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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1985/09/15 朝日新聞朝刊
(社説)指導層の若返り目ざす中国
 
 北京は、中国共産党のマラソン会議の季節に入った。中央委総会、党代表会議、新メンバーによる中央委総会の順で、今月末まで約半月にわたって開かれる。
 同党の規約には「必要な場合、代表会議を招集して、早急な解決を必要とする重要問題を討議、決定できる」とある。
 議題に挙げられているのは党人事と第7次5カ年計画の大綱決定だが、2年後に予定されている党大会を待たずに「早急に解決すべき重要問題」とは、人事のことだろう。実力者の小平氏も、会議の主な任務を「改革路線継続のため、党中枢に若い指導者を送りこむこと」と述べた。
 文字通りの党中枢である政治局、同常務委員会のいまの名簿を見ると、革命戦争や建国期にかけて活躍した人びとが少なくない。その多くは70代後半から80代。胡耀邦総書記に次ぐ序列ナンバー2の葉剣英氏のように、長く病床にある人もいる。
 このところ中国では、党・政府の各部門で幹部の若返りを推進している。高級幹部であっても、定年の60歳を過ぎれば、退くよう求められる。
 緒についたばかりの近代化事業を誤りなく進めるには、若くて優秀な人材を抜てきし、活用することが必要、との考え方だ。党中枢部だけが例外であってはならない。これが今回の人事を行う大義名分である。
 若返りは、中国の権力構造や政治の運営にどんな変化をもたらすだろうか。それはスムーズに行われ、今後に不安要因を残すことはないかどうか。
 一連の会議を経て決まる新指導部の構成は、小平氏を頂点とする近代化推進派の足場を、さらに固めるものとなろう。
 すでに当局者が予告しているように、葉剣英氏ら「健康状態のよくない老幹部」が第一線から退き、氏直系の胡耀邦総書記、趙紫陽首相らを中軸に、胡啓立書記、李鵬副首相らの若手が政治局に進出するだろう。
 つまりは、革命の元老が各種大会のひな壇に並んだ時代に別れを告げて、目的を同じくする実務家集団の手で効率的に党を運営し、政策を展開していこうということだ。
 今世紀末に工農業生産を80年の4倍にする目標を軸に、中国は対外開放政策をとり、経済の活性化を急ぐ。だが現実の経済情勢にはなお起伏が多く、12年後に迫った香港返還や懸案の台湾問題もある。内外にきめ細かく目配りしながら、適切な政策調整も行う機動性が指導者に求められている。
 こうした観点からすれば、中国の指導部若返りの意図は理解できる。隣国の安定と発展を願う立場から、われわれもまた、それが期待通りの成果を上げるよう期待する。
 そのためには、これらの改革が中国指導層の安定を損なわず、さらに大衆からも積極的に支持されるかどうかが課題となる。
 かりにも葉剣英氏らの解任が、主流派による非主流派追い落としのように印象づけられるとすれば、人事刷新の意義は減るだろう。こうしたマイナスを防ぐために、工夫のいるところだ。社会主義堅持、近代化推進という総論では一致しても、なおさまざまな各論がありうる。中国指導者がよく口にするように「小異を残して大同につく」考え方は、人事の面でも有用と思われる。
 ソ連に続いて、中国でも革命の時代は遠くなりつつある。次に来るのは、高度技術が広がり、人びとの生活も多様化する社会だ。それに即応する指導部のあり方をさぐる中国の試みは、社会体制を異にするわれわれにとっても、注目すべきものを含んでいる。
 
 
 
 
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