日本財団 図書館


1.3 受注及び契約
 船舶の電気艤装について、工事の委託を受けようとするときは、受注者は、注文仕様書により、工事の内容につき発注者と十分な検討打ち合せを行ない、これに基づいて、必要な工事設計図書(図面を含む。)及び下記項目に関する契約条項を含む工事契約書を作成し、取り引きの公正を期するものとする。
1 工事の概要
(付属書類として工事設計図書を添付。)
2 発注者から支給される物件及び発注者が直接施工する工事の範囲
3 工期、又は納期
4 保証期間及び保証範囲
5 工事価格
6 支払条件
〔説明〕受注者、発注者とは
(a)この基準で、受注者とは、電気装備業者を、発注者とは、造船所をいう。
(b)この項に示す注文仕様書とは、発注者が発行する電気艤装工事注文仕様書のことで、発注者が工事の計画、希望等の要点を示した図書をいう。
(c)工事設計図書とは、受注者が注文仕様書に基づいて、作成した工事の内容を表わした図書をいう。
1.4 工事設計図書の承認
 受注者は、注文仕様書により、工事設計図書及びその他必要な図面を作成し、工事を行なう前に発注者の承認をうける。
1.5 現場作業責任者の指名
 船舶の電気艤装について、工事の委託を受けたときは、受注者は、その工事の現場作業に対し、十分責任を負うことのできる専門的能力を有する現場作業責任者を指名する。
〔説明〕現場作業責任者
 受注者は、工事に当たり、現場作業の責任者を設けるものとする。これにより注文者と作業者とが直接交渉するようなことを避け、責任者が窓口となり、工事の円滑を計ることができる。
1.6 現場作業責任者の範囲
 現場作業責任者は、受注者からの指示事項及び工事の現場作業について、その工事の完了引き渡しが終るまで、一切の責任を負う。
1.7 工事の完了引き渡し
 船舶の電気艤装について、受注した工事をすべて完了し、これを引き渡すときは、受注者は、施工した工事に見合う完成図面等必要な書類(完成図書)を作成し、これを受注者に引き渡すことにより、工事の完了引き渡しを終えたものとする。
1.8 その他一般注意事項
(1)非重要設備(2.2.7項に掲げる設備以外の設備をいう。)の場合における本基準の適用については、発注者と協議のうえ、実際上必要がないと思われる部分について、適当に省略することができる。
(2)木船、又はF.R.P.船の場合における本基準の適用については、不適当な部分は適用を除外し、実際上必要がないと思われる部分については、適当に省略し、必要によっては、他の方法に変更することができる。
(3)船級船に対する本基準の適用については、その船級規則が優先する。
(4)修繕船の電気艤装工事については本基準を準用する。
(5)電気装備業者が、電気艤装工事に必要な電気機器、材料等を調達する場合に当っても、本基準を準用する。
(6)作業工事者が、出張工事に従事するときは、その作業場に於て定められている安全衛生規則などの就業規則の趣旨に従って作業を行う。
1.9 設計及び仕様
1.9.1 注文仕様書の内容
 注文仕様書は、電気艤装に関する委託工事につき、発注者の要求する工事内容を詳細に示すものとし、とくに、下記項目に関する事項については誤解の起らないようにする。
(1)委託工事の範囲
(2)支給物件
(3)納期
注:必要によっては、作業工程を含む。
(4)適用規程、規則及び検査規程など
(5)提出図面の種類、数量
(6)配線方式
(7)使用材料
(8)艤装工事方式
(9)発電機、電動機、始動器及び制御器、変圧器、主配電盤、蓄電池、充放電装置、船外受電装置の構造形式
(10)電気機器員数表
(11)照明設備の形式
(12)電力調査表
(13)航海計器及び計測通信設備
(14)無線設備
(15)備品
(16)予備品員数表
(17)保証期間及び保証範囲
(18)その他必要事項
1.9.2 工事設計図書の作成
 受注者は、注文仕様書に基づき、発注者と関係事項について詳細に打ち合せたうえ、下記項目に関する図面などを含む工事設計図書を作成する。
(1)主電路系統図
(2)照明電灯系統図
(3)航海計器系統図
(4)船内通信系統図
(5)電力調査表
(6)特殊電気装備品に対する相関系統図
(7)電気機器配置図
(8)主要電路布設図
(9)照明電灯配置図
(10)特殊区画の配置図及び関係配置図
(11)総合関連図
(12)試験方案
(13)その他必要事項
1.9.3 工事用図面の作成
 発注者は、発注者の承認を得た工事設計図書に基づいて、下記項目に関する図面などを内容とする工事用図書を作成する。
(1)主電路系統図
(2)照明電灯系統図
(3)航海計器系統図
(4)船内通信系統図
(5)電力調査表
(6)特殊電気装備品に対する相関系統図
(7)電気機器配置図
(8)主要電路布設図
(9)照明電灯配置図
(10)特殊区画の配置図及び関係配置図
(11)総合関連図
(12)試験方案
(13)その他必要事項
1.9.4 設計に対する一般注意事項
(1)電気艤装の設計に当たっては、船舶の特殊性、種類、大小、用途、就航海域などを考慮し、装備機器が故障なく、その性能を十分に発揮し、使用条件に従って随時相互に円滑、かつ、高能率で作動し、かつ、電気装備全体の操作、保守、修繕などが容易であるように努める。
(2)1.9.2工事設計図書の作成及び1.9.3工事用図面の作成については、非重要設備の場合、発注者と協議のうえ、適当に省略してもさしつかえない。
1.10 復習問題(1)
(1)船舶電気装備作業基準書の作成目的を述べよ。
(2)電気艤装の設計を行なうには法規、規格、規則に従がわねばならないが次の規格、規則は何の略称か。NK規則、JIS、JEM、JEC規格、IEC規格
(3)次の電気機器は装備する船が差し当たり該当がなくても予備検査として予め受検することができるが、その機器名を述べよ。
(4)電気装備業者が造船所より電装工事の注文を受注したら工事着工前に先ずどのような手続きをとらねばならないか。
(5)現場作業責任者について説明せよ。
(6)工事が完了したら発注者に対し、どのような方法で完了したことを示したらよいか。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION