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VI-8 計算結果とまとめ
VI-8-1 計算結果
1 スキマーによる回収防除シミュレーション
 流出8時間後におけるスキマーによる回収油量等の比較を表VI-8.1及び表VI-8.2に示す。
 
表VI-8.1
回収油量等の比較(8時間後、ケース4、ケース5、ケース6)
項目 無対策 スキマーによる回収防除  
ケース2
50kl
ケース4
50kl
スキマー1基
TRANSREC250
ケース5
50kl
スキマー1基
TDS-200
(※)
ケース6
50kl
スキマー2基
TRANSREC250
TDS-200
(1)海上の残存油量[kl]
60.1
2.6
6.5
0.7
(2)陸岸への漂着量[kl]
0.0
0.0
0.0
0.0
(3)スキマーの総回収油量[kl]
0.0
34.5
28.5
34.9
(4)蒸発量[kl]
24.1
19.1
22.6
19.1
回収率((3)÷((1)+(2)+(3))×100)
-
93.0
81.4
98.0
(※)ポンプ能力(70kl/hour)×回収効率(0.62)×スループット効率(0.52)を回収能力の上限として計算結果を補正した。
 
表VI-8.2
回収油量等の比較(8時間後、ケース7、ケース8、ケース9)
項目 無対策 スキマーによる回収防除  
ケース3
100kl
ケース7
100kl
スキマー1基
TRANSREC250
ケース8
100kl
スキマー1基
TDS-200
(※)
ケース9
100kl
スキマー2基
TRANSREC250
TDS-200
(1)海上の残存油量[kl]
119.5
9.6
25.1
3.3
(2)陸岸への漂着量[kl]
0.0
0.0
0.0
0.0
(3)スキマーの総回収油量[kl]
0.0
66.0
48.1
68.4
(4)蒸発量[kl]
48.1
38.7
45.9
38.6
回収率((3)÷((1)+(2)+(3))×100)
-
87.3
65.7
95.4
(※)ポンプ能力(70kl/hour)×回収効率(0.62)×スループット効率(0.52)を回収能力の上限として計算結果を補正した。
 
 ケース5では、TDS-200の性能を考慮して、シミュレーション結果で得られた回収油量のうち、3.8[kl]をスキマーの能力以上に回収できた分として、(3)スキマーの総回収油量から差し引き、(1)海上の残存油量へ足し合わせて補正を行った。同様に、ケース8では、14.3[kl]を(3)から(1)へ移動させて補正を行った。
 ケース6では、総回収油量34.9[kl]のうち、TRANSREC250による回収油量が31.3[kl]、(90%)、TDS-200の回収油量が3.6[kl](10%)であった。
 同様に、ケース9では、総回収油量68.4[kl]のうち、TRANSREC250による回収油量が61.6[kl](90%)、TDS-200の回収油量が6.8[kl](10%)であった。
 スキマーの回収能力の違いもあるが、TRANSREC250は、TDS-200よりも流出地点に近い場所でオイルフェンスを展張して回収作業を実施したことから、回収油量が多くなったものと考えられる。
 
 流出72時間後におけるスキマーによる回収油量等の比較を表VI-8.3及び表VI-8.4に示す。
 
表VI-8.3
回収油量等の比較(72時間後、ケース4、ケース5、ケース6)
項目 無対策 スキマーによる回収防除  
ケース2
50kl
ケース4
50kl
スキマー1基
TRANSREC250
ケース5
50kl
スキマー1基
TDS-200
(※)
ケース6
50kl
スキマー2基
TRANSREC250
TDS-200
(1)海上の残存油量[kl]
64.7
2.8
6.7
0.8
(2)陸岸への漂着量[kl]
0.0
0.0
0.0
0.0
(3)スキマーの総回収油量[kl]
0.0
34.5
28.5
34.9
(4)蒸発量[kl]
24.1
19.1
22.6
19.1
回収率((3)÷((1)+(2)+(3))×100)
-
92.5
81.0
97.8
(※)ポンプ能力(70kl/hour)×回収効率(0.62)×スループット効率(0.52)を回収能力の上限として計算結果を補正した。
 
