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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1992/06/22 朝日新聞朝刊
(社説)「公害大国」の隣人として
 
 「これからの地球環境の保全は、中国にかかっているといってもよい」。環境問題にも詳しい科学者、星野芳郎氏の分析だ。隣国日本も無関心ではいられない。
 12億近い人口と世界第3位の国土面積をもつ中国はすでに世界有数の「公害大国」に成長している。酸性雨の被害が海を越えて日本に及び始めた。
 公害の「先輩国」であるわが国は、中国はもとより、地球規模の環境を守るためにも、中国の自助努力に支援の手を差し伸べるべきである。それがひいては日本の環境を守ることにもつながる。
 米国の人工衛星のレンズに映る中国東北部のある鉄鋼都市は、いつもぼやけているという。大気汚染がひどすぎるからだ。主要都市は日本の大気汚染が最も激しかった1967年当時の都心や川崎市、四日市市よりもひどい状況にある。
 汚染物質の年間排出量は二酸化硫黄1500万トン、二酸化炭素6億トン、窒素酸化物600万トンなど、いずれも米、旧ソ連に次ぐ規模である。国民総生産(GNP)に占める環境対策費は0.7%で、日本の半分にとどまっている。
 7割強を石炭に頼るエネルギー構造、遅れた工場管理、行政優先の構造、資金不足などの要因に加え、行政と企業を動かす力となりうる住民運動が表面に出にくい。
 より基本的な問題は、社会主義の生き残りをかけて経済建設最優先の政策を採っているため、環境保護に目が向きにくいことだろう。大量生産・大量消費のアメリカン・ライフスタイルを目標にしていることも環境対策を難しくしている。
 発展途上国に共通することだが、政府開発援助(ODA)の協力要請は開発中心に傾きがちで、環境保護に関する分野は極めて少ないのが現実だ。
 環境に配慮することが必ずしもマイナス投資にならず、長い目で見ると利益につながることを理解してもらう必要がある。場合によっては援助国から環境対策を積極的に提案することがあってもいい。
 中国への具体的な援助としては、▽人材の育成▽農村の中小企業を含む工場の技術改造▽石炭政策の総合的見直し▽環境アセスメント▽緑化促進など、協力できる分野は多い。100億円の無償援助で建設が始まった日中友好環境保全センターを1つの舞台に、支援の輪を広げてほしい。
 援助は要するに人とカネである。
 人については、地方自治体の公害専門家を活用してはどうか。日中両国には多くの友好都市があり、これを利用して環境保護のネットワークを広げるのも手だ。
 わが国の公害防止水準は最先端を行っている。地球規模の環境保全を考えると、日本で巨大なコストをかけて改善することも大事だろうが、同時に、費用効果の高いところへ振り向ける視点があってもいい。現在、国別に定めている有償援助の利率を項目ごとに改め、環境保全には無利子借款としてはどうか。
 役所のセクショナリズムがODAの足を引っ張っているとの指摘がある。縄張り争いによって環境協力が影響を受けるようなことがあってはならない。
 もちろん、中国の環境保全は最終的には中国自身で解決すべき課題である。文革当時、中国では「人民に奉仕する社会主義国に公害は起こり得ない」といってきた。それが逆だったことは旧ソ連や東欧などの公害の現状を見ても明らかだ。
 中国は「自力更生」によって、今こそ、その精神を生かしてほしい。
 
 
 
 
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