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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1991/11/08 朝日新聞朝刊
(社説)アジアに新時代開く中越和解
 
 ベトナムのド・ムオイ共産党書記長とボー・バン・キエット首相が北京を訪問し、1970年代から続いてきた中越の対立に終止符が打たれた。
 先月のカンボジア和平協定の調印で、東南アジアには第2次大戦後初めて戦争のない時代が訪れようとしているが、中越の関係正常化は、新時代の到来を確かにする出来事といえる。両国の和解がベトナムと米国、日本、韓国、さらには米中の関係修復につながり、アジアの緊張緩和の流れが一層速まるよう期待したい。
 ベトナム戦争の初期、両国は「唇と歯」のように親密な同盟関係と評された。だが、中ソ対立を主因とする米中和解の動きは、中国への不信を深め、ベトナムをソ連により傾斜させることになる。ベトナムは、やがてボートピープルとして海外に流出することになる中国系住民の追放、親中国のカンボジアへの侵攻という冒険主義に走り、79年には戦争に突入、両国は泥沼の関係に陥った。
 中越の雪解けを促したのは、第1に89年に始まるソ連・東欧の激変だろう。とりわけソ連共産党の解体は、共産党の一党独裁を堅持しつつ、経済的には開放政策を進めている中越の危機感を高め、両者を急速に歩み寄らせることになった。
 同時に、中国は天安門事件による国際的孤立をようやく抜け出し、近代化を進めて国内を安定させようと懸命だ。東欧・ソ連の支援を期待できなくなったベトナムも、西側の資金、技術をあてに経済再建を急いでいる。両国は最優先課題の国内建設に専念するためにも、隣国との関係を改善しなければならなかった。
 中越の合意ができたとき、カンボジア紛争は解決に向かって一気に動きだした。両国の動向は、アジアの平和と安定にとって重要な意味を持つ。
 注目されるのは、中国の江沢民総書記が両国会談で、中越正常化は他国との友好関係に影響するものではないと強調し、両国が50―60年代のような関係に戻るのは現実的でない、と述べたことだ。
 中越の急接近は、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国や米国の内部に、2つの社会主義国が手を結んで域内の問題を取り仕切ろうとしているのではないか、との懸念を生んだ。江総書記の発言はそのあたりを意識したものであり、かつてのような「同盟関係」にはならないという意思を明らかにしたものといえよう。
 両国は善隣友好の外交を積極的に進めようとしている。ベトナムはASEAN加盟の希望を繰り返し表明し、中国も今月中にアジア太平洋経済協力閣僚会議(APEC)への加盟が認められる予定だ。いずれもアジアの対立の構図を書き換える動きであり、大いに歓迎したい。
 2000年にわたる中越関係を振り返ると、大半が対立と抗争の歴史に彩られている。今回会談でも、南沙諸島の領有権問題などの懸案は、事実上棚上げされた。こうした対立の火種が両国の事情だけで再燃することのないよう、多角的な国際関係のなかに組みこんでいくことが必要だ。
 紛争の終結で、凍結されていた西側のカンボジア援助が再開される。米越の正常化交渉も近く始まる。西側の対ベトナム「経済封鎖」が解除されるのも、時間の問題とみられている。
 新時代を迎えるアジアの情勢は、日本の進路と重要なかかわりを持つ。新政権は新しい展望に立ったアジア政策を打ちださなければならない。
 
 
 
 
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