表VI-8.4
回収油量等の比較(72時間後、ケース7、ケース8、ケース9)
項目 無対策 スキマーによる回収防除  
ケース3
100kl
ケース7
100kl
スキマー1基
TRANSREC250
ケース8
100kl
スキマー1基
TDS-200
(※)
ケース9
100kl
スキマー2基
TRANSREC250
TDS-200
(1)海上の残存油量[kl]
129.7
10.4
26.1
3.6
(2)陸岸への漂着量[kl]
0.0
0.0
0.0
0.0
(3)スキマーの総回収油量[kl]
0.0
66.0
48.1
68.4
(4)蒸発量[kl]
48.1
38.7
45.9
38.6
回収率((3)÷((1)+(2)+(3))×100)
-
86.4
64.8
95.0
(※)ポンプ能力(70kl/hour)×回収効率(0.62)×スループット効率(0.52)を回収能力の上限として計算結果を補正した。
 
 8時間後の結果と同様、ケース5、ケース8には、それぞれ3.8[kl]、14.3[kl]の回収油量を海上の残存油量へ移動させて補正を行った。
 
2 分散剤による分散防除シミュレーション
 流出9時間後における分散剤による分散油量等の比較を表VI-8.5に、流出72時間後における分散剤による分散油量等の比較を表VI-8.6に示す。
 
表VI-8.5
分散油量等の比較(9時間後、ケース10、ケース11)
項目 無対策 分散剤による分散防除 
ケース1
10kl
ケース10
10kl
航空機1機
セルフミキシングS-7
ケース11
10kl
航空機2機
セルフミキシングS-7
(1)海上の残存油量[kl]
12.2
1.7
0.4
(2)陸岸への漂着量[kl]
0.0
0.0
0.0
(3)分散剤による総分散油量[kl]
0.0
6.8
7.1
(4)蒸発量[kl]
4.9
4.8
4.8
分散率((3)÷((1)+(2)+(3))×100)
-
80.0
94.7
 
表VI-8.6
分散油量等の比較(72時間後、ケース10、ケース11)
項目 無対策 分散剤による分散防除 
ケース1
10kl
ケース10
10kl
航空機1機
セルフミキシングS-7
ケース11
10kl
航空機2機
セルフミキシングS-7
(1)海上の残存油量[kl]
12.8
1.8
0.4
(2)陸岸への漂着量[kl]
0.0
0.0
0.0
(3)分散剤による総分散油量[kl]
0.0
6.8
7.1
(4)蒸発量[kl]
4.9
4.8
4.8
分散率((3)÷((1)+(2)+(3))×100)
-
79.1
94.7
 
 ケース11では、総分散油量7.1[kl]のうち、航空機Aによる分散量は3.2[kl]で、航空機Bによる分散量は3.9[kl]であった。2機の航空機の分散量が異なる理由としては、それぞれの航空機が遭遇した流出油量の違いがそのまま分散量に反映されたためと考えられる。
 
VI-8-2 まとめ
 
1 スキマーによる回収防除シミュレーション
 表VI-8.1より、50klの海上流出油量に対し、スキマー2基で物理的回収を行った場合(ケース6)は、流出8時間後である第1日目の夕方までに98.0%の油を回収し、この時の海上の残存油量は0.7klとなる。
 また、流出後丸3日経過した72時間後では、表VI-8.3より、回収率97.8%、海上の残存油量は、風化の影響より若干増加して0.8klとなる。
 表VI-8.2より、100klの海上流出油量に対し、スキマー2基で物理的回収を行った場合(ケース9)は、流出8時間後である第1日目の夕方までに95.4%の油を回収し、この時の海上の残存油量は3.3klとなる。
 また、流出後丸3日経過した72時間後では、表VI-8.4より、回収率95.0%、海上の残存油量は、風化の影響より若干増加して3.6klとなる。
 以上から、50kl及び100klの海上流出油量に対し、夕方までの防除作業でスキマー2基により十分に回収が可能であることが分かった。
 
2 分散剤による分散防除シミュレーション
 表VI-8.5より、10klの海上流出油量に対し、回転翼航空機2機で自己かく拌型油分散剤S-7による分散防除を行った場合(ケース11)は、流出9時間後である第1日目の夕方までに94.7%の油を分散させ、この時の海上の残存油量は0.4klとなる。
 以上から、10klの海上流出油量に対し、回転翼航空機2機により夕方までの作業で十分に分散処理が可能であることが分かった。
 また、分散剤使用量については、回転翼航空機1機の場合は、VI-7 2(4)図VI-7.11より夕方までの作業で散布タンク7回分の2,940リットル使用する。
 回転翼航空機2機の場合は、VI-7 2(4)図VI-7.12より夕方までの作業で散布タンクタンク14回分の5,880リットル使用する。


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