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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2004/05/21 朝日新聞朝刊
(社説)中国は新思考で応えよ 陳総統演説
 
 台湾の総統に再選された陳水扁氏が就任演説で「独立の議題は新憲法づくりから除外する」と述べた。今後4年間の任期中に実現をめざす新憲法はあくまでも台湾社会の変化に対応するもので、中国との関係を変えるものではないことを強調した。
 陳氏の発言は中国の疑心と米国の懸念をある程度和らげたのではないか。新しい憲法の制定を公約に掲げていた陳氏に対し、中国は新憲法が台湾独立につながると警戒し、台湾海峡の現状維持を望む米国なども新憲法の行方に不安を抱いていたからだ。
 中国が台湾との対話の前提としている「一つの中国」の原則についても、陳氏は中国が歴史や民族感情から放棄できないことに理解を示した。その上で経済や貿易だけでなく、教育、文化などの交流拡大のほか、対話の再開を呼びかけた。
 中国側に配慮した陳氏の発言は、陳氏を熱烈に支持する独立派住民を失望させたかもしれない。だが、台湾住民の多くは台湾海峡の大きな変化を望んでいない。日本や米国など国際社会も同じだ。内外の現実に即した今回の発言をまずは評価したい。
 今後の焦点は、陳氏がその発言を誠意を持って実行に移すかどうかに加えて、中国がどう出るかにある。
 中国当局は就任式を前に声明を発表した。「中国大陸と台湾は一つの中国に属する」という原則をあらためて示し、「台湾独立」を宣言しないと言いながら独立活動をしていると陳氏を名指しで批判した。さらに、あくまでも独立をめざすのなら「一切の代償を惜しまず独立のたくらみを粉砕する」と物騒な決意を鮮明にしている。
 だが、中国当局は陳氏だけに注目するのでなく、陳氏を総統に選んだ住民の心をつかむ努力をすべきだ。
 民主社会の台湾では、陳氏がたとえ中国との対話をしたくても、世論が反対すれば行動に移しがたい。中国が台湾の選挙のたびに圧力をかけたり、世界保健機関(WHO)など国際機関への台湾の参加を阻んだりすることは、台湾の住民の反発を招き、台湾を大陸からさらに遠ざけることになる。
 それなら、思い切って善意を台湾住民に示したほうが、「台湾独立阻止」という当面の目的にもかなうのではないか。たとえば、WHO参加問題のほかにも、台湾が各国と自由貿易協定(FTA)を結ぼうという動きに反対するのをやめることだ。そうすれば、アジアの経済協力を進めるのにも役立つはずだ。
 中国はこのところ、国際社会に対し台湾独立に向けた動きに同調しないよう求めた。日米は現状を変えかねないとして台湾の住民投票に懸念を表明した。
 その日米は今週、WHOへの台湾のオブザーバー参加について初めて賛成票を投じた。ほんとうに平和な中台関係を築くため、国際社会は台湾に対する柔軟な政策を中国に求めていくべきだ。
 
 
 
 
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