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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2005/05/22 朝日新聞朝刊
(社説)人民元 自ら進んで切り上げを
 
 中国政府が人民元を切り上げる「Xデー」をめぐり、市場は浮足立っている。
 人民元の改革に手を付けないのなら、半年後には中国を「為替操作国」に認定して貿易制限などの措置をとる。米財務省が強い調子の報告書を議会に出したことで、切り上げが早まるとの観測が広がっているからだ。
 中国政府は、人民元をドルと連動させることで、実質的な固定相場制を続けてきた。このため、中国製品の競争力が強まろうが、最近のようにドルが他国の通貨に対して弱くなろうが、人民元は高くならず、有利な条件で輸出ができる。
 これに中国製品の輸入増に悩む各国は不満を募らせている。とりわけ米国には中国から大量の繊維製品が流れ込み、その一部についてセーフガード(緊急輸入制限)を発動したほどだ。米政府も議会も、人民元は意図的に安く抑えられているとの批判を強めている。
 中国政府は、人民元を改革するための準備は整いつつあるとしながらも、いつ、どんな方法を取るのかについては口を閉ざしている。6月から繊維製品の輸出関税を上げるが、これは目先の摩擦を和らげる対症療法に過ぎない。
 世界貿易の主要プレーヤーとなった中国である。市場の評価を反映して人民元の相場が決まる柔軟な仕組みに切り替えていくべきだろう。
 為替制度だけに手を付ければ済むわけではない。国境をまたぐ資本の流れを太く、滑らかなものにする取引ルールの整備が急がれる。非効率な国営企業が抱える不良債権の処理も進めないと、自由化で大混乱を招く。土台づくりにあわせて改革を段階的に進めることが必要だ。
 こうした米中の関係から連想されるのは、84年の日米円ドル委員会である。「貿易不均衡の原因は、日本が閉鎖的な金融市場を使って円安にしているからだ」という米国側の疑念から生まれた会議だった。日本側は金融の自由化に消極的で、さしたる成果もないままに終わってしまった。
 そして、経常赤字の拡大にたまりかねた米国は翌年のプラザ合意で主要国を巻き込み、一気にドル安に持ち込んだ。その結果、日本では円高不況を懸念して金融が緩むなかで、バブル景気に突入した。金融自由化の遅れが、日本国内の土地や株式への過度の投資につながったとの指摘もある。
 通貨の切り上げにしても、金融の自由化にしても、自らの都合や「外圧」への反発からかたくなに拒み続けると、逆に国内経済をゆがめて大きな付けを払わされる。日本が学んだ苦い教訓である。
 市場では、7月の主要国首脳会議や秋の国連総会での米中首脳会談のころに「Xデー」が来るとみている。
 中国が前車の轍(てつ)を踏みたくないのなら、市場の機先を制するぐらいの意気込みで、為替や資本市場の自由化に取り組むべきだろう。
 
 
 
 
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