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15 UNCED及びWSSDへのフォローアップ
15.1 当委員会は、持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)により採択された推進計画が、リオ宣言の方針及びAgenda 21の完全実施の必要性を再度宣言したことを想起した。IMO作業に関する当該推進計画の内の多くの項目において、第34項についてはIMOの目的に直接関係するものであることを想起した。
 
15.2 当委員会は、MEPC 49により準備された、UNCED及びWSSDへのフォローアップに関する総会決議起案が、第23会期総会により決議A.964(23)として採択されたことを銘記した。
 
15.3 当委員会は、海洋安全及び海洋環境保護を高めることをIMOに催促しているWSSD採択の推進計画に留意する必要性を強調し、各国に対し、IMOにより採択された条約、議定書及びその他の関係法規について、批准しかつ履行するよう要請した。
 
15.4 当委員会は、船舶のバラスト水及び沈殿物の制御及び管理に関する国際条約が今年2月の外交会議により採択されていることで、IMOに“当該条約の完結”を求めた推進計画第33(b)項の要求を満たしていることについて、満足感を持って銘記した。
 
16 技術協力計画
16.1 当委員会は、技術協力については、一回おきのMEPC会議議題とすることが過去の慣習であったことを想起した。しかし、技術協力活動については、IMOにとっての作業の重要性を考慮して、毎MEPC会期に報告することで合意された。
 
16.2 当委員会は、2003年1月〜12月の間に着手された海洋環境保護に関する技術協力活動について報告している、地域毎ベースの技術協力計画の最新情報(MEPC 51/16)を銘記した。
 
16.3 また、当委員会は、緊急時、地中海海域における油及び他の有害物質による汚染対処の協力に関するバルセロナ条約議定書の実施の報告書(MEPC 51/INF.7)についても銘記した。
 
16.4 当委員会は、MEPC 48に承認された2004〜2005年のITCPへのMEPC貢献の主題となる最新の優先事項が、2004〜2005年の全体的ITCP(Integrated Technical Co-operation Programme)海洋環境関連構成要素の作成を基に構成されており、1,410万米ドルの資金需要を伴った26の計画を含むものであることを銘記した。さらに、全体的2004〜2005年ITPCが、TC(技術協力委員会)53で承認されたことも銘記した。TC 53は、理事会に対し、2004〜2005年のITCPの中心的活動資金として、技術協力基金から500万英ポンド(785万米ドル)の2年毎配分案を勧告していた。当該配分額については、理事会で承認された。
 
16.5 IMO技術協力部(TCD)長が、当委員会に対し、2002〜2003年2年毎TC活動の包括的報告書(文書TC 54/3)については、来るべき2004年6月の技術協力委員会会期における検討用に作成されたことを報告した。さらに、同部長は、このような2年間全体をカバーする報告書の作成については、初めてのことであるとも述べた。
 
16.6 当委員会は、2004〜2005年の新たなITCPの全情報については、文書TC 53/4及びTC 53/5から入手できることを銘記した。さらに、最初の2年間の配分が総会により増加されたこと、また、海洋環境活動をカバーする総額については、主要な海洋環境のプロジェクト、すなわち、東アジア海洋環境管理パートナーシップ(PEMSEA)、発展途上国におけるバラスト水の制御及び管理方策の効果的実施への障害除去のためのプロジェクト(Globallast)及び海上電子ハイウェイ(MEH)プロジェクトを含まずに、総配分の21%を占めていることも銘記した。
 
