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1987/02/08 朝日新聞朝刊
(社説)中国、改革と原則のはざまで
学生デモから胡耀邦総書記辞任へと、年末から年初にかけてあわただしく動いた中国の政情も、最近は少し落ち着いてきた。ブルジョア自由化批判の行方や今後の人事変動などに不透明さは残るが、事態を鎮静化させ、経済を中心とする改革は続けるというのが、指導部の方針のように見える。
党政両面の最高責任者になった趙紫陽総書記代行兼首相が、春節(旧正月)茶話会で当面の政策を明らかにした。同氏は、かつて  小平氏が提唱した4つの基本原則と、対外開放、経済活性化を中心とする改革路線を二つながら重んじていく、と語った。
改革を続けて、とにかく生産力を発展させないことには、目標とする「中国の特色をもった社会主義」建設は期待できない。そのためには安定した政治環境が必要であり、(1)社会主義の道(2)人民民主主義独裁(3)党の指導(4)マルクス・レーニン主義と毛沢東思想――の4つの基本原則に頼るべきだ、というのが趙紫陽氏の主張である。
趙氏はさらに、共産党の指導を否定するブルジョア自由化には強く反対するが、この活動は党内、しかも政治思想分野に限られること、段階を追って「社会主義民主政治」構築につとめ、今年から複数候補による選挙を普及させることも明らかにした。
選挙の民主化要求は、学生デモの出発点でもあった。趙氏はこれに部分的には応ずる姿勢を示す一方、「条件が整わないのに、一部の形式だけ追求するのは避ける」と述べた。大胆だが、危なっかしいところもあった胡耀邦方式と比べて、性急さを避けつつ改革を続ける、一種の漸進主義が目につく。
趙氏が対外開放を含む改革路線継続を確約したことを、われわれは評価したい。数年来の中国農村の活況や、わが国を含む西側諸国でも多くの留学生が勉学にいそしんでいる現実は、改革がもたらした。この路線を続ける以外に、中国を豊かにする道があるとは思えないからだ。
中国が社会主義体制をとり、共産党が政治の主導権を握っているのも周知の事実である。それを中国が改めて確認しても、驚くに当たらない。むしろ気がかりなのは、社会主義の内容をより民主的で現代に適合したものにしようとした善意の提案までもが、ブルジョア自由化批判の名のもとで抑圧されていはしないか、という点だ。
北京から伝えられる情報によると、胡耀邦氏は「小人数の徒党」を組んだり、内外政策でのさまざまな独断専行、高消費をあおった誤り、精神汚染一掃キャンペーンの妨害、若返りの強要などを  小平氏らから批判され、辞任に追いこまれたという。
軍内で人気が出ず、最高指導者としての資格に不安があった点など、まだ表面に出ない微妙な問題もあるようだが、批判がこれほど全面的だと、他の指導者への波及もありうる。3月の全国人民代表大会や秋の党大会でどんな変化があるか、まだ目を離せない。
首相在任8年目の趙紫陽氏だが、党や軍にそれほど地盤があるわけではない。  小平氏の支援を頼みの綱として、当分は周恩来型調整者としての役割も演じながら、多数派工作につとめる必要があろう。
それにしても、彭真、胡喬木両氏らの保守派長老ばかりが元気づき、文芸・言論界の中に迎合的、自己規制的な動きさえ見られる現状は、決して健全なものとはいえまい。
 ・趙体制は自由化批判の行き過ぎには歯止めをかけ、改革を着実な軌道に乗せることができるだろうか。それは、あすの中国の安定と発展につながる課題である。
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