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(2)侵入盗犯特性の整理〜取調官アンケート結果より
(犯人の特性)
 侵入盗犯人の7割が滋賀県を犯行地に選んだ理由として「土地勘を有していること」としているが、「交通の便の良さ」を理由にあげる犯人もいる。また、犯行の動機をみると、半数は「遊興費ほしさ」で占められる
 
図表1-3 滋賀県で犯行した理由
 
(被害発生地域の特徴)
 無施錠のため侵入を許すケースが多く、住民の防犯意識向上が課題。また、「周辺地域の監視性が低い」「建物の防犯性能が低い」といった特性のある地域・建物が被害に遭い易い傾向
 
図表1-4 侵入しにくい建物条件
 
(犯行行動の特性)
 侵入時間は9割が5分以内、侵入を諦める時間は7割が10分を目安、防犯対策(施錠の徹底、防犯機器設置)による、侵入しにくい環境づくりが重要。一度犯行を行った地域で再犯の傾向、建物の防犯対策だけでなく、監視性の確保など地域全体での防犯環境づくりが必要
 
図表1-5 侵入を諦める時間
 
(3)県民防犯意識特性の整理〜第37回滋賀県世論調査より
●犯罪遭遇への不安は県民の約半数が感じている。特に、「空き巣・忍び込み」に対する不安が高い
●約9割が日頃から防犯に留意。しかし「ひったくり防止ネット」「防犯ブザーの携行」等の積極的取組は少ない
●地域防犯活動への参加経験者は約3割。今後望まれる防犯活動としては「警察のパトロール強化」が最も多く、次いで「外灯・防犯灯の設置」。「地域活動」「自主防犯組織の結成」についても必要性の認識が高い
 
図表1-6 今後望む防犯活動
 
(4)自主活動団体支援事業の成果状況〜自治体及び活動団体アンケート結果より
●自主活動の活性化や治安の向上に効果。支援→「ジャンパー等の装備の充実」→「メンバーの意欲向上」→「活動活性化」→「地域での活動認知や信頼感向上」という好循環が形成
●反面、人材確保・地域連携など、組織基盤強化や活動の継続性を課題とする団体も多く、経済支援で解決できない問題に対し、団体の発展段階に応じた支援メニューが必要となる
 
図表1-7 支援が自主活動団体や地域に与えた効果(自主活動団体による回答)
 
3 地域防犯に関する動向のまとめ
○全国および滋賀県においても刑法犯認知件数は急増傾向にあり、警察のパトロールや犯罪の取締り強化だけでなく、地域関連主体が連携した地域防犯活動の取組が求められている。
○滋賀県では「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例の制定により、自主活動団体への支援事業を展開、活動活性化の好循環形成の契機となっている。地域の団体側では組織基盤の強化による活動の継続性確保(メンバーの意欲や人材確保、地域連携)が課題となっており、経済的支援に限らず、団体の発展段階に応じた支援メニューが必要とされている。
○県民の犯罪に対する不安感は高く、特に侵入盗犯罪に対する不安感が高くなっており、地域でのパトロール等の防犯活動や自主防犯組織結成の必要性についての認識が高まってきている。
○侵入盗の犯行特性から、建物個別の「被害対象の強化」、地域全体での「監視性の確保」、「領域性の強化」など防犯環境設計に対応した取組の実践が犯罪抑止に効果があることが裏付けられた。
○地域課題を共有し、問題解決に向けて地域住民自らPDCAサイクルで、犯罪の起こりにくい環境づくりや自主的な地域防犯活動を実践する「地域自衛型防犯」の取組・展開が必要である。







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