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インドネシア海軍 アチェ海域の外国船を無差別に銃撃へ
 アチェの戒厳令行政官は、全ての外国船に対してアチェ周辺海域12海里への進入禁止を発表した。しかし、この通知は広く伝わっておらず、外国船が拘束される事態を招いている。
 アチェは、海上交通量の多いマラッカ海峡の北西端に位置する。Bernard Kent Sondakhインドネシア海軍参謀長は、アンタラ通信に対し、「アチェ海域が進入禁止であるとインドネシア政府が公式に発表する方が好ましい」と述べた。
 6月3日(火)には、パナマ船籍のタンカー(船名不明)がSabang港で拘束された。「タンカーはSabang港で拘束され、船長と乗組員は現在も取り調べを受けている」と戒厳令当局は述べ、タンカーと乗組員の詳細は不明だと付け加えた。
 船の拘束だけで済めばよいが、状況によっては、アチェ周辺海域12海里に進入した外国船はインドネシア海軍の目にとまり次第銃撃されると海軍参謀長は述べた。
 インドネシアは、アチェ海域をパトロールするため、軍艦から警察の巡視船約20隻を配備させている。
 アチェは、エクソン・モービル・オイル・インドネシアやガス加工会社PT Arun NGLなどの拠点。今回の対応は、自由アチェ運動(GAM)が外国船を使って武器を密輸していることを受けたもので、許可を持っていない船舶に対してのみ実行される。エクソン・モービルの所有する船舶は影響を受けない。
 このほか、GAM活動家の海上ルートからの逃走を防ぐのがインドネシア政府の目的と思われる。
 インドネシア海軍は、5月19日にアチェに戒厳令が布告される前の1ヶ月間に、武器を積載していたとして約100隻の船を拘束している。
 過去2年間に、アチェ海域で乗組員が誘拐されて身代金が要求される事件が発生しており、GAMはこれらの事件に関与している。
(2003年6月5日 ロイズリスト)
 
地元3大学への海運専門の教授派遣に1,600万Sドル支援=シンガポール政府
【シンガポール5日時事】シンガポール海事港湾庁(MPA)は5日、海運分野の専門家を育成するため、地元3大学に海運専門の教授を招へいするための費用として合計1600万シンガポールドル(Sドル)を支援すると発表した。シンガポール国立大学(NUS)など地元3大学に、海運専門の教授による講座が誕生するのは今回が初めて。
 1600万Sドルのうち、400万Sドルは南洋工科大学(NTU)での海運管理、800万SドルはNUSの海運法と海運経済学、残り400万Sドルはシンガポール経営大学(SMU)の海運ビジネス経済学の専門の客員教授、または専門家の招へい費用に充てられる。それぞれの大学に招かれた教授は、学部学生および大学院レベルの専門コースで教えると同時に、セミナーやワークショップなども行う予定。
 MPAが今回拠出する1600万Sドルは、同国の海運分野を強化するため昨年5月に設置された5000万Sドル規模の「海運業基金(MCF)」から支出される。
(2003年6月6日 時事速報シンガポール)
 
海運統括事務所誘致を目指す優遇税制の対象を拡大=シンガポール運輸相
 シンガポールのヨー・チャウトン運輸相は5日、国際的な海運センターとしての同国の地位をさらに強化するため、海運会社の地域統括事務所誘致を目的とした優遇税制「国際海運企業認定スキーム(AIS)」の対象企業の範囲を拡大すると発表した。運輸省は今回、AISに基づく優遇税制適用に必要な船舶リスト、船舶の人員などの基準を緩和した。また同運輸相は、海運関連のローン活動を活性化するため、外貨建てオフショアローンに対する優遇税制を、接岸済みの船舶向けローンにも適用することを明らかにした。
 一方、同運輸相は、シンガポール港を運営・管理するPSAコープが、マレーシアなど近隣諸国港との競争激化を受けて昨年導入したコンテナ取扱料金の引き下げパッケージが今月末で期限を迎えることについて、同港の価格競争力は変わらないと指摘した。同相は、PSAが同パッケージを延長するかどうかは、PSAが独自に判断することだと述べた。
(2003年6月6日 時事速報シンガポール)
 
5月のPSA貨物扱い高、6%増加
 コンテナ荷役会社、シンガポール港湾公社(PSAコープ)の5月の貨物取扱高は232万TEU(20フィートコンテナ換算)で、前年同月比5.9%増加した。7日付地元紙が報じた。国内での扱い高は3.5%増の149万TEU、海外港湾(9カ国15港)での扱い高は10.1%増の82万TEUだった。国内扱い高は新型肺炎SARSの影響で減速したと関係者は見ている。PSAは最近、マレーシア・ジョホール州のタンジュンプルパス港(PTP)との競争にさらされているが、世界銀行は6日、PTP以外の域内港湾も物流拠点として台頭しつつあり、タイのレム・チャバン港がPSAにとり脅威となる可能性もある、との報告書を公表した。一方マレーシアのニュー・ストレーツ・タイムズ紙は、ノルウェー・日本合弁の海運会社、ギアバルク・プールが貨物積み替え拠点を、シンガポールからジョホール州のパシル・グダン港に移転する計画だと報じた。
(2003年6月9日 NNA)
 
