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第8章 運航の中止
(運航中止)
第16条 船長は、気象・海象が一定の条件に達したと認めるとき又は達するおそれがあると認めるときは、運航中止の措置をとらなければならない。
2 船長は、発航の中止に係る判断が困難であると認めるときは、運航管理者と協議するものとする。
3 前項の協議において両者の意見が異なるときは、発航を中止しなければならない。
4 船長は、運航中止の措置をとったときは、速やかに、その旨を運航管理者に連絡しなければならない。
5 運航中止の措置をとるべき気象・海象の条件及び運航中止の後に船長がとるべき措置については、運航基準に定めるところによる。
(運航管理者の指示)
第17条 運航管理者は、運航基準の定めるところにより発航が中止されるべきであると判断した場合において、船長から発航を中止する旨の連絡がないとき又は発航する旨の連絡を受けたときは、船長に対して発航の中止を指示しなければならない。
2 運航管理者は、いかなる場合においても船長に対して発航、基準航行の継続又は入港を促し若しくは指示してはならない。
(運航管理者の援助措置)
第18条 運航管理者は、船長から臨時寄港する旨の連絡を受けたときは、当該寄港地における使用岸壁の手配等適切な援助を行うものとする。
 
(運航管理者の措置)
第19条 運航管理者は、次に掲げる事項を把握し、(4)及び(5)については必ず、その他の事項については必要に応じ船長に連絡するものとする。
(1)気象・海象に関する情報
(2)港内事情
(3)陸上施設の状況
(4)水路通報、港長公示等官公庁の発する運航に関する情報
(5)乗船した旅客数
(6)乗船待ちの旅客数
(7)船舶の動静
(8)その他、航行の安全の確保のために必要な事項
(船長の措置)
第20条 船長は、次に掲げる場合には必ず運航管理者に連絡しなければならない。
(1)発航前検査(点検)を終えたとき
(2)運航基準に定められた地点に達したとき
(3)事故処理基準に定める事故が発生したとき
(4)運航計画又は航行の安全に係わりを有する船体、機関、設備等の修理又は整備を必要とする事態が生じたとき
2 船長は、次に掲げる事項の把握に努め、必要に応じ運航管理者に連絡するものとする。
(1)気象・海象に関する情報
(2)航行中の水路の状況
(運航基準図)
第21条 運航管理者は、船長と協議して運航基準図を各航路及び各船舶ごとに作成しなければならない。
2 運航基準図に記載すべき事項は運航基準に定めるところによる。
 
(作業体制)
第22条 運航管理者は陸上従業員の中から陸上作業員を、船長は乗組員の中から船内作業員を指名する。
2 運航管理者は陸上作業員の中から陸上作業指揮者を、船長は船内作業員の中から船内作業指揮者を指名する。
3 陸上作業指揮者及び船内作業指揮者は、それぞれ陸上作業及び船内作業を指揮するとともに、両者緊密な連携の下に輸送の安全の確保に努めなければならない。
4 作業員の具体的配置、陸上作業指揮者及び船内作業指揮者の所掌、その他の作業体制については作業基準に定めるところによる。
(危険物等の取扱い)
第23条 危険物その他の旅客の安全を害するおそれのある物品の取扱いは、法令及び作業基準に定めるところによる。
(旅客の乗下船等)
第24条 旅客の乗下船及び船舶の離着岸時の作業については作業基準に定めるところによる。
(発航前点検)
第25条 船長は、発航前に船舶が航海に支障ないかどうか、その他航海に必要な準備が整っているかどうか等を点検しなければならない。
(船内巡視)
第26条 船長は、別紙「船内巡視実施要領」に従い乗組員をして旅客室その他必要と認める場所を巡視させ、法令及び運送約款に定める旅客等が遵守すべき事項の遵守状況その他異常の有無を確認させなければならない。
2 船内巡視員は、異常を発見したときは船長の指示を受けて所要の措置を講じなければならない。ただし急を要する場合であって船長の指示を受ける時間的余裕がないときは、適切な措置を講ずるとともに速やかに船長に報告するものとする。
3 船内巡視員は、異常の有無(安全確保上改善を必要とする事項がある場合の当該事項を含む。)を船長に報告し、巡視結果を巡視記録簿に記録するものとする。
(旅客等の遵守すべき事項等の周知)
第27条 運航管理者及び船長は、法令及び作業基準に定めるところにより、陸上及び船内において旅客等の遵守すべき事項及び注意すべき事項の周知徹底を図らなければならない。
(飲酒の制限等)
第27条の2 乗組員は、飲酒等により正常な当直業務ができないおそれがある間は、当直を実施してはならない。
2 船長は、飲酒等により正常な当直業務ができないおそれがある者に当直を実施させてはならない。
 
