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5 調査結果
(1)予備実験(ポンプの吐出量確認)
 調査結果を表II-2.7に示す。
 ポンプの吐出圧力が1.0 kgf/cm2の時は、ポンプ吐出量は509 l/min(30.5m3/h)、
 1.5 kgf/cm2の時は、750 l/min(45.0m3/h)、2.0 kgf/cm2の時は、909 l/min(54.5m3/h)であった。
 
表II-2.7 ポンプの吐出量
試験番号 吐出圧力 100リットル吐出する時間 吐出量
1
1.0 kgf/cm2
11.8秒
509 l/min(30.5m3/h)
2
1.5 kgf/cm2
8.0秒
750 l/min(45.0m3/h)
3
2.0 kgf/cm2
6.6秒
909 l/min(54.5m3/h)
 
(2)鉛直方向の吐出水の吐出深さの調査
 調査結果を表II-2.8に示す。
 小型試験水槽での実験結果と同様に、水面からの吐出高さが高いほど水中に生じる水流が小さく(浅く)なることが分かった。
 水中に生じる水流の状況を写真II-2.16〜写真II-2.19に示す。
 
表II-2.8 鉛直方向の吐出水の吐出深さ
試験番号 吐出圧力 鉛直方向の吐出深さ(cm)
水面上200cm 水面上100cm 水面上10cm 水面上
1
1.0 kgf/cm2
-15
-27
-35
-33
2
2.0 kgf/cm2
-10
-30
-50
-60
 
写真II-2.16 水面上200cmから吐出
 
写真II-2.17 水面上100cmから吐出
 
写真II-2.18 水面上10cmから吐出
 
写真II-2.19 水面上から吐出
 
(3)斜め方向の吐出水の吐出深さの調査
 調査結果を表II-2.9に示す。
 吐出口を水槽水面に斜め45度の向きで吐出した結果、水面に垂直に吐出した場合と比較して若干水流が小さく(浅く)なることが分かった。
 水中に生じる水流の状況を写真II-2.20に示す。
 
表II-2.9 斜め方向の吐出水の吐出深さ
試験番号 吐出圧力 鉛直方向の深さ(cm) 水平方向の幅(cm)
1
1.0 kgf/cm2
-30
100(+30〜130)
2
2.0 kgf/cm2
-25
130(+30〜160)
※ 水面上100cmの高さから吐出
 
写真II-2.20 水面上100cm、斜め45度で吐出
 
II-2-5 まとめ
1 油水分離装置の貯油能力等の調査
 模型フロート部からのオーバーフローのために、試験油の投入が不可能となった時の模型スカートの深さに対する油層の割合は、灯油を投入した場合は43%、FBK46を投入した場合は45%であり、残り半分前後は水層となっている。このことから、静水中は模型スカートの深さに対して40数%の貯油能力があることがいえる。
 また、試験油の比重の違いによる影響は見られなかった。
 
2 異なる油種による油水分離状況等の調査
 灯油の混合油水の場合、投入開始後、5分弱でスカート下部から白濁層が通過するのが見られ、FBK46の混合油水の場合、45リットル投入した時点でスカート下部から白濁層が通過するのが見られた。この時のスカートの深さに対する油層の割合は、灯油、FBK46とも全体の14%であり、試験油の比重の違いによる影響は見られなかった。
 このことから、混合油水を投入した際には、静置分離を十分に行う必要がある。
 
3 吐出高さに対する吐出深さの調査
 小型試験水槽及び訓練水槽において、吐出水の高さ及び方向を変化させて、水中に生じた水流の状況を調査した結果、いずれの場合も水面からの吐出高さが高いほど水中に生じる水流が小さく(浅く)なることが分かった。
 また、吐出口を斜め45度の向きで吐出した結果、水面に垂直に吐出した場合と比較して水流が小さく(浅く)なることが分かった。
 このことから、回収した混合油水を円筒形簡易油水分離装置等に投入する際には、混合油水が飛び散らない程度に、ある程度の高さから斜め方向で投入すれば、水中に生じる水流が小さくなり、混合油水がスカートの下をくぐって装置外に出ることを防ぐことができる。


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