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附属書[8-2]IMO決議MEPC.108(49)
油タンカー用油排出監視制御装置の改正ガイドライン及び仕様書
2003年7月18日採択
 
環境保護委員会は
 委員会任務に関して、国際海事機関の第38条(a)を想起し、
 油水分離装置及び油分濃度計の国際的性能の仕様書の関する勧告を採択し、各国政府に対し合理的かつ実行可能であれば最大限同仕様書を採用すること及びその適用の結果を機関に報告するように勧奨し、また適当な時期にガイドライン及び仕様書を再検討するように委員会に勧奨した総会決議A.586(14)に注目し、
 さらに(MARPOL73/78)に関連している1978年の議定書によって変更され、その中で上述の仕様書に言い及んでいる1973年船舶からの汚染防止のための国際条約附属書I第15規則(3)(a)の供給に注目し、
 2003年海洋環境保護委員会において採択され、2005年1月1日に効力を持つ予定の操作排出要求に関し、MARPOL73/78附属書Iに追記されているような技術進歩を認識し、
 その第49回会議においてMARPOL73/78附属書Iの要件の観点で作成した改正ガイドライン及び仕様書を考慮して、
1. この決議の附属書に掲げられ、2005年1月1日以後にキールが据え付けられるか、又は同様な建造段階にある(以下「建造された」という。)油タンカーに適用される油タンカー用油排出監視制御システムのための改正されたガイドライン及び仕様書を採択する。
2. 各国政府に対し、2005年1月1日以降建造された油タンカーについてMARPOL73/78条約附属書I第15規則(3)(a)項のもとで設置する油排出監視制御システムを承認する際に、この改正されたガイドライン及び仕様書を実施するよう勧奨する。
 
付属書
油タンカー用油排出監視制御装置の改正ガイドライン及び仕様書
目次
1 序文
1.1 目的
1.2 適用
1.3 要件の概要
2 経緯
3 定義
3.1 油排出監視制御装置
3.2 コントロール・セクション
3.3 船外排出制御装置
3.4 始動インターロック
3.5 コントロール・ユニット
3.6 PPM
4 実施要件
5 構造、保守、保護、較正及び訓練
6 技術要件
6.1 油排出監視制御装置
6.2 油分濃度計
6.3 サンプリング系統
6.4 流量指示系統
6.5 船速指示系統
6.6 船舶位置表示装置
6.7 船外排出制御施設
6.8 プロセッサ及び伝送機器
6.9 記録装置
6.10 データ表示
6.11 機器故障時における手動操作による代替手段
6.12 排出停止を生ずる警報条件
6.13 警報指示器の場所
7 油排出監視制御装置の油分濃度計とコントロール・セクションの型式承認試験基準
7.1 試験要件
7.2 承認制度
8 工場内性能試験要件
9 船内設置許可要件
10 一般設置要件
11 設置の検査
12 船内機能試験及び検査要領
 
付属書
第1部 油分濃度計の型式承認のための試験及び性能仕様書
第2部 油排出監視制御装置の油分濃度計及びコントロール・セクションの型式承認のための環境試験仕様書
第3部 証書
 