16.7 さらに、当部長は、当委員会に対し、事務局による対話型インターネットを基盤とした、参加国提出の海洋安全及び海洋環境保護に関する技術協力活動(MARTECAID)の目録を開始したことを報告した。このことは、技術協力援助についての地球規模の情報交換により、現場レベルにおける調整の促進及び情報援助源のより効果的利用の双方を達成できるという影響力についてのTCC承認に従って開始された。また、同氏は、MARTECAIDに関するより多くの情報が、ウェブサイトの開始について公表した2003年3月26日付け回章No.2553に記載されていることに言及し、加盟国に対し、MARTECIDを活用し、海運の安全及びよりきれいな海洋に関するIMOの目標に直接又は間接的に対処する進行中及び計画中の加盟国活動についての情報をインプットするか、あるいはすでに目録に記載の情報について修正するよう要請した。
 
16.8 議長は、要約して、情報提供者及び受取り者に対し、完全なITCPを成功裏に配信できるように、直接資金提供、費用分担貢献及び/又は現物支給貢献をもって、ITCPへのIMO方針に参画するよう強調した。
 
17 MARPOL 73/78及び関連法規の実施及び施行の促進
17.1 この議題の下に、当委員会に対し、5件の異なった事項を取り扱った10の提出書があった。委員会の検討の結果は以下のとおりである。
 
申請された状況評価計画(CAS: Condition Assessment Scheme)の改正
 
17.2 当委員会は、甲板及び甲板縦材間の隅肉溶接の検査要件及びhull girdersの大修理作業の問題のそれぞれ関するCASの将来の作業についての日本提案2件(MEPC 51/17及びMEPC 51/17/1)を審議した。
 
17.3 当委員会は、甲板及び甲板縦材間の隅肉溶接に問題点があることは周知のことであるが、ナホトカ号、エリカ号及びプレステージ号の事故については、以前に大修理の実施された部分に隣接した構造上の欠陥である可能性を浮き彫りにしており、注意が必要な分野であるという日本の見解について審議した。
 
17.4 また、当委員会は、いかなるCASの修正も、CASに関するMARPOL附属書I第13G規則で規定の修正された措置に従うべきことを銘記した。
 
17.5 当委員会は、MAPOL附属書I修正の結果として生ずるCASの修正を採択した決議MEPC.112(50)を想起した。当該決議の効力発生に係る第7項において、当委員会は、MSCに対し、CASへの応諾が要求される油タンカーが、単独及び調和検査並びに点検制度に従うことを確保できるように、CASの関連要素及び規定を編入する目的をもって、決議書A.744(18)により採択された点検充実ガイドラインの見直しに着手するよう強調した。
 
17.6 この件に関し、当委員会は、船舶設計設備小委員会(DE)が、目下、修正決議A.744(18)の改正を実施しており、かつ、本事項については、DE作業計画及び2005年DE 48の議題に含まれていることを銘記した。
 
17.7 当委員会は、日本提案及び関連事項を審議し、技術小委員会による詳細な検討を要するこれらの問題の複雑さを認識して、2つの文書(MEPC 51/17及びMEPC 51/17/1)を、DE小委員会に検討のため付託することを決定した。さらに、当委員会は、この件については、DE 48における最優先議題の“決議A.744(18)の見直し”の下に検討されるべきもので、その結果についてはMEPC 53に報告されるべきことで合意した。
 
改訂附属書IV関連事項
汚水排出基準
 
17.8 当委員会は、MEPC 49が、1976年の決議MEPC.2(IV)により採択された汚水処理設備の性能試験のための国際廃水基準及びガイドラインに関する勧告の見直しのための豪州提案に同意し、各代表団に対し、この件に関する文書をMEPC 51に提出するよう要請したことを想起した。
 
17.9 当委員会は、決議MEPC.2(IV)に従った通常運用条件で洋上の官庁船上において実施した試験のいくつかの詳細な結果を提供している豪州文書MEPC 51/17/2を銘記した。これらの結果は、船上の機器及び操作手順に軽微な欠陥でさえ、IMO型式承認汚水処理設備の性能に著しい影響を与えることを立証している。異なったより厳格な一方的基準の世界中での義務化の拡散を回避するためには、決議MEPC.2(VI)の改正はやむを得ないというのが豪州見解であった。
 
