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図26 受信データ
 
 そこで、このソーナー方程式を用いて、実際に収録されたANKOUデータから、後方散乱強度を計算した。図27は、研究対象エリアである。泥火山の周辺のリファレンスコアサンプルを取得した位置を含めるようにラインAを設定し、同じくコアサンプルを取得した第3熊野海丘を含めるようにラインBを設定した。図28は、当該海域の等深線図である。これより研究対象エリアは、深度約2000mの比較的平坦な海域であり、各泥火山は、幅2km程度で、標高差約60m程度であることがわかる。
 ラインAおよびラインBおいて、収録したANKOUファイルから受信データを抽出し、後方散乱強度を求めたものを図29及び図30に示す。これらには、dB値に変換した受信データも同時に示す。両図より、ラインA、ラインBともに、受信データは、60dB前後の値になり、後方散乱強度は、直下近傍以外は、-30dB前後の値になっており、サンプルデータを使用して計算した結果とほぼ同様の傾向を示した。
 また、本研究で使用するcomposite roughness + volume散乱モデルを使用して作成したJackson et al.(1986)による後方散乱強度分布モデルを図31に示す。これよりANKOU収録ファイルより求めた後方散乱強度は、モデルとの比較が可能であることがわかる。これらから本研究では、表4のソーナー方程式から求めた後方散乱強度を使用することとした。
 
図27 後方散乱強度を計算した位置
 
図28 対象地域の等深線図
 
図29 ラインAの後方散乱強度
 
図30 ラインBの後方散乱強度
 
図31 Jackson et al.(1986)による後方散乱強度のモデル
 
(2)画像データ
 2つの底質分類方法の1つである「後方散乱強度値による海底画像より分類する方法」を行うために、画像の前処理を実施する。本研究では以下の手順に従い、画像データを作成した。本研究では、通常得られる画像データではなく上記で用いたソーナー方程式から得られる後方散乱強度値を使用する。
 最初に、本調査海域における後方散乱強度値の最大値および最小値を調査した。その結果、最大は35.93dB、最小は-95.67dBであった。一方後方散乱強度データを画像として扱うためには8ビットの整数とした方が扱いやすい。また、大きい値は大きく、小さい値は小さく表現されている方が扱いやすい。
 そこで、本研究では、最小の音響散乱強度値を画像データの最低レベルに近づけ、且つ後方散乱強度の変化曲線をそのまま維持することを目的として、後方散乱強度値と画像データの関係を
画像データ=後方散乱強度値+100(小数点以下切り捨て)
とし画像データを作成した。
 求めた画像データに対して以下の補正処理を実施した。
 このようにして作成した画像データに対し前処理として、濃度補正、海面反射データ除去処理、不良データ除去処理を実施し、さらに必要な場合には歪み補正を実施した。


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