(船舶検査結果の確認)
第28条 運航管理者は、船舶が法令に定める船舶検査を受検したときは、当該検査の結果を確認しておくものとする。
(船舶の点検整備)
第29条 船長は、船舶の船体、機関、諸設備、諸装置等について、点検簿を作成し、それに従って、原則として毎日1回以上点検を実施するものとする。ただし、当日、発航前検査を実施した事項については点検を省略することができる。
2 船長は、前項の点検中、異常を発見したときは、直ちにその概要を運航管理者に報告するとともに、修復整備の措置を講じなければならない。
(陸上施設の点検整備)
第30条 運航管理者は、陸上施設点検簿に基づいて、毎日1回以上、係留施設、乗降用施設等について点検し、異常のある個所を発見したときは、直ちに修復整備の措置を講じなければならない。
 
(事故処理にあたっての基本的態度)
第31条 事故の処理にあたっては、次に掲げる基本的態度で臨むものとする。
(1)人命の安全の確保を最優先とすること。
(2)事態を楽観視せず常に最悪の事態を念頭におき措置を講ずること。
(3)事故処理業務は、すべての業務に優先して実施すること。
(4)船長の対応措置に関する判断を尊重すること。
(5)陸上従業員は、陸上でとりうるあらゆる措置を講ずること。
(船長のとるべき措置)
第32条 船長は、自船に事故が発生したときは、人命の安全の確保のための万全の措置、事故の拡大防止のための措置、旅客の不安を除去するための措置等必要な措置を講ずるとともに、事故処理基準に定めるところにより、事故の状況及び講じた措置を速やかに運航管理者に連絡しなければならない。この場合において第三者の助言又は援助を必要と認めるときは、併せて海上保安官署等への連絡を行わなければならない。
2 船長は、自船が重大かつ急迫の危険に陥った場合又は陥るおそれがある場合は、直ちに遭難通信(遭難信号)又は緊急通信を発しなければならない。
(運航管理者のとるべき措置)
第33条 運航管理者は、船長からの連絡等によって事故の発生を知ったとき又は船舶の動静を把握できないときは、事故処理基準に定めるところにより必要な措置を講じなければならない。
(事故の処理)
第34条 事故の処理は、事故処理基準に定める事故処理組織により行うものとする。
(通信の優先処理)
第35条 事故関係の通信は、最優先させ、迅速かつ確実に処理されなければならない。
(関係官署への報告)
第36条 運航管理者は、事故の発生を知ったときは、速やかに関係運輸局等及び海上保安官署にその概要及び事故処理の状況を報告しなければならない。
(事故調査委員会)
第37条 理事長は、事故の原因及び事故処理の適否を調査し、事故の再発の防止及び事故処理の改善に資するため、必要に応じ事故調査委員会を設置するものとする。
2 事故調査委員会の構成は、事故処理基準に定めるところによる。
(事故の原因等の調査)
第37条 運航管理者は、事故の原因及び事故処理の適否を調査し、事故の再発の防止及び事故処理の改善を図るものとする。
 
(安全教育)
第38条 運航管理者は、運航管理補助者、陸上作業員及び乗組員に対し、運航管理規程(運航基準、作業基準、事故処理基準及び地震防災対策基準を含む。)、船員法及び海上衝突予防法等の関係法令その他輸送の安全を確保するために必要と認められる事項について安全教育を実施し、その周知徹底を図らなければならない。
2 運航管理者は、航路の状況及び海難その他の事故例を調査研究し、随時又は前項の教育に併せて乗組員に周知徹底を図るものとする。
(操練)
第39条 船長は、法令に定める操練を行ったときは、その実施状況を運航管理者に報告するものとする。
(例2)(訓練)
第39条 運航管理者は、年1回以上事故処理に関する訓練を実施しなければならない。
(記録)
第40条 運航管理者は、前2条の教育及び訓練を行ったときは、その概要を記録簿に記録しておくものとする。
 
(運航管理規程等の備付け)
第41条 運航管理者は、運航管理規程(運航基準、作業基準、事故処理基準及び地震防災対策基準を含む。)及び運航基準図を船舶、営業所その他必要と認められる場所に備付けなければならない。







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