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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2005/03/15 朝日新聞朝刊
(社説)中国 投資リスクを直視せよ
 
 中国経済がいよいよ過熱している。
 華南経済圏の中心である広州市を訪ねると、日本の自動車工場の進出で沸き返っていた。1998年に操業を始めたホンダに続き、昨年は日産自動車の新工場が稼働し、来年はトヨタ自動車とホンダの第2工場が生産を始める。
 いずれも中国との合弁で、3社のこの地域での生産能力は年間約100万台に迫る。日本全体の1割にあたる。
 これらの工場への納入を狙う日系の自動車部品工場も次々と誕生している。最近は大手の1次下請けだけでなく、2次3次の中小企業も進出している。
 工場や従業員へのサービスを当て込んで、市街地には新しい事務所や商店ができ、郊外にはマンションが林立する。高度成長期の日本を思わせる光景だ。
 しかし、中身は随分と異なる。
 日本の設備投資の原資は国民の貯蓄だったが、中国は海外からの投資にも依存している。そこで妙なことが起きる。
 中国では中央銀行による金融引き締めで自動車ローンの条件が厳しくなり、実は車の売り上げが鈍っている。ところが、海外からの投資家には金融政策の縛りが及ばず、投資の勢いが止まらないのだ。このままでは、過剰投資による供給過剰を招きかねない。
 また中国では、農村部から都市部への人の移動に規制がある。数年で帰郷することを前提に工場で働く出稼ぎ労働力も多い。かつては賃金を低く抑えるには好都合とされてきた仕組みだが、これでは熟練労働者が育たず、産業発展の足かせになる恐れもでてきた。
 工場労働者の賃金も全体に上昇しており、日系企業でも労働争議が起き始めている。上海カネボウ化粧品で今年1月、女性社員がいっせいに出勤を拒否した事件は、従業員との日頃のコミュニケーションの重要さを華南の日系企業にも痛感させることになった。
 政治的なリスクも膨らんでいる。各地で起きている農民暴動の背景には、都市との経済格差や地方政府の不正に募る農村部の不満がある。反国家分裂法の成立にみられる台湾との緊張や、日中関係の将来に不安を感じる日系企業も多い。
 中国に進出したものの、企業活動に関する法制度の不備や、官僚の裁量の大きさ、腐敗、行政の非効率に苦しむ話も依然として絶えない。
 日本の進出企業は、これらのリスクを避けるために、日本の商工会や日本貿易振興機構などを通じて互いに情報を交換したり、中国の行政当局に要望を出したりしている。とはいえ、進出企業のすそ野が広がるにつれてトラブルはこれからも増えそうだ。市場経済としては中国がまだまだ発展途上だということを忘れてはならないだろう。
 知的所有権などの法整備から農村部の安定まで、投資環境の改善は急務である。日本政府は世界貿易機関や日中協議の場で改善を迫る必要がある。
 
 
 
 
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