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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/03/07 朝日新聞朝刊
(社説)もっと説明責任を 中国外交
 
 イラクと北朝鮮をめぐる情勢が緊迫の度を深めるなかで、中国の全国人民代表大会(全人代)が開幕した。
 国連安全保障理事会の常任理事国で「大国外交」を掲げる中国が、国際情勢にどう向き合おうとしているのか。朱鎔基(チューロンチー)首相が読み上げた政府活動報告が注目されたが、イラクにも北朝鮮にも言及しない、抽象的な内容に終始した。
 「独立自主の平和外交政策」「国際関係の民主化」など中国外交の原則を強調しているものの、例年の政府活動報告に見られた、日本や米国などの国名や地域名をあげた外交の評価と方針は一切なかった。
 すでに原稿が会場に配布されている事情もあったのだろうが、外交に触れた部分はほとんど読み飛ばされた。それは、外交を軽視しているという印象さえ与えた。
 中国は、イラク問題では国連査察の継続と戦争の回避を主張している一方で、フランスやドイツ、ロシアのように米国と厳しく対立することは避けている。
 北朝鮮の核問題では、朝鮮半島の非核化を提唱し、米朝直接対話の実現を主張しているが、核開発の放棄を金正日総書記に直接求めるといった積極的な外交は展開していない。他国から「煮えきらない」という批判が出るゆえんだ。
 中国共産党は昨秋の第16回大会で、2020年に「小康(ややゆとりのある)社会」を築き上げるという目標を掲げた。朱首相が政府活動報告で述べたように、その実現には、年率7%前後の高い成長を維持していかなければならない。
 世界貿易機関(WTO)に加盟したことは、熾烈(しれつ)な国際競争が国内に持ち込まれることでもある。国有企業や農業など競争力に劣る分野から生じる失業、内陸と沿海部の貧富の差の拡大などの問題を抱えながら、経済をバランス良く発展させることはたやすいことではなかろう。
 そうした事情を考えると、超大国米国との関係をギクシャクさせるのは得策でなく、周辺諸国とも面倒な事態は招きたくない。外交問題への踏み込みを避けた政府活動報告からは、そんな思惑がのぞく。
 だが政治的、経済的にも存在感を増している中国が、それで許されるだろうか。
 世界は今、イラク攻撃が経済に与える影響に不安を高めている。瀬戸際政策をもてあそぶ北朝鮮へのいら立ちも増している。そうした中で、ひとり成長路線を走る中国に向けられる視線も、きつくなった。
 「デフレを輸出している」「人民元は安すぎる」「腐敗問題がいっこうに改善されないのは一党独裁といういびつな体制のためだ」「中国はなぜ北朝鮮問題に本腰を入れないのか」といった不満である。
 裏返せばそれは、中国への期待の表れでもある。胡錦涛(フーチンタオ)総書記ら新指導部の肩にかかる責任は、前任者よりぐっと重いことを自覚してほしい。
 
 
 
 
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