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〜〜〜IV ガイドライン〜〜〜
(1)降下式乗込装置の配置(損傷防止)
[基本的な考え方]
 降下式乗込装置は、そのプラットフォームが展張後に湾曲した船側外板の下部に潜り込むことがないように配置する。
 
[船舶救命設備規則]
(降下式乗込装置)
第九十六条の二 降下式乗込装置は、次に掲げる要件に適合する方法により管海官庁が十分と認めるように積み付けなければならない。
一 船側のうち開口(船舶防火構造規則第十五条第二項の規定に適合する窓を除く。)が設けられていない部分の上方の位置に積み付けること。
二 展張の際に障害物による損傷のおそれのない位置に積み付けること。
三 できる限り波浪による損傷から保護することができる位置に積み付けること。
四 第八十七条第一項第二号及び第九号に掲げる要件
 
[心得]
96-2.1(b)
 降下式乗込装置は、プロペラからの距離及び船体の急激な湾曲部等からの距離を考慮して、可能な限り、当該装置を船舶の垂直な舷側に沿って展張することができる位置に積み付けること。
 
 
(2)降下式乗込装置に対する救命いかだの配置(両舷間)
[基本的な考え方]
 救命いかだは、両舷間での移動をすることなく、そのもやい索を降下式乗込装置に迅速に連結することができるように配置する。
 さらに、救命いかだは、乗込に要する時間を短縮するため、各降下式乗込装置の定員に比例配分した数を各降下式乗込装置に配置する。
 
[船舶救命設備規則]
(救命いかだ)
第九十条
十五 降下式乗込装置により乗り込む救命いかだは、索により、あらかじめ降下式乗込装置と連結されているか、又は降下式乗込装置と容易に連結することができるような措置が講じられていること。
【参考】
(乗込装置)
第八十六条
3 第一項の規定により第一種船又は第二種船に備え付ける乗込装置が降下式乗込装置である場合には、当該装置は、各舷に、一個以上、かつ、できる限り同数配置しなければならない。
 
[心得]
90.1(m)
 降下式乗込装置により乗込む救命いかだは、連結する降下式乗込装置との対応関係を明確に設定した上で配置すること。
90.1(n)
 降下式乗込装置により乗込む救命いかだは、連結する降下式乗込装置と同舷に配置すること。
90.1(o)
 降下式乗込装置により乗込む救命いかだは、各降下式乗込装置に連結する救命いかだの定員の総数が、各降下式乗込装置の定員に対して、できる限り均等な比率となるよう配置すること。
 
 
 例えば、最大搭載人員650名の船舶において、定員250名の降下式乗込装置を右舷に1台、左舷に2台設置する場合、定員50名の救命いかだは、上図のように、設置する。
(救命いかだ定員)/(降下式乗込装置の定員)の比率
⇒No.1:No.2:No.3=0.8:0.8:1.0
 すなわち、左舷:8台(4台×2)、右舷:5台のように設置する。
 なお、上記の比率で1.0:0.8:0.8のように、降下式乗込装置が少ない舷の救命いかだの数が少なくなるような配置は避けることが望ましい。
 
[推奨事項]
 降下式乗込装置を、やむを得ず各舷に同数配置できない場合、心得90.1(n)に規定する均等な比率の端数に該当する救命いかだは、降下式乗込装置の定員が少ない方の舷に積み付けることが望ましい。
 
(3)降下式乗込装置に対する救命いかだの配置(同舷内)
[基本的な考え方]
 救命いかだは、同舷内で、そのもやい綱を降下式乗込装置に迅速に連結することができるように配置する。
 
[船舶救命設備規則]
(救命いかだ)
第九十条 救命いかだは、次に掲げる要件に適合する方法により管海官庁が十分と認めるように積み付けなければならない。
十三 降下式乗込装置により乗り込む救命いかだは、降下式乗込装置の付近であって、進水の際に展張した降下式乗込装置と衝突するおそれのない位置に積み付けること。
十四 降下式乗込装置により乗り込む救命いかだは、格納位置から直接進水させることができるように積み付けること。
十五 降下式乗込装置により乗り込む救命いかだは、索により、あらかじめ降下式乗込装置と連結されているか、又は降下式乗込装置と容易に連結することができるような措置が講じられていること。
 
[心得]
90.1(p)
 救命いかだは、そのもやい綱を降下式乗込装置のラフト案内索に迅速に連結することができるように、できる限り、連結する降下式乗込装置の船首側又は船尾側に極端に片寄ることのないように配置すること。
 
【配置例】
 
 
 シューター定員:250人、いかだ定員:25人、いかだ台数:8台のとき、シューターの船首側、船尾側にそれぞれ4台を配置する。
 例えば、船首側:6台、船尾側:2台のように配置することは、避けることが望ましい。
 
[推奨事項]
 降下式乗込装置の船首側または船尾側に配置する救命いかだの数は、当該装置に連結する救命いかだの総数の2/3を超えない配置とすることが望ましい。
 
(4)救命いかだもやい綱の移動環境(その1)
[基本的な考え方]
 救命いかだのもやい綱は、通常、進水後に甲板上を移動して降下式乗込装置の位置まで移動して連結する必要があることから、当該移動を円滑に行える環境とする。
 
[船舶救命設備規則]
(救命いかだ)
第九十条 救命いかだは、次に掲げる要件に適合する方法により管海官庁が十分と認めるように積み付けなければならない。
十五 降下式乗込装置により乗り込む救命いかだは、索により、あらかじめ降下式乗込装置と連結されているか、又は降下式乗込装置と容易に連結することができるような措置が講じられていること。
 
[心得]
90.1(q)
 救命いかだと降下式乗込装置の間には、進水後のいかだを降下式乗込装置に連結する際に、もやい綱の移動の障害となるものを設置しないこと。
 ただし、舷端付近に大型の煙突、通風筒等の構造物を配置する場合には、例えば、以下の何れかのような適切な措置が講じられているときは、「容易に連結することができるような措置が講じられている」ものと認めて差し支えない。
(1)甲板上の舷側にいかだもやい綱を移動するための通路(幅30cm程度)を確保する。
(2)舷端に舷側から張り出したいかだもやい綱を移動するための通路(幅30cm程度)を設置する。
(3)もやい綱の移動に障害となる障害物を越えるための適当な誘導補助具を備える。
 
 
(5)救命いかだもやい綱の移動環境(その2)
[基本的な考え方]
 救命いかだのもやい綱は、通常、進水後に甲板上を移動して降下式乗込装置の位置まで移動して連結する必要があることから、当該移動を円滑に行える環境とする。
 
[舶舶救命設備規則]
(救命いかだ)
第九十条 救命いかだは、次に掲げる要件に適合する方法により管海官庁が十分と認めるように積み付けなければならない。
十五 降下式乗込装置により乗り込む救命いかだは、索により、あらかじめ降下式乗込装置と連結されているか、又は降下式乗込装置と容易に連結することができるような措置が講じられていること。
 
[心得]
90.1(r)
 降下式乗込装置及び救命いかだは、進水後のいかだを降下式乗込装置に連結する際に、もやい綱の移動を円滑に行えるよう、できる限り同じ層の甲板に積み付けること。やむを得ず異なる層の甲板に積み付ける場合にあっては、舷側付近に階段を設ける等の適切な措置を講じること。
 
 
注)ここで言う「異なる層」とは、シューターと救命いかだが同じデッキに配置されていないことであり、シューターの設置場所と乗り込み場所が異なることではない。


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