仏CMA-CGMの貨物拠点はマレーシアPTPに
 消息筋によると、世界第8位の海運会社である仏CMA-CGMは、東南アジア地域の貨物積み替え拠点を、現在のマレーシア・クラン港から同国のタンジョン・プルパス港(PTP)に移転するもようだ。CMA-CGMは、1997年にシンガポール港からクラン港に拠点を移しており、その後PTPとシンガポール港が、再移転を働きかけていたが、最終的にPTPが契約を獲得したもようだ。また、マレーシアのニュー・ストレーツ・タイムズ紙は6日、英海運会社ギアバルク・プールが今年第3・四半期までに、貨物取扱拠点をシンガポール港からジョホール州パシル・グダンにあるジョホール港に移転すると報じていた。
 PTPはこれまでにも、シンガポール港の大口顧客だったマースク・シーランドとエバーグリーン・マリーンの誘致に成功しており、CMA-CGMとの契約でさらに50万TEU(20フィート標準コンテナ換算個数)もの貨物を獲得することになる。また、ギアバルクは、シンガポール港で扱っていた年間60万トンの貨物をジョホール港に移転する。ギアバルクには、商船三井が40%出資している。
(2003年6月9日 時事速報シンガポール)
 
域内拠点をジョホール港に移転=英ギアバルク−マレーシア
 マレーシア・ジョホール港の運営業者「ジョホール・ポート」のモハメド・タウフィク・アブドラ会長は5日、英国の海運会社ギアバルク・プールと4月に施設利用契約を交わしたことを明らかにした。ギアバルクは9月までに東南アジアの拠点港をシンガポールからジョホール港に移転する計画。これにより同港の取扱貨物は年60万トン増加する見通し。
 ギアバルグには、海運事業で知られるノルウェーのジェフソン一族が60%、商船三井が40%を出資している。東南アジア以外にもアルゼンチンや中国など世界6カ所に拠点を持っている。
(2003年6月9日 時事速報シンガポール)
 
タイのレムチャバン港、シンガポール国際物流ハブの地位脅かす存在に=世銀
 世界銀行は6日に発表した最新リポートで、隣国マレーシアのタンジョン・プルパス港(PTP)だけでなく、タイ東部の主要港、レムチャバン港なども、東南アジアの国際貨物取扱拠点としてシンガポール港の強力なライバルに浮上しつつあると指摘した。
 世界銀行は同リポートで、PTPとレムチャバン港の利点が、取扱コストの安さと、混雑していない道路、鉄道へのアクセスの良さなどにあると指摘。PTPについては、今後マレーシアが鉄道ネットワークを拡張し、タイ、ベトナム、カンボジアなどの港へのアクセスが確立されれば、競争力がさらに向上すると述べた。また、1991年に開港したレムチャバン港はすでに、タイと世界を結ぶ海上輸送の窓口港としての地位をバンコクから奪っており、タイ最大で、最新設備を備えた港に成長している。レムチャバン港の周辺には、米自動車大手ゼネラル・モーターズやフォード、独BMWなど主要な自動車メーカーが工場を置いており、同地域は東のデトロイトと称されている。
(2003年6月9日 時事速報シンガポール)
 
アチェ海域の航行禁止、無登録船だけ
 インドネシア船主協会(INSA)のウィディハルジャ副会長は、軍事非常事態宣言でナングル・アチェ・ダルサラーム州の海域を航行する外国船の航行が禁止されたことについて、禁止はインドネシアの港湾に無登録の場合だけで、運航には影響しないとの考えを明らかにした。
 同副会長はジャカルタ・ポストに対し、「政府が標的としているのは、適性な書類を持たずに12海里内を通行した外国船舶だけで、(海域封鎖が)マラッカ海峡の航行に影響を与えることはない」と述べた。
 また、マラッカ海峡沿いの航海ルートは戦争リスク地域にも指定されていないとした。海軍は3日、パナマ船籍のタンカーがアチェ海域を航行したためだ捕している。政府は、外国船に対する航行中止を今後正式に通達するもようだ。
(2003年6月6日 NNA)
 
