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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2001/08/27 朝日新聞朝刊
(社説)資本家入党のもつ意味 中国共産党
 
 中国共産党がまた一歩大きく現実路線へ踏み出した。「資本主義のしっぽ」と指弾の対象だった私営企業家の入党を認めることにしたのである。
 江沢民総書記(国家主席)が先の結党80周年祝賀大会で演説し、表明した。
 江氏は、共産党が「生産力の発展という要求」「先進的文化の前進方向」「最も広範な人民の根本的利益」を代表する、という「三つの代表」論を強調してきた。
 「広範な人民」のなかで、経済のめざましい発展に大きな貢献をしてきたのが私営企業家である。
 中国で私営企業と呼ばれるのは、資産が私有で従業員を8人以上雇う営利組織だ。改革開放が始まるまでは、存在することさえ許されなかった。
 それが今では、約180万社を数え、従業員数は2400万人を超える。国内総生産(GDP)の約4分の1を占め、不振の国有企業からはじき出された失業者の貴重な受け皿になっている。
 この現実を踏まえ、中国は99年の憲法改正で、私営経済を「社会主義公有経済の補完物」から「社会主義市場経済の重要な構成部分」に格上げした。
 しかし、私営企業家は「資本家」に外ならない。彼らの入党を認めることは、「労働者階級の前衛」との立場を放棄していない党規約からの逸脱といえる。
 だからこそ、党内左派は「搾取分子」「非純潔分子」の入党は絶対に認められないと、江氏の祝賀大会演説の後も、この決定を厳しく批判し続けてきた。
 党内論争はなお続いている。反論を封じ込めるため、主流派は左派の論調を代表してきた理論誌の発行をやめさせた。
 そこまでして江氏らが私営企業家を党内に取り込もうとするのは、党の指導から距離を置いて成長する企業家を放置したままだと、一党独裁の維持が困難になる、と判断したからだろう。世界貿易機関(WTO)加盟後、国有企業より身軽な私営企業がさらに発展するのは間違いない。
 共産党は社会主義から遠ざかることで、権力基盤の強化を図ったといえる。
 半面、企業家らの多様な価値観を党内に抱え込めば、共産党自体が一枚岩ではなくなっていかざるを得ない。やがては階級政党から国民政党への脱皮や、さらに複数政党制につながるかもしれない。
 懸念されるのは、私営企業家が党に入ることで、党から指導だけでなく介入を受けるのではないか、ということである。
 日本企業のなかには、国有企業ばかりでなく、即断即決のできる私営企業との協力関係を選ぶところが増えてきた。私営企業と党の関係の変化は、日本企業の活動にも少なからぬ影響を与えよう。
 その意味でも、日本の貿易全体の10%超を占める経済パートナーである中国の政治変容を注視する必要がある。
 
 
 
 
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