンチクラッターレイン)
 雨・雪・霧などからの反射による映像を抑制する。映像信号を電気的に微分している。
7. [A/C SEA]―海面反射抑制(アンチクラッターシー)
 自船付近の海面からの反射による映像を抑制する。
8. [A/C AUTO]―このキーを押すと海面反射と雨雪反射を自動的に抑制する。
*[GAIN]、[A/C RAIN]及び[A/C SEA]を反時計方向一杯に回した状態で[BRILL]を時計方向に回してスイープがわずかに見えるように調整する。その後[GAIN]を時計方向に回してノイズが出始める位置に調整する。目的の映像が見やすくなるように適宜[A/C RAIN]及び[A/C SEA]を調整する。
9. [EBL]―物標までの方位を電子的に測定する[電子カーソル]である。固定方位目盛(BEARING)に対して[EBL]は可変式のものである。
 [ON]または[OFF]スイッチでON/OFFし、[電子カーソル]つまみで物標にカーソルを合わせて、方位を読み取る。
10. [VRM]―物標までの距離を電子的に測定する[可変距離環]である。固定距離環[RANGE RING]に対して[VRM]は可変式のものである。
 [ON]または[OFF]スイッチでON/OFFし、[可変距離環]つまみで物標に可変距離マーカを合わせて、距離を読み取る。
11. [トラックボール]―十字カーソルを動かし各種の測定をする。
捕捉キー[ACQ]と併用して物標の捕捉にも用いられる。
12. [FUNCTION]―あらかじめ登録された最適設定を呼び出す機能キーである。
13. [AUDIO OFF]―各種警報音を停止させる。
 
7・3 レーダー映像の調整
 レーダー映像を最良の状態で観測するためには、適正な調整が必要である。ここでは各種レーダーに共通な最低限必要な調整つまみと調整の際の注意事項を述べる。
1. 同調(TUNE)
 大切な調整箇所で、この調整により感度が左右される。てきるだけ遠方の物標で行い最も映像が鮮明になるように調整する。なお、自動同調機能を持つレーダーは特に調整は必要ないが、自動同調でうまく同調が取れないときは、手動に切り換えて調整する。(図7・1・5参照
2. 感度(GAIN)
 遠方の物標を観測する場合は、時計方向につまみを回してノイズがわずかに出る位置がよいが、比較的近距離の物標で、反射が強い場合や、物標が密着しているようなときは、多少GAINを下げると、映像が鮮明になり見やすくなる。ただ、近距離の物標でも反射の弱い物標は出にくくなるので注意して操作する必要がある。
3. 海面反射抑制(A/C SEA: アンチクラッターシー)
 以前はSTCと呼ばれていたものである。波浪による反射がある場合、つまみを時計方向に回していくと近距離の感度が下がり、海面反射は消える。しかし、このとき海面反射と同じ強度の物標の映像も消えてしまうので、A/C SEAを操作するときは注意が必要である。
4. 輝度(BRILLIANCEまたはINTENSITY)
 表示器の輝度(明るさ)は通常ノイズが見え始める程度に調整する。輝度を上げすぎると映像が不鮮明になり、かえって見づらくなる。
5. 雨雪反射抑制(A/C RAIN: アンチクラッターレイン)
 以前はFTCと呼ばれていたものである。主に雨雪の反射除去に使用するが、近接した輪郭のはっきりしない映像にも効果がある。しかし弱い映像は出にくくなるので注意が必要である。


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