17.10 当委員会は、特に以下の点についての決議書MEPC.2(VI)の改善が必要であることを銘記した。
 
.1 0値を伴った相乗平均計算に関するガイダンスを提供すべきこと。
 
.2 排出パラメータとして、5日間の生物化学的酸素要求量(BOD5)を、化学的酸素要求量(COD)といったものと置き換えるという選択肢は、船上試験における関連時間及び費用の削減を可能とすること。
 
.3 明確な試験期間を規定すべきこと。
 
.4 loading factor(X線条件)に関して、“適切なサンプル数”又は“できるかぎり低く”といった、解釈のあいまいな表現は避けるべきこと。
 
17.11 さらに、当委員会は、米国沿岸警備隊(USCG)の船舶下水装置のための型式試験に、注目に値するより明確な要件が見られることについても銘記した。
 
17.12 審議の後、当委員会は、BLG作業計画における最優先事項として本件を検討するために、本件については、2006年を完了目標としてBLG小委員会に付託することを決定し、加盟国政府及び関係機関に対し、暫定的に2005年早期に開催予定のBLG 9に提案を提出するよう要請した。
 
汚水排出率
 
17.13 当委員会は、MEPC 49が、MARPOL附属書IV第11.1.1規則で要求されている、船内タンクに保持されている汚水の排出率規定のための基準の作成が急務であるというシンガポール提案(MEPC 49/13/2)に同意し、各代表団に対し、審議のためMEPC 51に提案を提出するよう要請したことを想起した。
 
17.14 豪州が、文書MEPC 51/17/5において、船内タンクに保持されている非処理汚水の排出率については“moderate”であるべきであり、IMO策定基準に基づいて主管庁により承認されなければならないとする改正MARPOL附属書IV第11.1.1規則の要件に、当委員会の注意を促した。さらに、豪州は、家畜運搬船からおこり得る排出量(MARPOL附属書IVの下に“汚水”と定義の下にある。)について指摘し、家畜からの廃水成分については、MARPOL附属書Vの下に排出が許可されている肥料貨物の残さとみなされている一方で、人間発生汚水は量的にはるかに小さいと結論づけていた。
 
17.15 当委員会は、MARPOL附属書I第9(1)(a)規則と類似の改正MARPOL附属書IV第11.1.1規則の汚水排出率について決定することを意図して、改正MARPOL附属書IVに関連する事項を審議した。しかしながら、当委員会は、この件については、船上の家畜から発生する廃水に加え人間発生汚水という観点からも慎重な検討が必要であることを認識して、改正MARPOL附属書IV第11.1.1規則関連基準の作成のために、作業計画における最優先項目として、また2006年を完了目標として、本件をBLG小委員会に付託することを決定し、加盟国政府及び関係機関に対し、BLG 9に提案提出するよう要請した。
 
CASの下の応諾書(Statement of Compliance)の発行
 
17.16 当委員会は、油タンカーへのCAS(Condition Assessment Scheme)検査の過程又は応諾書の発給後に船籍が変更した場合の旗国主管庁手続きに影響する事項について焦点を当てた、マーシャル諸島文書MEPC 51/17/4を銘記した。
 
17.17 マーシャル諸島は、CAS検査の過程又は応諾書の発給後に船籍に変更があった場合の、受取り旗国主管庁が発給旗国主管庁に要求する証拠書類の水準について、同国の懸念を指摘した。これらの件については、CAS規定のさらなる改善のため、MEPC及びMSCによる検討が必要であるというのがマーシャル諸島の見解であった。
 
17.18 当委員会は、マーシャル諸島が、CAS第3.1項の修正又は統一解釈案のための明確な語句表現を提供しなかったことを銘記した。しかしながら、当委員会は、本件を明確化する必要性を認識して、マーシャル諸島の勧告を考慮に入れた、決議A.744(18)の改正に照らしたさらなる検討のため、本件をDE小委員会に付託することを決定し、加盟国政府及び関係機関に対し、DE 48に提案提出するよう要請した。
 
