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私はこう考える【中国について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1985/03/24 朝日新聞朝刊
(社説)中ソ関係の新しい波
 
 ゴルバチョフ新政権の登場で、中ソ関係に新しい動きが出ている。
 ゴルバチョフ書記長は就任演説で「われわれは中国との関係を著しく改善することを望んでいる。相互主義があれば、これは完全に可能だ」と述べた。中国はこの発言に、好意的に反応した。
 モスクワの弔問外交で、李鵬副首相は胡耀邦党総書記のあいさつを伝え、ゴルバチョフ氏も「胡耀邦同志によろしく」と応じた。
 ソ連書記長と中国首脳との顔合わせは、六四年末にブレジネフ氏と会った故周恩来首相が最後だ。李鵬副首相はその周氏が養い親となった革命烈士遺児の一人という因縁があり、しかも五〇年代のソ連留学生だ。会談で「ドルージバ」(友好)といったロシア語が座をにぎわしたかもしれない。
 ゴルバチョフ氏はこの会談で、中ソ対話の格上げを提唱した。現在の対話担当者である双方の外務次官が近く、相互に訪問すると伝えられるのも、その布石かもしれない。
 各種の実務代表団の往来も、このところ活発だ。今年の貿易額は前年比七割増の往復二十億ドルに達する見込みで、中国副首相が訪ソして長期貿易協定に調印することも、すでに決まっている。
 もとより、中ソはカンボジア問題やソ連軍のアフガニスタン侵攻をめぐって対立している。これらは、第三国の出方もからみ、一気に解決できる性質のものでない。だが、ゴルバチョフ登場後の中ソ関係は、これら諸問題の存在にもかかわらず、全体としては前向きに進みつつある印象が強い。
 なぜ、そうなのか。両国の指導部について、いくつかの要素が指摘できる。
 まず挙げられるのは、双方ともに指導層内では比較的若い人物が最高権力をにぎり、長老とも相談しながら内外の課題に取り組む形になったことだ。
 中国では、実力者だが高齢の小平氏が意識的にそのように持っていき、ソ連では前任者の死で実現したという差はあるが、これをスターリン、毛沢東時代と比べれば、社会主義政権としては画期的である。
 中ソ関係でいえば、より若い指導者は過去の行きがかりにとらわれることを減らし、重要な隣国との関係改善からより多くの利益を得るために力を集中することができる。
 彼らの目が、閉鎖よりも開放に向いていることも見のがせない。胡耀邦氏が中国の対外開放政策の旗振り役をつとめていることは、周知の事実である。ゴルバチョフ氏も就任以来「ソ連はだれにも自分の意思を押しつけない」「人びとの積極性を引き出し、経済を発展させる」と力説し、中国指導者とも相通ずる姿勢をうかがわせている。
 中ソの指導者が、安定した世界と自国の発展とをより強く結びつけて考え、そのような観点から自らの体制にひそむ弱点克服にも取り組むとすれば、それは現実に合致した方向というべきである。
 その場合、中ソ関係の緊密化を恐れる必要はなかろう。中ソが一定の党関係を回復したとしても、西側を含む外部世界と対決し、緊張をあおるものとはなりにくいからだ。
 歴史を振り返れば、異なる体制間の対決や緊張緩和の一コマ一コマは、作用と反作用の関係にあった。そこに世界の安全がかかっていたのを思えば、悪い結果について相手を責めるだけでは済まされない。
 いま、社会主義大国に起きている新しい波を注意深く感じ取り、柔軟かつ建設的に対応していくことは、われわれの将来にとっても重要な意味を持っている。
 
 
 
 
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