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(3)経費状況(実験ランニングコスト)
 ランニングコストは78日間で約500万ほどの費用となっている。ただし、バスの借上費や、停留所設置経費、広報費、システム設備、開発費などの初期費用は含んでいない。
 
期間 運行日数 車輌運行コスト オペレーションコスト ランニングコスト計
前半 53日
(内土日祝19日)
2,651,200円 742,000円 3,393,200円
後半
(1月11日改定後)
25日
(内土日祝6日)
1,268,310円 350,000円 1,618,310円
78日
(内土日祝25日)
3,919,510円 1,092,000円 5,011,510円
※オペレーションコスト:主に予約センター経費や通信費用等
 
(参考)小高町e-まちタクシーの開業3ヶ月間の実績
(単位:千円)
  乗合タクシー実績
(開業時3ヶ月)
総経費 5,960
タクシー借上料(207台) 3,809
オペレーター人件費 1,104
無線機リース料 210
開業経費 569
タクシー(ラッピング費) 287
- -
(注)タクシー借上料は18,400円/日とした。
資料:福島県商工会連合会
 
 本事業を、次の項目について評価する。
 
(1)事業全般の評価
 実験時の測定結果やアンケート調査、ヒアリング調査などにより、以下の指標を用いて事業全般について評価する。
 
(1)公共交通利用の効率化・利用促進
(2)モビリティの向上
(3)運行事業者の事業効率の向上
 
(1)公共交通利用の効率化・利用促進
 
・全期間
 期間中のふれあいバス利用者数は、1,809人(23.1人/日、2.3人/便)であるが、うち、南部バスからの転移利用者と推定される人数が184人(2.4人/日)であり、差引、1,625人(20.7人/日)の純増となった。この20.7人/日は福地村の1日あたりの路線バス乗降客総数162.5人の12.7%に相当する。
 
・後半
 後1月11日以降の25日ふれあいバス利用者数は1,120人(44.8人/日、4.5人/便)で、うち、南部バスからの転移利用者数は、114人(4.6人/日)と推定され差引、1,006人(40.1人/日)純増となった。この40.1人/日は福地村の路線バス乗降客総数162.5人の24.7%に相当する。
 
 
ふれあいバスは、後半、村の公共交通の約2割を分担した。
(スクールバス、福祉バスを除く)
 
(2)モビリティ向上(外出機会の増加)
 
・高齢者の外出機会の増加
→実験中利用者アンケートより
 8割が外出が以前より増えている。増えた外出先は「バーデハウス」、八戸市中心街である。
〇第1回
 外出が以前より増えた(8割)。
 増えた外出先はバーデハウス(全体の約4割)、南部医院(局前)、ゆとりあ(八戸市内):中心部の二十八日町、十三日町、ラピアなど
〇第2回
 外出が以前より増えた(8割)。増えた外出先は「バーデハウス」、日赤病院、八戸市中心街など
 
・今後の利用意向
 1回目、2回目とも今後も利用したいが9割を超えている。改善要望としては、運行頻度増があった。
 
 
実験中利用者調査:8割以上の人の外出率が増加
9割以上の人が今後利用意向
 
(3)運行事業者の事業効率の向上
・運行費用等の削減
 運行費用は、デマンド運行をおこなった村内東線、西線で削減効果が計算できる。最大固定路線と今回のフレックス運行結果で比較した結果を示す。
・バス車両をつかった西線:
 最大固定路線の場合運送原価は35,620円/日と推定される。
(式)28.1km×4便×東北民営バス運送原価316.9円/km=35,620円
 一方、今回の実験では、運送原価のうち人件費は待合い時間についても発生するので、人件費以外のコストについて削減できると考える。
(式)18.9km×2.2便×バス運送原価316.9円/km=13,177円
注)運送原価は日本バス協会
 
 よって、東北の民営バス運送原価316.9円/kmに占める人件費は210.7円(66.5%)で、この分は減らないと考えると、28.1km×4便×人件費210.7円=23,683円(A)は、固定費となる。その他の変動部分が18.9km×2.2便×106.2円/km=4,416円(B)、
(A)+(B)計28,099円
7,521円/日(21%)を節約したと考えることができる。
・ジャンボタクシー車両をつかった東線:
 最大固定路線の場合、運送原価は、34,440円と推定される。
(式)32.8km×5便×ジャンボタクシー運送原価210.0円/km=34,440円
今回実績:25.1km×2.7便×タクシー運送原価169.2円/km=11,467円
注)運送原価はハイヤー・タクシー年鑑2004による
 一般のタクシー原価とジャンボタクシーの運賃割合(720円/580円)
 ただし、人件費は待合い時間についても発生するので、バス車輌と同様、人件費以外のコストについて削減できると考える。したがって、タクシー運送原価210.0円/kmに占める人件費は129.1円(61.5%)で、この分は減らないと考えると、32.8km×5便×人件費129.1円=21,172円(A)変動部分が25.1km×2.2便×80.9円/km=4,468円(B)、
(A)+(B)計25,640円
8,800円/日(25%)を節約
 
 
実質的な運送コストの21〜25%を節約したと推定される。
 
※予約センターコストとして別途20%程度のコストが発生している。運送規模が大きければ、節約率は高くなる。







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