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開催にあたって
 唐人の根っこ・・・昔から田子浦の海で網を仕掛けると、網が引っかかり破れてしまうという漁民泣かせの正体不明の物体でした。引き揚げてみますと、大きな錨でした。この錨は、我が郷土が、幕末、歴史の大きな舞台になった一つの証(あかし)だったのです。
 ロシアからの黒船が、日本にもう一つの開国をもたらしました。日本への来航、そして、遭難、沈没したディアナ号・・・幾多のドラマを生み出したディアナ号の軌跡を、この特別展で辿り(たどり)ます。
 下田市においての日露和親条約の締結、富士市においての乗組員の救助活動、戸田村においてのヘダ号の建造等、この二市一村は、ディアナ号やプチャーチン提督等にそれぞれの関わりや内容をもちながら、我が国の近代化や国際化など歴史上、大きな業績や足跡を残しました。そして、人間の原点である人間愛に基づく行動も生まれました。
 日露友好150年を迎えるこの時期に、本展示会を開催することは、非常に時宜を得た、そして、市民のニーズに応じた意義のあるものだと思います。そして、この展示会を通して、歴史のロマンや人類愛の尊さを広く伝え、自分たちの住んでいるまちに誇りをもったり、愛着を感じたりするようにし、未来に目を向けた元気ある富士市の実現につながることを期待したいと思います。
 本展示会は、日露友好150周年記念事業の一環としまして、下田市、富士市、戸田村が共催して行います。そして、開催については沼津市の協力もいただきました。また、たくさんの関係機関や関係者から多大なご協力やご助言をいただいたり、貴重な資料をお借りしたりしましたことを厚く感謝申し上げます。
平成17年1月
 
富士市立博物館
館長 加藤昭夫
 
いろいろなディアナ号
大坂天保山沖のディアナ号 『天保山魯船図』
神戸市立博物館蔵
 
『錦絵 九月十八日ヲロシア船漂着之図』
神戸市立博物館蔵
 
かわら版『嘉永七寅年九月十八日八ツ時』
神戸市立博物館蔵
 
かわら版『ヲロシア国舩之略図』
当館蔵
 
ディアナ号模型
当館蔵 平成2年製作 縮尺40分の1
岡村造船所製作(松崎町)
 
ディアナ号設計図
ロシア海軍文書館長ミシャーノフ氏提供
復元製作協力 吉原政則氏 村田隆洋氏
 
〈ディアナ号の仕様〉
1852年建造
3本マストの木造帆船
全長 約53メートル
幅 約14メートル
排水量 2000トン
大砲52門搭載
「ディアナ」は処女性と狩猟の女神の意味


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