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自閉症・発達障害の行動評価チェックリストとマニュアル2004

 事業名 自閉症児者のための環境整備推進
 団体名 日本自閉症協会 注目度注目度5


PARS紹介&啓発セミナー(スペシャリスト向け講習会)の必要性と成果
(1)講習会段階での集計から見えてくるもの
 以下に、会場別の参加者のデータについてのまとめを示す。今回、PARSの講習会の必要性と、現在の乳幼児健診など、発達支援の現場に参加する専門家の現状について述べていきたい。会場ごとの結果については、この章の最後の基礎集計結果を参照いただきたい。
 
(1)乳幼児健診の経験年数、1歳半健診と3歳健診での把握の自信
 乳幼児健診については、福岡会場ではいなかったほか、名古屋と旭川で半数ほど、大阪で60%程度、横浜では多くが乳幼児健診を経験していた。
 しかし、1歳半健診で自閉症を2分の1以上の確立で把握する自信のある専門家は多くはなく、特に保健師の推計だと名古屋、旭川、横浜とも60%程度、大阪で半数程度であった。3歳健診では、1歳半よりは自信のある専門家が増加した。乳幼児健診に関わる専門家の推計だと多くが2分の1程度の自信あるがあると述べている。
 
(2)研修の経験
 自閉症の診断に関する研修については、参加者のなかで10-30%が研修を受けたことがあり、内容は1-3時間の講演による研修が多数であった。これは非常に問題のある結果であり、健診担当者が参加者の半数以上いながら、この低い研修経験頻度は、実際に研修の担当者が含まれているとすれば、診断についての基本研修もなく健診を担当しているということが言える。いくら健診が診断をするところではないとはいえ、診断についての基本的な知識なしで、健診や早期支援を担当することは本来、考えられないわけで、日本の健診の実情のひどさや、PARSのようなスクリーニング・ツールの必要性が明らかになったとも言えよう。
 支援については、40-60%の参加者が研修を受けたことがあり、講習や研修会、具体的な例としては、TEACCHなどがあげられた。支援についての研修を受けることは重要だが、先にあげた診断(アセスメント)についての研修経験の少なさとの対比を考えると、適切な支援になっているのかどうか、疑問が残る結果となっている。
 
(3)広汎性発達障害についての理解
 今回の結果は、衝撃的なものである。実際に自閉症や発達障害と関わっている専門家たちの基礎知識で正解となったものの割合が26-48%と、半数を下回っていた。先の、診断に関する研修の低さと伴い、基本的に自閉症や広汎性発達障害についての知識を有していない専門家が健診や支援に関わっているという実態が明らかになった。特に、今回、休日などの実施会場もあり、研修意欲の高い、熱心な専門家が参加してこの結果だということ、あるいは、横浜や名古屋など比較的専門家が多く存在している地域での実施が含まれることを考えると、国内全体では、非常に低い割合でしか専門家も理解していないという実態が明らかになった。実際の、この程度の基礎知識の専門家しかいないで実際の健診や支援が行われているのは驚くべきことで、いかに今まで発達障害児者の支援が軽んじられてきたかを明示するものだと言えよう。一般を対象とした実態調査での理解度と大きな違いが見られなかった。この国での専門性の低さを示すものであると言えよう。
 
(4)支援の可能性・健診での自閉症への意識
 会場ごとでのばらつきがあったが、半数の参加者については、3歳までには支援が可能であると回答している。1歳台からの支援を意識している参加者が多かった会場と、そうでもない会場とがあった。参加者の職種がある程度関係している可能性も示唆された。
 早期診断の意義については、早期支援・早期療育につなげられることの意義と、障害理解を早期から取り組めることが全ての会場で多く、60%以上の参加者が回答していた。早期療育についても同様の回答が見られた。
 
(5)発達障害のスクリーニングの難しさ
 乳幼児健診の、時間や会場の制限や、非日常性など以外に、個性との区別をつけにくいことや、親の認識不足、決定打がないことなどが10%程度ずつあげられた。一方で、専門家自身の勉強不足をあげる参加者もいた。先にあげた、診断に関連する研修の乏しさから考えると、十分な判断ができないことは致し方ないことだとも考えられるが、スクリーニングの難しさを親の認識不足とすることは、適切だとは思えない。
 
(6)家族支援の難しさ
 障害受容の難しさ・受け入れのなさをあげる参加者が多く、会場での差はあるが最大の要因としてあげられた。それ以外には、親のタイプの見極めの難しさや、正しい知識を親が有していないことの問題もあげられた。地域での支援状況の問題もあげられ、障害=ハンディキャップというイメージを専門家側も持っている可能性が回答からは感じられた。子どもの発達をどう促進していくかについての知識とノウハウがない場合に、支援が特に難しくなっていくとも考えられる。
 
(7)健診などに必要と考えられるスクリーニング・ツールについて
 スクリーニングに必要なスクリーニング・ツールとして、チェックリストなどが必要なものとしてあげられた。その他、研修の必要性もあげられた。今回の講習のような、実際のスクリーニング・ツールを通した研修は非常に現場から求められているものであることが明らかになった。
 
(8)児童・思春期症例の経験
 児童期までは関わりの経験があるものの、思春期以降の場合、会場ごとでの差はあるものの、経験をもっていないことが明らかになった。児童期や思春期・成人期症例の経験がないことは、その後の支援の結果を知らないことにつながり、支援において何が必要かを考える契機をもたないことにつながる。研修において考えておくべき問題だと考えられる。
 
(9)民間団体との協働
 概ね、民間団体との協働の意義は感じているものの、休日の実施になること、有料になること、出張扱いにならないことなど、公務員が参加することの難しさがあげられた。
 
(10)その他
 専門機関や専門家の不足が多くあげられた。しかし、これも従来の医療モデルによる健診などでの、自分たちが支援を続けるのではなく、次の機関の紹介していくというモデルに基づく考えであるとも言える。地域の中で支援するモデルの中で、自分自身が専門家としてどのように機能するかという観点を再度確認していく必要があるであろう。
 
(11)全体を通して
 今回、自分で参加申し込みをしてきた熱心な専門家対象であるという前提にもかかわらず、かなり示唆深い結果が見られた。
 まず、実際に乳幼児健診や、実際の保育・療育や教育に関わっている専門家でありながら、全体の10-20%の方しか診断に関する研修を受けたことがないことが明らかになった。診断が医師がするものとなっているので、医師以外のパラメディカルの専門家の研修が少ないという事情はあるにしても、今回の結果は明らかに、アセスメントという、支援の前提となる部分の研修が欠けていることが明らかになった。そうした前提であるので致し方ないとも言えるが、約半数の参加者は広汎性発達障害についての基礎理解において正しい理解を得られていなかった。
 これらのことを、それ以外の結果と対比して考えていくと、実際に利用可能なスクリーニング項目などを通して、診断的な内容はまずは研修していくことが緊急の課題であることが浮かび上がった。







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