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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1985/07/07 朝日新聞朝刊
(社説)進むASEANと中国の関係
 
 東南アジアの安定を実現させるためには、最大の懸案であるカンボジア問題を解決し、東南アジア諸国連合(ASEAN)と、ベトナムなどインドシナ社会主義諸国との関係を修復させなくてはなるまい。
 中越戦争以来、たがいに代理大使しか送っていない中国とベトナムの間柄を改善することも、同じように急務である。
 しかし、それとならんで必要なのは、東南アジア諸国と域外の大国との間に、もれなく安定した関係を樹立し、多角的な話し合いのパイプによって、誤解をなくし、いざこざを食い止めることだろう。
 その意味では、国交がない米越関係の正常化や、外交関係を凍結してきた中国、インドネシア両国の関係改善も、東南アジアの安定確保のために、不可欠の条件といえる。
 このうち、今回まず中国とインドネシアが直接貿易再開の覚書に調印し、ともかくも対話と交流の道を具体化させた。65年秋、インドネシアで起こった9・30事件(容共クーデター未遂事件)以来、ずっと対立していた両国が多くの障害を乗りこえ、ここまでこぎつけたことは、まことに喜ばしい。
 この覚書でも、政経分離の方針は貫かれ、通商代表部の相互設置などは見送られている。しかし、すでに中国はインドネシアにとって最大の合板輸出先になっており、呉学謙外相のインドネシア訪問をはじめ、要人の相互訪問があいついでいる。今後は見本市の相互開催なども実現し、貿易量もさらに増大するだろう。弾みがついた両国の関係が発展し、ゆくゆくは外交関係を正式に回復させるよう、心から希望する。
 もちろん、そのためには両国とも抑制のとれた均衡感覚を持続し、外交面だけでなく、内政面でも落ち着いた動きを続けてほしい。中国は、文化大革命前後に見られたような、他国に対する強引な態度を再現させないことが必要である。インドネシアも、長年、拘禁していた親中派の共産党幹部を、突然、処刑するような挙に出ることは、二度とくりかえしてほしくない。
 ASEANの中心国家とみられているインドネシアの対中直接交流は、ASEAN全体と中国との間柄が数歩、前進したことにも通じよう。シンガポールは中国との間にそれぞれ通商代表部を設置し、民間機の相互乗り入れを実現させた。マレーシアは華僑による中国訪問の枠をひろげ、中国への貿易、投資に熱意を見せはじめた。対中警戒心が強かったマハティール首相も今秋、訪中の予定で、その際、何らかの協定が結ばれるのではないか、という見方も出ている。
 インドネシアの対中交流は、カンボジア問題の解決にあたっても、良い効果をもたらす可能性がある。もともとインドネシアは、ASEANのなかでベトナムと最も親しい国であり、これまでカンボジア解決案として、ベトナム軍の撤退や、国際的な監視下における総選挙の実施のほか、米越早期国交正常化を訴えてきた。対中外交関係の回復は、この米越国交正常化を条件にしている、という見方さえあるほどなのである。
 クアラルンプールでは8日からASEAN外相会議が開かれ、続いて日、米、オーストラリアなど、主として太平洋周辺の国ぐにを招いて拡大外相会議が開かれる。この席で今回のインドネシアの対中交流開始を最大限にいかし、東南アジア安定のため、より着実な方策を見つけてほしい。
 中国にもインドネシアにも近く、ベトナムにもパイプを持っている日本の努力に待つところも、決して小さくはないであろう。
 
 
 
 
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