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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1999/03/06 朝日新聞朝刊
(社説)改革・開放20年の壁 中国全人代
 
 中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が開かれ、朱鎔基首相が政府活動報告に熱弁をふるった。
 今年、中国は建国五十周年を迎える。改革・開放政策が始まってから約二十年、民主運動が武力弾圧された天安門事件から十周年である。
 政治的にも経済的にも節目の年である今年の全人代に、社会主義中国の基本的性格にかかわる憲法改正案が提案される。
 (1)改革・開放政策を推進してきた「トウ小平理論」を、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想と並ぶ指導理論と位置づける。
 (2)個人経済、私営経済などの非公有制経済を「社会主義的公有経済の補完物」から「社会主義市場経済の重要な構成部分」と改める。
 それらが憲法の主な改正点である。
 社会主義の基本原則である公有制や、人が人を搾取する制度の廃絶という「建前」は変えないが、民間企業の存在と経営を法によって保障するというのである。
 改革・開放政策が始まってから十八年もの間、中国は年平均一〇%を超す経済成長を続けてきた。
 成長の担い手は、百万社以上の私営企業(従業員八人以上)と約三千万の個人経営、それに二十三万社の外資であった。
 外資を保護する法律はあっても、「民間」を保護する法律はなく、経営者は「財産没収」の不安におののいてきた。憲法で「民間」が認知される意義は大きい。
 アジア経済が打ちのめされた中で、中国は昨年七・八%の成長を達成した。
 だが、今年の様相はこれまでとは異なる。朱首相は今年の成長を七%前後と予測したものの、「それを達成するのも容易ではない」と慎重な構えを見せた。
 中国経済は、高成長の時代を終え、いま転換点に立っている。それは改革・開放という山道を登り続けたところでぶつかる「二十年の岩壁」なのかもしれない。
 はたしてこの壁を乗り越え、安定成長の道を歩めるかどうか。かりに中国経済に急ブレーキがかかれば、日本にも世界にも重大な影響を与える。
 朱首相は、国有企業、政府機構、金融の「三つの改革」を引き続き断行すると強調した。しかし、前途は厳しい。
 国有企業の赤字は、依然拡大している。その一方で、昨年末には失業者が六百二十万人となり、このほかにレイオフ(一時帰休)されて再就職のできない労働者が六百万人に達した。政府機構改革では、今後約三百万人がポストを失う。
 中国の金融機関が抱える不良債権の総額は二兆元(約三十兆円)を超えるといわれる。広東国際信託投資公司が破産し、ノンバンクの整理が始まったが、外資も特別扱いされないことになったため、中国への新たな投資をためらっている。
 改革は社会の不安定をもたらす。各地で農民や労働者のデモがあったという。
 当局は民衆の不満に火がつくのをいたく警戒している。年末から、民主化運動の取り締まりを強め、中国民主党を結成しようとした徐文立氏らが、十年を超す懲役刑に処せられた。
 人権の弾圧は許されない。経済や生活に端を発した不満を強権で抑えつければ、いつか大爆発を起こしかねない。
 改革を進めつつ安定をはかる――経済の専門家で、実行力にも定評のある朱首相だが、かじ取りは相当に難しそうだ。
 
 
 
 
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