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II-2-3 吐出高さに対する吐出深さの調査(小型試験水槽)
 小型試験水槽の水面上部、水面、水面下部から海水を吐出し、水中に生じた水流の状況(吐出水の吐出深さ)を調査することにより、油水分離試験時における混合油水の吐出高さを決定した。
 
1 環境条件
 II-2-2 異なる油種による油水分離状況等の調査に同じ。
2 使用資機材等
 使用資機材等を表II-2.1に示す。
3 調査方法等
(1)小型試験水槽に自然海水約500リットル(水槽で50cmの深さ)を水中ポンプで注入した。
(2)移送ポンプの吸入口を小型試験水槽内にセットし、吐出口を水面から上方20cmの位置に固定した。
(3)移送ポンプを起動し、水中に生じた吐出水流の状況を調査するとともに、吐出水の水中での速度が0になる深さを計測した。
(4)計測終了後、移送ポンプを停止した。
(5)(3)、(4)を吐出高さを水面上、水面から下方10cmの位置で実施するとともに、吐出口を水槽水面の斜め45度の向きで実施した。
(6)小型試験水槽に模型を浮かべ、吐出口を水槽水面の斜め45度の向きで実施した。
(7)吐出水の水中での速度が0になる深さが一番小さくなる条件を、以後の油水分離試験時における混合油水の吐出高さに採用した。
4 計測項目
 吐出水の深さ(cm)
 水中に生じた水流の状況
5 調査結果
 調査結果を表II-2.6に示す。
 水面からの吐出高さが高いほど水中に生じる水流が小さく(浅く)なることが分かった。これは、水面上で吐出された場合、水流が水面に当たることにより水流の持つ運動エネルギーが減少し、水中への影響が小さくなるためと考えられる。
 また、吐出口を水槽水面に斜め45度の向きで吐出した結果、水面に垂直に吐出した場合と比較して水流が小さく(浅く)なることが分かった。
 以上から、混合油水の吐出高さは、水面上方20cmの位置が適当であるといえる。
 
表II-2.6 吐出高さに対する吐出深さの調査結果
 
水面からの吐出高さ(cm) 吐出流量
(リットル/min)
吐出角度(度) 吐出水の深さ(cm) 水中に生じた水流の状況
+20 47.2 0 水面上から25〜30cm
0 47.2 0 水面上から56cm(水槽下部) 水槽の下部まで当たるのが目視で確認できる
-10 47.2 0 同上 同上
+20 47.2 45 水面上から10cm 水平方向に50cmほどの長さの水流が確認できる
0 47.2 45 水面上から20cm 水平方向に50cmほどの長さの水流が確認できる
 
II-2-4 吐出高さに対する吐出深さの調査(訓練水槽)
 訓練水槽の水面上部及び水面付近から消防ホースで水を吐出し、水中に生じた水流の状況(吐出水の吐出深さ)の調査を行った。
 
1 環境条件
(1)実験場所 海上災害防止センター防災訓練所(横須賀)
(2)天候 晴れ
(3)風向・風速 北の風 3m/s
(4)外気温 27.3℃
(5)水温 23℃
(6)湿度 77%
2 使用資機材等
(1)水流発生装置用ポンプ エバラ 80MS 1台
(2)消防ホース 65A×20m 1本
(3)スチールスケール 1本
(4)目盛板 1本
(5)大型ポリバケツ 1個
(6)ストップウオッチ 1個
3 調査方法等
(1)予備実験(ポンプの吐出量確認)
(1)水流発生装置のポンプの吐出側配管に消防用ホース1本を取り付け、吐出用ホースとした。
(2)吐出用ホースを訓練水槽上の移動ブリッヂの上に展張し、先端を水槽窓の近くに配置した。
(3)吐出用ホースをしっかりと支えた状態でポンプを起動し、ホースからの吐出水を水槽内に放出した。
(4)吐出圧力が1kgf/cm2に整定した後、大型ポリバケツに吐出水を注入し、計測を開始した。
(5)大型ポリバケツ内への水の注入量が100リットルとなった時点で計測を終了した。
(6)計測時間から単位時間あたりの吐出量の計算を行った。
(7)(4)〜(6)を吐出圧力1.5及び2kgf/cm2で行った。
 実験の準備状況を写真II-2.12及び写真II-2.13に、計測時の状況を写真II-2.14に示す。
 
写真II-2.12 吐出ホースの状況
 
写真II-2.13 吐出ホース先端の状況
 
写真II-2.14 計測時の状況
 
(2)鉛直方向の吐出水の吐出深さの調査
(1)吐出用ホースをしっかりと支え、ホースの高さを水面上200cmの位置に固定した状態でポンプを起動し、ホースからの吐出水を水槽内に放出した。
(2)吐出圧力が1kgf/cm2に整定した後、水槽窓から水中に生じた水流の状況を観察するとともに、吐出水の水中での速度が0になる深さを計測した。
(3)計測終了後、ポンプを停止した。
(4)(1)〜(3)を吐出高さを水面上100cm、水面上10cm、水面上の位置及び吐出圧力2kgf/cm2で実施した。
(3)斜め方向の吐出水の吐出深さの調査
(1)吐出用ホースをしっかりと支え、ホースを水面上100cmの高さから斜め45度の向きの位置に固定した状態でポンプを起動し、吐出水を水槽内に放出した。
(2)吐出圧力が1kgf/cm2に整定した後、水槽窓から水中に生じた水流の状況を観察するとともに、吐出水の水面からの吐出深さ及び水平方向の幅を計測した。
(3)計測終了後、ポンプを停止した。
(4)(1)〜(3)を吐出圧力2kgf/cm2で実施した。
 実験の状況を写真II-2.15に示す。
 
写真II-2.15 実験の状況
 
4 計測項目
(1)予備実験(ポンプの吐出量確認)
 ポンプが100リットル吐出するのに要する時間(秒)
(2)鉛直方向の吐出水の吐出深さの調査
 鉛直方向の吐出深さ(cm)
(3)斜め方向の吐出水の吐出深さの調査
 鉛直方向の吐出深さ(cm)
 水平方向の幅(cm)


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