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3・5・6 認定事業場及び型式承認
(1)製造工事又は改造修理工事の認定事業場(法第6条の2)
 船舶検査では、船体、機関、設備等について、材料や工作が良好であるか、また、性能が適当であるかどうかについて、船舶検査官等が検査し、使用可能であるかを判定する。
 しかし、工程管理、品質管理等が十分に行われていれば、良好な工作で十分信頼し得る物件が製造されるため、工程管理、品質管理等の方法、体制等について十分審査し、適当であると判断される事業場については、製造工事又は改造修理工事に係る立会検査を省略し、性能検査についてのみ立会う制度である(法第6条の2)。
 製造工事又は改造修理工事の認定事業場制度の適用を受ける物件は次の通りである(船舶安全法の規定に基づく事業場の認定に関する規則第3条)(抜粋)。
 小型船舶、鋼製船体、木製船体、強化プラスチック製船体、アルミニウム合金製船体、内燃機関、ボイラー、蒸気タービン、船内外機、船外機、排気タービン過給機、蒸気機関の循環ポンプ及び復水ポンプ、内燃機関の冷却ポンプ、内燃機関の潤滑油ポンプ、内燃機関の空気圧縮機(手動式のものを除く。)、ボイラの給水ポンプ、ボイラの噴燃ポンプ、燃料油移送ポンプ、ビルジポンプ、膨脹式救命いかだ、火せん、信号紅炎、自己点火灯、自己発煙信号、落下傘付信号、発煙浮信号、救命索発射器、消火器、消火ポンプ、船灯、貨物油ポンプ、油圧ポンプ、油圧モータ、発電機、電動機、変圧器、配電盤、制御器
(2)整備認定事業場(法第6条の3関連)
 整備認定事業場制度は、船舶又は特定の物件について、法第5条に定められた臨時検査を受けなければならないような改造又は大修理がある場合を除き、小修理又は保守作業のみで終わるような整備につき、国の立会検査を省略することにより検査の合理化を図るための制度である。
 認定の対象船舶又は物件のメーカーが作成し、国土交通大臣の認可を受けた整備規程に従って整備を行う能力につき、国土交通大臣の認定を受けた者が、当該整備規程に従って整備を行った場合には、その後1カ月以内に行う定期検査又は中間検査における当該船舶又は物件の検査が省略される。
 整備認定事業場制度の適用の対象となる物件は次の通りである(船舶安全法の規程に基づく事業場の認定に関する規則第13条)。
(a)小型船舶
(b)小型船舶の船体
(c)内燃機関
(d)船内外機
(e)船外機
(f)膨張式救命いかだ
(g)膨張式救命浮器
(h)膨張型救命艇
(i)複合型救助艇
(j)膨張式救命胴衣
(k)イマーション・スーツ(膨張式のものに限る。)
(l)浮揚型極軌道衛星利用非常用指示無線標識装置
(m)非浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置
(n)小型船舶用極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置
(o)レーダー・トランスポンダー
(p)持運び式双方向無線電話装置
(q)固定式双方向無線電話装置
(r)降下式乗込装置
(3)型式承認(法第6条の4)
 型式承認制度は、多量生産方式により製造されるもの。例えば、船外機、救命器具その他の船用品について、1件毎に詳細な試験を含む検査を行っていたのでは、検査要員の確保、受検者側の不利、不便等種々な問題が生ずるので、検査の効率的な運用、合理化を推進するために採用された制度である。
 すなわち、型式承認対象物件のプロトタイプに対して耐久試験を含む詳細な試験(型式承認試験)を行い、その設計、性能、工作精度等が十分であることを確認され型式承認された場合には、以後製造される同一型式の物件の検査は、簡易化された検査(検定)のみとなる。
