このところ、中国政府首脳が外交づいている。国連総会に出席した趙紫陽首相が、その足で南米4カ国を歴訪した。副首相4人のうち、若手の李鵬、田紀雲両氏はそれぞれ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とアフリカ5カ国へ。姚依林氏は中東3カ国を回る。
趙首相は訪問先のブラジル、アルゼンチンなどで「中国は先進諸国に開放政策をとるだけでなく、途上国への開放も重視する」と繰り返した。また、多くの共通点を持つ中国とラテン・アメリカ諸国との間に「一種の新しい互恵協力関係」を築くことが必要かつ可能である、とも語った。
中国は早くから第三世界重視を唱えた。しかし、当時はそこに超大国との対決のよりどころを求めようというイデオロギーが先行した。タンザン鉄道建設など、かつての対外経済協力の内容をみても、経済的採算よりは政治的得点に目が向きがちだった。
いまは違う。中国は超大国の覇権主義や軍拡競争を批判するが、米ソそれぞれとの経済関係は発展させようとする。この点では、先進国も途上国も同列だ。世界のあらゆる国との関係を発展させ、自国の近代化のために活用したい、という本音がまず優先する。
趙首相の唱える「新しい互恵協力」の内容は(1)研究開発、生産、流通の各面にわたる合営や合作(2)バーター方式もいかした貿易拡大(3)資金の効率的利用(4)労務協力などと推定される。こうした「南南協力」が実を結び、途上国の経済状況が改善されるなら、世界経済にも好ましい影響を与えるだろう。
もとより、政治の世界は単純でない。趙首相はブラジルなどで努めて華僑代表と会った。世界に2500−2600万人といわれるこれら中国系住民を北京に引きつける経済、政治両面の利点は大きい。
中国側のこのような動きを、脅威と感じるのは台湾だ。蒋経国総統は先月下旬、世界の華僑に改めて支持を訴えた。どちらも、中華民族のよい伝統の発揮をうたい文句にしているあたり、なかなかである。
こうしたかけ引きも含みながら、中国の対外開放政策は次第に全方位の広がりを見せつつある。中国や第三世界諸国が、経済発展への巨大な潜在力を自ら発掘しようとするのは当然であり、有意義な試みといえよう。
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