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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1992/08/23 朝日新聞朝刊
(社説)アジアの新時代築く中韓国交
 
 韓国の李相玉外相が中国を公式訪問し、24日に国交樹立の議定書に調印することになった。これを受けて台湾は韓国との断交を通告した。
 朝鮮戦争で戦火を交え、長い対立状態が続いてきた中韓の関係正常化は、単に両国間の問題にとどまらない。冷戦の崩壊による政治構造の大きな変化が、東アジアに、ひいては世界の枠組みに、本格的に及んできたことを示すものだ。歴史の転換点であり、アジア新時代の到来である。
 中韓国交は、周辺に一時的な緊張や波紋を招くことがあっても、韓ソの国交が日朝関係正常化交渉や南北国連同時加盟につながったように、大筋で朝鮮半島の緊張緩和の流れを進め、アジアの平和と安定に役立つものとして歓迎できよう。
 今回の合意は、主として中国側の決断による。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の孤立を恐れ、慎重な態度を取ってきた中国は昨年末、韓国と北朝鮮が相互の存在を認め合う合意書に調印した後、韓国と水面下の交渉に入っていた。
 経済建設に全力をあげる中国が、友好国・北朝鮮との「政治同盟」よりも、発展を遂げた韓国との「経済協力関係」に比重をおく現実路線に軌道修正したものだ。
 「早くて年内」とみられていた国交が急展開した理由は何か。最近、強い経済力をバックに活発な現実外交を繰り広げる台湾の存在がまず、あげられよう。
 台湾は、中国と国交を結んでいたニジェールとの復交、旧ソ連諸国、ポーランド、ベトナムなどとの代表部設置の動きに加え国連復帰をめざす方針を決めている。中国は独立志向を強める台湾を韓国との断交に追い込み、孤立化をねらっている。
 南沙諸島をめぐる最近の中国の行動が、国際的な批判を招いていることを考慮した可能性も強い。秋に開かれる14回共産党大会に向け、国際的に開放度をアピールするねらいもあろう。
 中韓国交は北朝鮮の同意の下ではなく、見切り発車だったようだ。中国は北朝鮮が一時的には反発しても、結局は日朝交渉や南北対話の進展、さらには米朝改善に結び付くと判断したものとみられる。
 北朝鮮には、こうした関係改善の障害になっている核疑惑の解消に速やかに努力するよう、改めて要請したい。
 一方の韓国にとっては、社会主義諸国との関係改善を求める「北方外交」が仕上げの段階を迎えた。任期切れを控え、権力にかげりを見せていた盧泰愚大統領にも、大きな外交的得点になるだろう。
 韓国が断交する台湾との実務関係をどう維持していくかは、もう一つの焦点だ。台湾は代表部に切り替えて、実質的な大使館機能を残したサウジアラビア方式を求めているとされる。
 アジア有数の経済力を持つ台湾が孤立するのは不自然である。中国を含めた関係国は現実的な対応を考えるべきだ。
 東アジアでは、中国とロシアが「二つの朝鮮」をそれぞれ認める一方で、台湾と北朝鮮が孤立する新しい時期を迎えた。同時にここでは、天皇陛下、盧大統領、ロシアのエリツィン大統領を今秋、相次いで迎える予定の中国の外交攻勢が目立つ。
 こうした再編成期に必要なのは、関係国の信頼関係をどう醸成し、協調体制を作り上げていくかの視点だろう。
 冷戦後のアジアの安全保障体制を模索している日本外交が、中韓の国交樹立という新事態をどのように生かしていくか。その真価が問われようとしている。
 
 
 
 
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