MARPOL附属書Iの統一解釈
 
17.19 当委員会は、MEPC 50において採択された改正第13G規則及び新第13H規則の下のシングルハルタンカーの段階的廃止に関連した、MARPOL附属書Iの統一解釈策定のための2つの提案について審議した。
 
17.20 マーシャル諸島は、文書MEPC 51/17/3において、油タンカーの全貨物運搬部分を含む前部船体の交換という結果となったMARPOL附属書I第1規則に定義の“主要な改造”を経験しているシングルハルタンカーに対する、改正第13G規則における段階的廃止規定の適用問題について指摘した。
 
17.21 当委員会は、マーシャル諸島の見地からみて、全貨物運搬部分を含む前部船体が交換された油タンカーの主要な改造完了日については、当該船舶がMARPOL附属書I第1規則に定義の“新造船”として扱われることになるという趣旨から、改正第13G規則に規定の引き渡し日と見なされるべきことを銘記した。改正第13G規則の文字どおりの解釈が“引き渡し日”を特定しているとはいえ、これについては、全体のシングルハル前部船体の新シングルハル前部船体への置換を伴う主要な改造完了日を含むものと解釈されるべきである。
 
17.22 当委員会は、本件については、米国がMEPC 50において提起し、マーシャル諸島代表団が、当委員会の検討のため、今会期への文書提出(MEPC 50/3第6.1及び6.2項)を引き受けたことを想起した。
 
17.23 当委員会は、マーシャル諸島が、以下の統一解釈について提案したことを銘記した。(MEPC 51/17/3第8項)
 
 “第13G規則の履行及び適用、並びに第13G規則の要件によるシングルハル油タンカーの段階的廃止日決定の目的で、油タンカーにMARPOL第1規則に定義の主要な改造を実施し、当該主要な改造が全体の貨物運送部分を含む油タンカーの前部船体置換の結果となる場合、油タンカーの主要な改造完了日については、第13G規則に規定の引き渡し日とみなされなければならない。”
 
17.24 このことに関連して、当委員会は、マーシャル諸島が一般論として13Gタンカーについて言及し、誤解の原因となる第13G規則の下のカテゴリー1又はカテゴリー2タンカーについて区別していなかったことを銘記した。
 
17.25 見解の交換の後、当委員会は、マーシャル諸島に対し、さらなる検討のために、同諸島提案を洗練しMEPC 52に提出するよう要請した。
 
17.26 INTERTANKOが、文書MEPC 51/17/7において、MEPC 50で合意されたIOPP証書補足書式Bの修正(決議MEPC.111(50)の附属3及び附属4)については、改正第13G規則及び新第13H規則における種々の項の船舶応諾期限を示すものとなることに、特に言及した。油タンカーが段階的廃止の期限日に達した場合には、IOPP証書が失効するものと思い込んでいるが、このことをどのように取り扱うのか明確になっていない。
 
17.27 当委員会は、若干数のIACS会員が、この件について実際的にどのように扱うのか、様々な旗国から何の指示又は指針を受け取っていないことを確認していることを銘記した。
 
17.28 さらに、当委員会は、この問題解決のためINTERTANKOにより提案された、2つの可能な解決策について銘記した。
 
.1 IOPP証書の更新については、船級協会はIOPP証書の有効期限を段階的廃止日に合わせるべきである。(かつ、有効期間5年の証書は発給するべきではない。)あるいは、
 
.2 有効なCAS証書を所持していないシングルハル油タンカーについては、附属書Iの貨物を運搬してはならないと表示する。
 
17.29 INTERTANKO提案の解決策について、見解の相違が表明された。しかしながら、当委員会議長は、本件の緊急性に鑑み、関心のある代表団に対し、当委員会による決定のための本文作成を意図して、お互いに相談するよう要請した。


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