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第4章 福地村の生活交通モデルと実験案の作成
4-1. 生活交通モデルの考え方
 公共交通ニーズを踏まえ、生活交通モデルと実験案を作成する。
 
(1)ユニバーサルサービス実現のための複数の公共交通モードの運行
 既存の公共サービス利用が不便な地区のモビリティの改善に加え、移動困難者及び軽度の障害者が利用できるように、既存の公共交通に加えて、コミュニティ型公共交通サービス(コミュニティバスや乗合タクシー)の導入を検討する。
 また、上記でカバーしきれない車椅子やストレッチャーの利用が必要となる移動困難者に対し、ドア・ツー・ドアサービスを基本とする移送サービスの活用を検討する。
 以上、複数モードの組み合わせによりユニバーサル・サービスを実現していく。
[・複数の公共交通モードの組み合わせによるユニバーサル・サービスの実現]
 
(2)基幹路線と村内アクセス路線の設定
 生活の中心が八戸に向いていることを踏まえ、八戸市までの基幹路線を強化する。限られた需要を束ねながらより高いサービス(運行本数)の確保を図るため、福地村〜八戸間の基幹路線とそれへの村内アクセス線を設定する。
 特に、現在の青い森鉄道と国道104号を使った路線バス及び、福地村〜八戸間のDRT導入路線について基幹路線と位置付け、これらと結ぶ村内の路線を村内アクセス線と設定する。
[・八戸市〜福地村の基幹路線の強化]
[・基幹路線(青い森鉄道、既存路線バス、基幹とするDRT路線)]
[・基幹路線とつながる村内アクセス線の設定]
 
(3)利用しやすく快適な公共交通サービスの提供
 利用しやすい公共交通サービスを提供するため、基幹路線と村内アクセス路線の乗継ぎ利便性向上を図る他、終バス時間の繰り下げや、ワンコイン運賃(100円玉、500円玉)以内の運賃設定を検討する。
 また、快適なコミュニティ空間を提供できるユニバーサル車両導入について検討する。
 
[・乗継ぎ利便性の向上]
[・ワンコイン運賃の検討(八戸〜福地間500円以内、福地村内100円)]
 DRTは、路線バスの支線部分のサービス統合や村内各施設へのアクセス交通も兼ねるものとする。また、今後、福祉バスやスクールバス等との統合を検討し、可能な公共交通の構築を目指す。
 生活交通モデルの検討を踏まえ、実験案を作成する。
 
(1)実験案の基本コンセプト
[(1)村内における公共交通のサービス範囲の拡大]
→路線バスの「枝線」のサービスを受け持つとともに、村内施設間の連絡を図ることを目指しながら、村内全域をサービスエリアとする公共交通システムとしてDRTの導入を図る
 
[(2)八戸市と村内の生活交通への対応]
→DRTに八戸市までの公共交通サービスの強化をはかる。特に、通院、買物目的の移動ニーズへの対応を図る。
→幹線である南部バス「八戸〜三戸線」(17往復/日)との接続性を高め、あわせて公共交通全体の利用を促進する。
 
[(3)福祉交通・潜在交通ニーズへの対応]
→アクセシブルな車両の投入(ユニバーサル車両)を図る。
→公共交通サービス水準をあげ、外出を誘発させる。
 
[(4)持続可能な公共交通の実現]
→タイムシェアリング等の工夫や村内の既存公共交通サービスの統合による財政負担の軽減、費用対効果の拡大を図る。
→移送サービスの予約システム共有化による負担軽減を図る。
→バスの利用者を増やすことによって、より自立的な交通サービスを指向することも検討する。
 
<参考1: 現況の福地村公共交通とDRT交通でのカバー範囲の拡大(将来統合も視野に検討)>
 
 
<参考2: タイムシェアリング例>
 
 

ユニバーサルサービス:障害者、高齢者などすべての人が等しく受けられるサービス
DRT(Demand Responsive Transport):利用者の需要(Demand)に応じ、比較的小型の車両(定員4〜20名)で運行する公共交通自動車利用者に、自動車利用法や移動手段、利用時間帯や経路などの変更を促す戦略。







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