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1988/04/14 朝日新聞朝刊
(社説)中国の改革進めた修正意見
中国の政治が、以前と比べてかなりわかりやすくなってきた。わが国の国会に当たる全国人民代表大会の第7期第1回会議は13日、新任の李鵬首相による政府活動報告を100カ所以上も修正して採択し、閉幕した。修正された個所は農業、輸送・交通、教育、知識人政策、民族自治に関する部分で、いずれも現在中国が抱えている大きな問題だ。
これまでも、政府活動報告の修正はあった。しかしそれは公表されず、どこが、どう修正されたのかは、一般大衆に知らされなかった。今回北京放送や新華社が「100カ所以上修正」と速報したのは、中国の政治の「透明度」が増した表れとして評価できよう。
首相による政府活動報告は、これから5年間の中国の政治の基本方針を示すばかりでなく、具体的施策も盛り込まれている。
全国各地から集まった代表が、それぞれの立場から意見を述べ、それが報告に反映されたことは、中国の民主化が徐々にではあるが進んでいることを示している。もちろん、共産党の指導による社会主義という枠の中ではあるが、こうした民主化は、中国の改革と国造りにとって重要な意味を持つ。
修正がもっとも多かったのは、民族問題だという。昨年末以来、チベットのラサなどで起きている暴動さわぎを多分に意識したものだろう。中央政府や漢族が、へき地に住む少数民族に対し配慮が足りなかったり、優越感を抱いて尊大になっている現実があるのは否定できない。その反省に立って修正がなされたとすれば、好ましいことだ。
日本の修学旅行生多数が犠牲となった上海の列車事故など続発する重大事故防止のために、労働の質の改善、労働規律の厳格化、設備補修の強化、先進技術の導入が修正報告に盛り込まれた。
当然のこととはいえ、今後も多くの旅行者を送る隣国の立場からもこれを支持したい。全人代開幕直前に起こった上海の悲しい事故の教訓がこうした形で生かされれば、せめてもの救いとなる。
政府活動報告は、農業生産の発展にも力を入れる点でも修正された。78年以来、中国農業は毎年7.1%の成長を続けてきた。だが、米や麦など食糧生産は、84年をピークに伸び悩み、それが結果的に食料品すべての価格の上昇につながっている。
昨年から今年にかけて、飼料の値上がりが養豚の減少を招き、中国人の食生活と切っても切れない縁のある豚肉が一定量しか買えない事態になった。他の消費物資値上がりもあり、中国の都市住民は悲鳴をあげている。これをどう解決するかが問われている。
李鵬首相は報告で「中国農業の活路は、伝統的農業から近代的農業への転換にある。経営規模の適正化は中国の農村経済発展の必然的すう勢であり、方向である」と述べた。
党中央農村政策研究室の責任者によると、「適正規模」とは、中国南部の水田のばあいは1人20ムー(1ムー=6.7アール)、北部の畑で1人50ムー程度という。
いま中国の1戸当たり平均耕地は9ムーだから、「適正規模」になれば数億人の非農業労働者が生まれる。この人たちが働く先は郷鎮企業、つまり農村に生まれつつある工場や個人経営の企業となる。
今度の全人代で、個人経営と土地の使用権の譲渡を認めた憲法改正が行われたのは、こうした産業構造の転換に法的根拠を与えるものでもある。社会主義の根幹にもかかわる大きな改革であり、この面で中国はソ連など他の社会主義国よりも大胆だともいえよう。今後のカジ取りに注目したい。
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