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2000/03/06 朝日新聞朝刊
(社説)江朱政権の内憂外患 中国全人代
経済が発展し、国際的地位が高まるにつれ、新たな問題や悩みが出てくるものだ。
中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)で朱鎔基首相が行った政府活動報告は、新たな発展段階に達した中国を指導する江沢民国家主席−朱首相の体制が直面する「内憂外患」を浮き彫りにしている。
一九七八年から始まった中国の改革・開放政策は、「先に豊かになる所と、後から豊かになる所があってよい」というトウ小平理論によって、沿海部を中心に外資を呼び込んだ。その結果、二十年間に国民総生産を四倍にするという目標は達成され、昨年も成長率は七%以上を保っている。
だが、大都市の目覚ましい発展の陰で、内陸部は取り残された。陝西省やチベット、ウイグルなどの自治区がある西部と、沿海部の上海などとの経済格差は十倍以上に達するという。
これ以上の格差の拡大は、不安定をもたらす。今後なお数億人も増える人口を養っていくうえでも、朱首相が「西部大開発」の構想を「新しい世紀に向けての重要な政策」と位置づけたのは理解できる。
しかし、資金はどうするか、条件の悪い西部に外資は来るのかなど、その実現への道筋はまだついていない。
朱首相が強調したもう一つの「内憂」は、どうやって共産党や政府の幹部の不正・腐敗を追放し、「清廉潔白な政治」を実現するか、であった。
処分を受けた党員は、昨年だけで十三万人にのぼる。「腐敗に反対しなければ国が滅ぶ。腐敗に反対すれば党が滅ぶ」と陰口をたたかれるほど、問題の根は深い。
市場経済が発展したのに、政治は相変わらず一党支配が続いている。この矛盾がますます深刻になっているのに、政治改革への言及がなかったのは物足りない。
台湾の統一問題について政府活動報告は「香港、マカオの復帰後、祖国の完全な統一を実現するという神聖な使命が全人民の前に突きつけられている」としたが、「平和的統一」を強調し、「武力行使」という言い回しを慎重に避けた。
中国政府は二月に発表した台湾白書で、従来、武力行使の可能性として挙げていた「台湾の独立」「外国の占領」の二つの条件に、「無期限の交渉拒否」を加えた。
朱報告が白書と比べてややトーンダウンしたのは、大詰めを迎えた台湾の総統選挙でなお接戦を演じている有力三候補が、そろって白書に強く反発したことが影響したのかもしれない。
日本について朱首相は「歴史を戒めとし、未来に目を向ける精神に基づいて、両国の指導者間で合意した一連の重要な共通認識と取り決めが実施されている」と評価しつつ、「ごく少数の極右勢力による中日関係の破壊」に警戒を表明した。
政府活動報告で日本の極右勢力に言及したのはこれが初めてである。日中間の歴史認識の溝がなお深いことに対するいらだちの表れといえる。
日本にとって大切なことは、中国が安定し、国際社会と協調的な国として発展すること、台湾海峡が穏やかな海になること、米中関係が改善し、アジア・太平洋地域の緊張のレベルが低くなること、そして日中関係がいっそう発展することである。
これを推進する外交は積極的に進め、これにマイナスになるような行為は、慎んでいかなければなるまい。
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