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戦前日本の最優秀客船 新田丸

 事業名 海事科学知識の普及啓蒙活動
 団体名 日本海事科学振興財団 注目度注目度5


 
Q1 いつ建造されて、お値段はいくら?
A 日本郵船の発注で、昭和13年(1938)5月9日起工(工事を始めること)、昭和15年(1940)3月23日に竣工しました。建造期間は約2年、船価(船の建造費)は、約1200万円(現在の価格で約300億円)、内410万円の助成金を国から受けています。
 
“新田丸”起工式における神事(しんじ)
 
Q2 どんなことに使われたの?
A 旅客機がまだない時代、海外への渡航手段は船しかありません。“新田丸”は、当初欧州(ヨーロッパ)航路の定期客船として計画されましたが、第二次世界大戦の勃発(ぼっぱつ)により日米を結ぶ太平洋航路に就航しました。また、絹製品専用の絹物室、郵便物室などを含む5つの貨物倉があり、正確には貨客船でした。
 
太平洋航路に就航した“新田丸”の絵葉書
 
Q3 太平洋を横断するのに何日かかったの?
A 現代のジェット旅客機を使えば9〜12時間の太平洋横断も、“新田丸”の場合航海速力19ノット(約35km/時)と、当時快速を誇ったとはいえ、神戸を出帆して横浜、ホノルル、サンフランシスコを経由し、ロサンゼルスに到着するのに約2週間かかりました。
 
Q4 どうして“新田丸”というの?
A 船の名前は、船主が進水時に命名しますが、“新田丸”の名前は群馬県太田市の新田神社に因んで(ちなんで)命名されました。ちなみに、2番船は“八幡(やわた)丸”、3番船は“春日(かすが)丸”(客船として完成しませんでした)で、各船名の英文頭(かしら)文字をつなげると日本郵船株式会社の「N・Y・K」となるように考えられていました。
 
Q5 客室にはどんな等級があったの?
A 当時の客室は大別して、一等、二等、三等の三段階に区分けされていました。“新田丸”の場合、最上級の一等客室が最も多く70室(特別室2室を含む)、二等客室は30室、三等客室は2段ベッドの2〜6名定員で18室ありました。特に、一等客室は全室が世界で初めて冷暖房完備となっていました。
 
Q6 客室以外にどんな部屋があったの?
A 一等船客用に、映画も上映できる食堂、ラウンジ、喫煙室、読書室、水泳場、体育室、舞踏(ぶとう)室などの公室があり、二等船客用には食堂、ラウンジ、喫煙室、水泳場(臨時)など、三等船客用にも食堂と喫煙室が用意されていましたが、各等級は公室を含め区分けされ、共通区画以外は行き来できませんでした。
 
Q7 どんなエンジンを積んでいたの?
A 重油を焚いて(たいて)お湯を沸かし(わかし)、発生した蒸気を羽根車に吹き付けて回転力を得る蒸気タービンと呼ぶエンジンを2基装備していました。常用出力は合計で21,000馬力、最大出力は合計で28,359馬力に達し、当時のわが国客船中最大のパワーを誇りました。
 
Q8 船内のインテリアはどんなだったの?
A それまでの外航客船の内装は、技術的な問題と一等船客の多くが欧米人だったこともあり、西洋クラシック様式の重厚なインテリアにするのが慣例でした。しかし“新田丸”は、船内装飾も日本古来の美術・工芸を現代に生かした「現代日本様式」とも呼べるインテリアを採用し注目を集めました。
 
日本の美を生かした船内デザイン(一等食堂)
 
Q9 なぜ空母に改造されたの?
A 有事(戦争など)の際に軍艦となることを前提に建造されたため「優秀船舶建造助成施設(ゆうしゅうせんぱくけんぞうじょせいしせつ)」と呼ばれる多額の助成金を受けていました。その結果、太平洋戦争の始まる直前に海軍に徴用(ちょうよう)、後に買収(ばいしゅう)されて昭和17年(1942)11月航空母艦(空母)“冲鷹(ちゅうよう)”に改造されました。
 
空母“冲鷹”に改造された“新田丸”
 
Q10 最期はどうなったの?
A 航空母艦になったとはいえ、商船からの改造では速度や設備など不十分で、制式な空母として働くことはできず、主に前線への飛行機の輸送に使われました。最期は、昭和18年(1943)12月3日八丈島東方洋上でアメリカの潜水艦“セイルフィッシュ”の魚雷攻撃を受け損傷、翌4日に再び雷撃(らいげき)され沈没しました。


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