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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2001/11/11 朝日新聞朝刊
(社説)相互の利益増を図ろう 中国WTO加盟
 
 世界貿易機関(WTO)の閣僚会合で中国加盟が承認された。年内にも、晴れてメンバーになる段取りだ。
 中国がWTOの前身であるガット(関税貿易一般協定)に加盟申請してからここまでに15年かかった。改革・開放路線のもとで経済発展を続ける人口13億人の大国を、国際貿易の秩序に組み入れる条件づくりがいかに難しかったか、を示している。
 中国は、国際競争力が弱い農業やサービス産業は保護したい。一方、すでに加盟している国は、この大国が低賃金労働を武器に輸出攻勢に出るのを警戒し、利害が対立したのである。
 中国は、同国にだけ適用されるセーフガード(緊急輸入制限)制度を受け入れた。なお「人治主義」が幅を利かせているとはいえ、知的財産権保護のための法整備など、国際社会とのすりあわせにもそれなりの努力をしてきた。
 外資導入をてこに繊維・衣料から家電製品、情報機器まで、「世界の工場」となりつつある中国は、WTO加盟でさらなる発展のチャンスをつかんだことになる。
 加盟各国の中国を見る思いは複雑であろう。国際ルールが重視されるようになれば、投資の安心感が増す。なんと言ってもあの広大な市場は魅力的だ。
 一方で、貿易の壁が低くなり、中国の対外攻勢に拍車がかかることへの懸念もあるだろう。国内の製造業が吸い寄せられ、空洞化が一層進む心配もある。
 しかし「脅威論」を振りかざしたり、いたずらに身をすくめたりしても仕方がない。貿易や投資の拡大を通じて双方が利益増を得るという「プラスサム」思考で、中国加盟を前向きに受け止めたい。
 それには、日本も中国も、さらには加盟各国が、それぞれ我が身を変える努力を一段と強めなければなるまい。
 国際競争にさらされる中国では、非効率な国有企業の改革が待ったなしの課題になる。地域格差の拡大を防ぐ社会保障制度を整備する、などの政策にも力を入れなければならない。市場経済化の加速は、「一党独裁」を掲げる政治制度にも大きな影響を与えるだろう。
 日本は、中国との新しい分業、補完関係はどうあるべきか、といった中長期的な視野に立った論議を深める必要がある。中国の実力と可能性を冷静に判断したうえ、よき経済パートナーとして、双方の活力を高める道を模索するのである。
 セーフガードはしょせん一時しのぎの策である。紛争はWTOのルールに従って処理することだ。
 輸出品が中国と競合する東南アジア諸国連合(ASEAN)も身構えているが、経済圏がより広く、深くなるチャンスでもある。中国と同時にWTO加盟が承認される台湾にも、中国との経済統合が深まるメリットが出てくるだろう。
 
 
 
 
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