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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2004/09/20 朝日新聞朝刊
(社説)江氏の引退 より重い後継の役割
 
 89年の天安門事件以来、中国を引っ張ってきた江沢民氏が指導部から全面的に引退し、胡錦涛氏を中心とする新世代の時代に入った。
 19日に閉幕した中国共産党中央委員会全体会議で、江氏は中央軍事委員会主席を辞任し、党総書記・国家主席の胡氏が後を引き継いだ。
 来春の全国人民代表大会で国家軍事委員会主席を引き継ぐことも確実で、胡氏は党、国家、軍のトップを兼ねる最高指導者となる。
 彼は2年前の党大会で党総書記を、翌年の全人代で国家主席を、それぞれ江氏から継承した。しかし、江氏は軍事委主席だけは手放さなかった。
 胡氏や温家宝首相ら新しい世代が力をつけるまでの過渡的措置という建前だったが、最近では指導部に江、胡のふたつの極ができ、胡氏が実力を出しきれないとの声も出ていた。これからは力を発揮しやすくなるに違いない。
 胡錦涛氏はこれまで江氏と協調しながらも、独自の方針を打ち出してきた。彼の代表的な言葉の一つが「以人為本」(人をもって本となす)だ。大衆の声を重視しようという意味である。
 急速な経済発展は沿岸部を豊かにしたが、内陸部の農民など、まだまだ貧しい人々は多い。胡氏は社会が不安定になる要素を取り除くためにも社会的弱者の救済を訴え、温家宝首相とともにこの大衆路線を進めてきた。
 党内会議の内容を徐々に公表していく。幹部の外国訪問や地方視察を簡素化する。胡−温コンビが打ち出したそんな政策の人気は高い。国民の支持の広がりが、江氏に引退を決意させた背景の一つともいえよう。
 それでも行く手は容易ではない。
 経済発展と国内の格差をどう調和させるか。はびこる党幹部や党員の腐敗を食い止められるか・・・。
 新指導部にとって一番難しいのは、大衆路線を推し進めていけば民主化の問題に突き当たらざるを得ないことだ。江氏が軍事委主席にとどまっていたのは、天安門事件のような非常事態に対応するためという理由もあった。
 対外的には、国連重視を基本にしつつ対米協調に重点を置く姿勢は変わらないだろう。胡氏は経済発展のために日本と安定した関係を築きたいとの意欲を見せている。北朝鮮の核問題をめぐる6者協議にも積極的だ。
 気になるのは台湾政策だ。中国は「独立派」とみなしている民進党の陳水扁総統が今春再選されて以来、その動きに神経をとがらせている。軍内部からの圧力をどうコントロールするか。
 市場経済への傾倒とバランスを取るためか、中国共産党は愛国主義、民族主義を訴える傾向を強めている。
 だが、もはや政治的にも経済的にも世界の大国となった中国である。名実ともにトップに立つ胡氏には、冷静で大局を見失わないかじ取りを求めたい。
 
 
 
 
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