元海軍トップのリュー少将がシンガポール海事港湾庁最高責任者に就任へ
 7月1日から元シンガポール海軍トップのリュー・タックヨー少将が、チェン・ツーペン長官に代わり、シンガポール海事港湾庁(MPA)の新最高責任者に就任することになった。
 現長官のチェン氏は国際海事機関(IMO)理事会の議長を務めている関係から、議長の任期が終了する今年後半まで長官の職を継続する。
 リュー少将は今年3月末で海軍トップを辞職、これまで4年間MPAの役員を務めてきた。
 チェン氏は、1996年に当時のシンガポール港湾庁(PSA)が法人化することを受け、統制機能を監督する行政機関としてMPAが設置された時から長官を務めてきた。
 シンガポール運輸省は、チェン氏のMPAにおける行政管理者としての勤めは終了したと述べた。
 チェン氏は、今年IMO事務局長に立候補すると期待され、当選が予想されていたことから、なぜ辞退したのか謎を呼んでいる。
 シンガポールは近年、地域・世界の海洋問題に益々積極的に取り組んできた。MPAは、世界第7位の船舶登録を誇るシンガポール船舶登録所の運営を含め、シンガポール港の行政機能を監督している。
(2003年6月10日 ロイズリスト)
 
星リム前情報通信・芸術相代行、海運大手NOLのCEOに就任か
 シンガポールでは、政府系海運大手ネプチューン・オリエント・ラインズ(NOL)の新しい最高経営責任者(CEO)にデービット・リム前情報通信・芸術相代行が就任するとの憶測が広まっている。NOLは、今年1月にフレミング・ジェイコブズ氏がCEOの地位を退いて以来、次期CEOの人選を進めている。
 リム氏は、政府系港湾管理会社PSAコープや蘇州工業団地など政府系企業の役職を歴任後、政界入りし、2001年11月には国務相、その後情報通信・芸術相代行へとスピード出世した。しかし、先月に突然、企業でのキャリアを追求することを理由に、閣僚の地位から辞任した。複数の消息筋によると、NOLの役員会はリム氏の任命について、市場や海運業界からの意見を聞いており、特に業界からの「否定的な意見」を検討しているもようだ。海運業界では、リム氏がPSAの幹部だった90年代半ばに、コンテナ取扱料の大幅値上げを推進した人物とみているようだ。NOLのスポークスマンは、新しいCEOについては今月末までに発表するとの見通しを示した。
(2003年6月12日 時事速報シンガポール)
 
ジョホールへの拠点移転後も星から完全撤退せず=英海運会社ギアバルク
 英海運会社ギアバルクの幹部は12日、同社が東南アジア地域の貨物取扱拠点をシンガポールから隣国マレーシアのジョホール港に移転した後も、引き続きジュロンを含めたシンガポール港の利用を続ける方針を明らかにした。マレーシアのメディア報道によると、ジョホール港のタウフィク・アブドラ会長は、ギアバルクが今年第3・四半期までに貨物拠点を同港に移転すると述べていた。
 商船三井が40%を出資するギアバルクは、主要オフィスを北アイルランドと南アフリカに置き、16カ国に拠点を持っている。マレーシアの実業家サイド・モクタル氏が経営権を握るジョホール港とタンジョン・プルパス港(PTP)はこれまでに、シンガポール港からマースク・シーランドや台湾のエバーグリーン・マリーンなど大手顧客の引き抜きに成功している。
(2003年6月13日 時事速報シンガポール)
 
インドネシア船主協会「アチェ封鎖、マラッカ海峡の航行に影響なし」
米海軍アチェへの警備集中でインドネシアの他の地域での海賊事件増加を警告
 インドネシア船主協会(INSA)副会長でもあり、PT Berlian Lajuタンカー社の社長でもあるウィディハルジャ氏は、軍事非常事態宣言の出ているアチェ海域の外国船舶航行禁止について、航行禁止はインドネシアの港湾に無登録の船舶にのみ適用され、マラッカ海峡の航行には影響しないと述べた。
 同副会長はジャカルタ・ポストに対し、「政府が標的としているのは、適切な書類を持たずに12海里内を通行した外国船舶だけで、アチェ海域封鎖がマラッカ海峡の航行に影響を与えることはない」と述べた。
 アチェ海域封鎖によりマラッカ海峡北部での海賊事件は減少すると予想される一方、米海軍情報部はインドネシア軍の警備がアチェに集中することから、インドネシアのほかの地域で犯罪が増加するのではないか、特に、クラサ海峡東部での海賊被害が急増するのでないかと警告している。
 ただし、封鎖が国連海洋法条約の下でインドネシアに求められている自由な国際航行の提供とどう関係するかは明らかではない。
 また、5月下旬には、タイとインドネシアの海軍がインドネシアとスリランカの反政府運動への武器の密輸を抑えるため、南部タイ沿岸を共同パトロールすることを発表している。
(2003年6月16日 シッピング・タイムズ)


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