 船舶用品の製造者は、予め、船舶用として関係法規に適合する船舶用品の型式について、国土交通大臣の型式承認を受けることができる。船舶用品の製造者は、現品及び必要な書類を付した型式承認の申請書を管海官庁経由で国土交通大臣に提出すれば国土交通大臣は、これを調査検討及び試験をして、適当と認めたものに対しては、型式承認書を申請者に交付し、かつ、これを告示する。こうして型式承認を受けた者は、承認を受けた船舶用品と同一品質のものを製造するのであるが、この場合には、その個々の船舶用品について、管海官庁、日本小型船舶検査機構又は指定検定機関の検定を受ける必要がある。この場合、その船舶用品が承認した形式に適合すると認める場合は、現品に証印を付し、かつ、検定に合格した船舶に対しては検定合格証明書を交付する。
 検定に合格した物件については、検定合格証明書の交付申請があれば、検定合格証明書を交付する。
 船舶等の型式承認を受けたものの検定は、管海官庁によって行われるほか、日本小型船舶検査機構及び国土交通大臣に申請して指定を受けた者(日本舶用品検定協会)によっても実施され、管海官庁の検定に合格したものとみなされる。
3・5・7 船級協会
(1)船級協会とその検査
 海上輸送の発展に伴い、生命保険における保険医のように、船舶及びその積荷の海上保険上の診断のため及び安全、信用、売買貸借の価格算定等のために、国の監督、検査以外にも民間団体で一定の基準を設け、船舶の建造中及び竣工後、定期的な検査を行い、その現状に応じて、等級(船級−クラス)を与える機関として船級協会がある。主要な船級協会としては、1760年創立の英国のロイド協会を初めとして、次に掲げるものがある。
日本 日本海事協会 (NK)
イギリス Lloyd's Register of Shipping (LR)
アメリカ American Bureau of Shipping (ABS)
フランス Bureau Veritas (BV)
イタリア Registro Itariano Navale (RI)
ドイツ Germanischer Lloyd (GL)
ノルウェー Det Norske Veritas (DNV)
(2)船級協会と国の検査
 「海上における人命の安全のための国際条約」及び「満載喫水線に関する国際条約」においては、当該国が認めた場合は、条約上の検査、証書の発給の権限を他の団体に委任することを認めている。わが国においては、船舶の二重検査の弊害を避けるため、船舶安全法では、同法に基づく船舶検査のうち、日本海事協会の検査を受け、その船級を有している間は旅客船を除き管海官庁の検査を受け、これに合格したものと見做されている(法第8条)。そのため、日本海事協会に対しては、その検査、規則等が国のものと同等以上に維持されているよう、規則の改廃、検査の期間、内容、検査員の選任等について、国土交通大臣が監督を行うようになっている(施行規則第47条関係)。
 なお、これは日本海事協会にのみ与えた権限であって、外国のロイドその他の船級協会入級船の場合は、必ず管海官庁又は日本小型船舶検査機構の検査が必要である。
3・5・8 日本小型船舶検査機構(法第7条の2、第25条の2〜55)
 日本小型船舶検査機構は船舶安全法にもとづいて、昭和49年1月に運輸大臣の許可を受けて設立された小型船舶の検査機関であって、総トン数20トン未満の船舶(国際航海に従事する旅客船、法第3条の規定により満載喫水線の標示をすることを要する船舶、危険物ばら積船、特殊船及び本邦外にある船舶を除く(施行規則第14条)の検査(特別検査を除く。)を実施する。平成13年から、「小型船舶の登録等に関する法律」に基づき、小型船舶の登録測度事務を行うようになった。
 また、日本小型船舶検査機構は船舶用品等の型式承認物件の検定業務も実施する。日本小型船舶検査機構はその他小型船舶の堪航性及び人命の安全の保持に関する調査試験及び研究等も実施する。日本小型船舶検査機構の検査や検定は所要の知識及び経験を備える小型船舶検査員によって行われ、管海官庁が行う検査や検定に代わって実施するものである。日本小型船舶検査機構は東京に本部をおき全国各地に支部や支所が設置されている。







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