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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1986/11/07 朝日新聞朝刊
(社説)中国・東欧関係の変わり目
 
 東ドイツのホーネッカー社会主義統一党書記長(国家評議会議長)がさきごろ訪中し、中国共産党との間で党レベルの友好関係を復活させた。その意味は検討に値しよう。
 なぜかといえば、中ソを含むいわゆる社会主義圏諸国では、万年政権党である共産党ないし労働者党が他党はおろか、国家そのものをもしのぐ絶対的な権力をにぎっており、党関係の有無濃淡が社会主義国相互間の親密度を表すとみられるからだ。
 ホーネッカー書記長と中国共産党の胡耀邦総書記は、それぞれが自国の青年組織の責任者だったころから33年ぶりの再会を喜び合い、小平氏は「両党関係にかつて中断はなく、引き続き発展あるのみ」とのホーネッカー発言に賛意を示した。中ソ対立を反映し、激しく非難し合った十数年がウソのような和やかさである。
 9月には、ポーランドのヤルゼルスキ統一労働者党第1書記(国家評議会議長)が“実務訪問”の形で訪中した。ほかにハンガリーなどいくつかの親ソ派東欧諸国からも、年末から来年にかけてトップが訪中し、党関係を回復する予定と伝えられる。
 これら東欧諸国と中国との間で、3年ほど前から人や物の往来が活発化した。すでに、それぞれ長期の政府間貿易協定を結んでいる。党レベルへの格上げは、まず2国間関係を安定した軌道に乗せるねらいがある。
 東欧諸国は地政学上の位置からしても、つねにソ連の反応を考えねばならない。この意味では、対中正常化への積極姿勢を見せた7月末のゴルバチョフ演説が、東欧諸国へのゴーサインとなった。
 ソ連はこれら諸国の対中接近に異議を唱えぬばかりか、みずから中国との党関係復活にいつでも応ずる構えをとり始めた。
 これに対し中国は「東欧諸国との間には、ソ連との場合のようなカンボジア問題などの“3つの障害”がないから、党関係修復は容易」とし、暗にソ連の譲歩を迫る。つまり、現状では中ソの党関係樹立の展望はまだないが、こうしたかけ引きを通じてその条件が次第に具体化する可能性はある。
 こうした社会主義諸国の党関係の変化について、次の諸点を指摘しておきたい。
 まずいえるのは、中国とソ連・東欧圏諸国との間に党関係が全面的に回復したとしても、それは50年代のようにイデオロギー面での“一枚岩”を誇り、それ以外の世界に対抗するものとはなりえないことだ。
 中国共産党は82年の党大会前後から、外国の党との間で独立自主、完全平等、相互尊重、内部問題不干渉の4原則をとることを明らかにした。中ソ対立や文革の苦い経験を経たあとで「国が違えば見方が違うのは当然。他党の経験は参考にするだけでよい」との認識に到達したものともいえよう。
 親ソ派東欧諸国も、自国の経済発展をますます重視するようになった。中国との党関係回復も、ソ連や西欧とのバランスのうちに安定した環境作りを求める要素が強い。
 半面、こうした党関係の変化がそれぞれの社会主義になにをもたらすかも注目したい。例えば、経済自主権によって企業や農村の積極性を引き出すという中ソ、東欧共通の試みを促進するかどうか。また、他国の党とのイデオロギーの差を容認することは自国内でも思想的寛容度を増し、民主を拡大する要因になりはしないか。
 社会主義もまた、時代に適応する努力を迫られている。それが人びとの生活や国際関係に好ましい影響をもたらすことを期待しつつ、変化の実態を見守ってゆきたい。
 
 
 
 
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