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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2004/12/12 朝日新聞朝刊
(社説)日中関係 「政冷経熱」で済むのか
 
 経済は熱いのに、政治は冷たい。日中関係はそんな「政冷経熱」を、いつまで続けられるのだろうか。
 シュレーダー独首相がドイツ経済界の一団を率いて中国を訪れた。首脳会談よりも数々の商談の成立が何よりのお土産だ。東京にも立ち寄ったが、欧米メディアの関心はもっぱら訪中に向けられた。
 10月にはシラク仏大統領がやはり経営者らとともに中国に飛んだ。欧州連合(EU)は中国の貿易相手として、いまや日本、米国と並ぶ。ブッシュ米大統領も先のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、胡錦涛国家主席と相互訪問の実現を確認し合った。
 そんな動きを、指をくわえて見ているしかないのが日本の経済界だ。
 経済同友会の北城恪太郎代表幹事(日本IBM会長)が最近の記者会見で「小泉総理が靖国神社に参拝することで、日本に対する否定的な見方、ひいては日系企業の活動にも悪い影響が出るということが懸念される」と語った。
 このままでは日系企業への嫌がらせや不買運動が起こるのではないか。中国でビジネスをしている企業人からは、サッカー・アジア杯の騒動もあって、そんな心配の声を聞くようになった。
 商談がうまくいった場合でも、相手の中国企業からあまり宣伝しないでくれと、くぎを刺されることがあるという。民衆の反発が怖いというのだ。
 一部のことだと信じたい。だが「政冷」が冷や水を浴びせる懸念は広がっている。すでに「経熱」ではなく「経温」という声もある。北城氏の発言は、そうした不安を代弁したものだろう。
 小泉首相と胡主席の肝いりでつくられた新日中友好21世紀委員会の日本側座長、小林陽太郎氏(富士ゼロックス会長)も、9月の記者会見で首相の靖国参拝に懸念を表明している。
 むろん、ビジネスはビジネス、外交は外交だ。経済人の損得判断がそのまま国民全体の利益にかなうとは限らない。
 しかし、これまで「経熱」は単に貿易や投資だけではなく、人と人との結びつきや交流に厚みを与え、日中関係を底支えしてきた。そうした経済人の危機感を見過ごすべきではない。
 中国社会科学院の日本研究所が行った世論調査によると、過半数の中国国民は日本に親近感を抱いていない。その理由として、多くの人が「中国侵略の歴史を真剣に反省していない」をあげた。
 日本のアニメやポップスが人気なのに、隔たりが一向に埋まらない。様々な背景があるにせよ、歴史問題は両国にあまりに重くのしかかっている。
 中国には、戦前の日本だけでなく、アジアの平和や繁栄に貢献してきた戦後の日本にも、ぜひ目を向けてほしい。
 一方、靖国問題を「適切に対処したい」と中国側に伝えた首相に求められるのは、長期的な日中関係を見据えたうえでの、大きな国益の判断である。
 
 
 
 
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