日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2004/10/20 朝日新聞朝刊
(社説)ガス田開発 日中協議で打開を急げ
 
 世界第2位の中国。第3位の日本。ふたつの大石油消費国に挟まれた東シナ海に、豊かな天然ガス資源が眠っている。これをどう分け合ったらいいのか。その答えが見えないまま、日中の緊張が高まっている。
 最大の問題は、日中それぞれに海底資源を開発できる権利がある排他的経済水域の境界線をどう引くかだ。
 日本政府は、双方の海岸からの中間線を境界とすべきだと主張してきた。中国側は、国連海洋法条約の解釈をたてに、中間線よりも日本側に張り出した大陸棚の際までをわが経済水域だと譲らない。それでも長い間、事が荒立たなかったのは、双方の主張が重なる海域での開発は互いに抑えてきたからだ。
 ところが、そんな状態が一変した。昨年着手した「春暁」鉱区をはじめ、中国が中間線からわずか数キロ中国寄りの海域でもガス田開発を始めたからだ。
 「日本側が主張する境界線よりも中国側でやっている。問題はない」と中国側は説明するが、日本側は「ガス田は地下でつながっている。日本の分まで吸い取られないか」と懸念を募らせる。
 今週も、中川経産相が、中国側が日本の水域内に鉱区を設定したという情報があるとして、事実なら中止を求めると述べた。資源問題は国家の基本戦略と深くかかわる。日本側が神経をとがらせるのは当然だろう。
 問題は、日中両国が角を突き合わせていても感情的な亀裂ばかりが広がり、事が前に進まないことだ。
 そんななかで、「春暁」開発をめぐる両国政府の初めての実務者協議が来週、北京で開かれることになった。
 むろん、両国が原則論でただちに妥協できるとは思えない。東シナ海の水域問題を国際司法裁判所に持ち込む考えも、今は日中双方にない。ならば当事者である両国が「示談」によって、事態を前に動かすしかない。
 日本は中国に対して、天然ガス資源の広がりについて調査資料の提供を求めている。日本側も、ガス田の分布や埋蔵量についてのデータを準備しなければ、交渉にはならない。双方が情報を共有することで、話し合いが始まる。
 中国側は共同開発を提唱しているが、日本側は、先行した中国の提案に乗れば損をするかも知れないと慎重だ。日中協議は、こうした問題に糸口を見いだすきっかけにもなり得るだろう。
 日本と中国が協力して、地域の経済発展を引っ張ってほしい。東アジアの国々からそんな声が強まっている。両国が海洋権益の絡む難問に道筋をつけられれば、そうした期待に応えることになる。
 中国の経済発展もあってエネルギー需給が逼迫(ひっぱく)し、原油が高騰している。新たなガス田開発がうまくいくなら、日中にも国際社会にも望ましいことだ。
 両国の対立をあおるのではなく、そんな大きな視野に立った知恵を、政界にも産業界にも期待しよう。
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
65位
(29,137成果物中)

成果物アクセス数
156,031

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年9月23日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【ダム建設について】
3.私はこう考える【死刑廃止について】
4.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
5.私はこう考える【天皇制について】
6.私はこう考える【国連について】
7.私はこう考える【自衛隊について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から