日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/04/22 朝日新聞朝刊
(社説)大国なら大国らしく SARS隠し
 
 北京市内でSARSと呼ばれる新型肺炎に感染した人の数は、実はこれまでの発表の約9倍だった。そう認めた中国衛生省の訂正会見が世界に衝撃を与えている。
 今月はじめ「感染の拡大を有効に抑えた。中国での仕事や観光、会議は安全だ」と胸を張った衛生相は、北京市長とともに共産党幹部の職を解かれた。
 新しい病気が現れたとき、政府や官僚機構がうろたえ、ミスをしたり情報隠しに走ったりすることは珍しくない。最近ではBSE(牛海綿状脳症)の人への感染問題に揺れた英国や日本がそうだ。
 それにしても、中国の対応はお粗末だ。
 SARSの最初の患者は、昨年11月に広東省で見つかった。広東省政府が公式に感染状況を発表したのは今年の2月。衛生省が全国の状況を公表し始めたのは今月に入ってからだった。
 当局が情報を出し渋り、対応にてこずる間に、口コミで恐怖が広がった。広東省では、中国経済を支える外資系企業の従業員や家族の出国が相次ぎ、隣の香港でも市民の動揺が深まるばかりだ。
 北京では国際会議が見合わされ、うわさをもとに漢方薬が買い占められている。在留邦人も不安を募らせている。
 胡錦涛総書記は、国民の関心事を積極的に報道するよう、全国のメディアに指示したと言われる。だが、この指示は生かされなかった。
 中国指導部には、経済発展を進めるにはまず国の安定をという発想が根深い。感染症の発生を過小評価した背景にはそんな事情もあるだろう。医療機関が政府や軍などの系列に分かれている体制が実態を把握しにくくした面もありそうだ。
 遅ればせながらの方針転換も、WHO(世界保健機関)などの国際的な批判や、このままでは海外からの投資が減りかねない現実を無視できなくなったからだろう。
 SARSの情報を隠したことが、中国に対する世界の信頼をどれだけ傷つけたか。中国指導部はそれを知るべきである。
 グローバル化した世界では、感染症はただちに国境を越えた関心事となる。環境問題もそうだ。一国だけで情報を統制することも、有効に対処することもできない。
 情報隠しは高くつく。今回の出来事を教訓に、中国はもっと開かれた社会をめざしてほしい。それは大国としての国際的な責任だし、結局は中国のためにもなる。
 SARSの特効薬はまだない。対策の手がかりをつかむには、多くの感染者が出ている中国が、感染経路や個別の症例を公開することが欠かせない。
 SARS対策を話し合うため、東南アジア諸国連合の首脳会議が来週開かれる。中国は進んで代表を送るべきである。
 WHOと中国の二人三脚を軸とした国際的な協力で、SARSの広がりを食い止めなければならない。
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
60位
(28,694成果物中)

成果物アクセス数
155,463

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年4月22日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【ダム建設について】
3.私はこう考える【死刑廃止について】
4.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
5.私はこう考える【天皇制について】
6.私はこう考える【国連について】
7.私はこう考える【自衛隊について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から