1 序文
1.1 目的
1.1.1 本ガイドライン及び仕様書は、MARPOL73/78条約付属書I 15(3)(a)規則で要求されている油タンカー用油排出監視制御装置の設計、設置、性能及び試験に関する要件を含む。
1.1.2 本ガイドライン及び仕様書の目的は
.1 MARPOL73/78条約付属書I 15(3)(a)規則の要件の統一解釈を提供すること。
.2 自国の旗を掲げている船舶にこの装置が備えられている場合、油排出監視制御装置のための適当な設計、構造及び運用要素を決定する主管庁を援助すること。
.3 油排出監視制御装置の油分濃度計及びコントロール・セクションに対して試験及び性能の要件を明らかにすること。
.4 設置された装置の設置及び機能試験の船内設置許可の要件を明らかにすること;及び
.5 設備の船上検査のためのガイドラインを提供すること。
1.1.3 本ガイドライン及び仕様書は、MARPOL 73/78条約付属書IIの第14規則に従って輸送されるC類、D類油類似物質の監視に使用される油分濃度監視装置にも適用される。
1.2 適用
1.2.1 このガイドライン及び仕様書は、2005年1月1日以後にキール設置の油タンカーまたは、キール設置と同等な建造段階の油タンカーに搭載するものに適用する。この改正基準が適用される油タンカーには、決議A.393(10)、A.496(XII)、MEPC13(19)及びA.586(14)のもとで採択された技術基準は、適用しない。
1.2.2 2005年1月1日以前にそのキールが設置され、又はキール設置と同等な建造段階にあるものに設置する油排出監視制御装置は、決議A.393(10)、A.496(12)、MEPC13(19)、A.586(14)又はこのガイドライン及び仕様書に基づき定められた技術基準の要件又はここに定める要件に適合しなければならない。
1.3 要件の概要
1.3.1 この技術基準で規定された監視装置の各機器に対する要求事項の概要は下記の通り。
.1 油分濃度計はこの技術基準の付属書1部に定める要領に従って試験し、型式承認をするものとする。
.2 油分濃度計及び油排出監視制御装置コントロール・セクションは、この技術基準の付属書第2部に定める環境試験を行わなければならない。
.3 第8章に定める船内設置計画に係る文書は、油排出監視制御装置を設置するに先立ち、主官庁に提出しなければならない。
.4 油排出監視制御装置の構成部分は、第8章に規定する陸上機能試験を行わなければならない。
.5 油排出監視制御装置は、その完成したものにつき第11章に規定する要領に従って検査しなければならない。
2 経緯
2.1 MARPOL 73/78条約の附属書I第15規則(3)(a)規則に定める油タンカーのバラスト水及びタンク洗浄水の油分濃度測定に関するMARPOL 73/78条約付属書Iの規定によれば、総トン数150トン以上の油タンカーは承認された油排出監視制御装置を設置しなければならず、かつ、装置は連続的に次の各号の記録をしなければならないとなっている。
.1 1海里当たりリットル数で表した油の排出
.2 排出油の総量又は排出油の総量に代え流液中の油分濃度と排出割合
 いずれの場合においても、記録は日時との対比が確実になしうるものでなければならず、少なくとも3年間はこれを保有しておかなければならない。
2.2 MAPOL 73/78条約付属書I第15規則によれば、油排出監視制御装置は、海中へ流液が排出されるときは運転とならなければならず、かつ、油の瞬間排出率がMAPOL 73/78条約付属書I第9規則(1)(a)規則により許容される値を超えたときは、油水混合物の排出を自動的に確実に停止するものでなければならない。
3. 定義
3.1 油排出監視制御装置
3.1.1 油排出監視制御装置とは、カーゴ・タンク・エリア(貨物タンク区域)から油分を含んだバラスト水その他油濁水の海中への排出を監視する装置であって、6.1.4項の各号の物件より成るものをいう。
3.2 コントロール・セクション
3.2.1 油排出監視制御装置のコントロール・セクションとは、6.1.4.8項の機器をもって構成される装置である。
3.3 船外排出制御装置
3.3.1 船外排出制御装置とは、警報状態によって流液の船外排出を停止するシーケンスを自動的に起こさせ、かつ、警報状態の間は、排出を停止する装置を言う。この装置は、船外弁の閉止又は関連ポンプの停止のいずれか適当と考えられる機能をすることとなる。
3.4 始動インターロック
3.4.1 「始動インターロック」とは、MAPOL 73/78条約により油排出監視制御装置の使用を必要とする場合、当該装置が完全に運転状態になる前に排出弁開を起こさせること又はその他の同等の装置を作動させることを妨げる設備をいう。
3.5 コントロール・ユニット
3.5.1 コントロール・ユニットとは、次に掲げる事項の自動信号を受ける装置をいう。
.1 流液の油分濃度
.2 排出の流量
.3 船速(ノット)
.4 船舶の位置−緯度及び経度
.5 日時(GMT)
.6 船外排出制御装置の状態
3.5.2 コントロール・ユニットは、6.9.2項に掲げる事項のデータを自動記録するものでなければならない。
3.6 PPM
3.6.1 “ppm”とは、容量による水100万当たりの油分をいう。
4 実施要件
4.1 150総トン数の油タンカーには、油排出監視制御装置を設置しなければならず、コントロール・ユニット、始動インターロック及び船外排出制御装置を備えていなければならない。
5 構造、保守、保護、較正及び訓練
5.1 計器は、使用者が欠くことのできない制御部への接近に対する制限を確かなものとするように設計されなければならない。この制御部への接近は、非常時の保守又は、一時的な修理において有効とするが、この場合、保護シールを破るか、又は装置へ入ったことを示す他の装置が作動することが要求されなければならない。
5.2 このシールは、製造者又はその代理人だけが取り替えることができるか、又は検査及び永久的な修理行って装置をリセットするよう設計されたものでなければならない。
5.3 油排出監視制御装置の精度は、IOPP更新検査時に検証されなければならない。最後の較正日を証明する較正証書は、検査のために船内に保管しておかなければならない。
5.4 油排出監視制御装置は、その使用目的に応じて数種のスケールを持つことが許される。1つ以上のスケールを有する油分濃度計の場合は、記録計は使用されたスケールを記録しなければならない。
5.5 油排出監視制御装置には、計器の読みのドリフト、再現性及びゼロ点調整ができる簡単な手段を設けることを推奨する。
5.6 船内作業者の訓練には、装置の運転及び保守が含まれなければならない。
5.7 油排出監視制御装置の日常点検・保守及び故障診断・解除の手順は、製造者の取扱説明書に明確に規定されなければならない。全ての日常点検・保守は記録されなければならない。


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