日本財団 図書館


(2)土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」(高知県)
 
 
事業経緯
・土佐くろしお鉄道は、昭和61年設立の第3セクター。旧国鉄から引き継いだ中村線(窪川〜中村)および平成9年開業の宿毛線(中村〜宿毛)と、平成14年に開業したごめん・なはり線(後免〜奈半利)からなる。
・ごめん・なはり線は高知県東部の交通事情の改善を目的に南国〜室戸間の鉄道事業として長年にわたり取組がなされ、途中、中断や計画変更等を経て、日本最後のローカル新線として開業した。営業距離42.7km、駅数20で、普通列車および快速列車の運行となっている。
 
利用促進策
○地域を挙げた支援
・沿線15市町村で基金を募り、「ごめんなはり線活性化協議会」を組織して支援を行っている。県も観光で東部に活力を与えようということで、ごめんなはり線をきっかけにしようと様々な取組を行っている。
・また、「NPO法人ごめん・なはり線を支援する会」が、利用促進と地域の連携、活性化を図っている。
 
<NPO法人ごめん・なはり線を支援する会>
事務局:高知市内
主な活動:○ごめん・なはり線を活用した地域づくりやイベントの支援
○ごめん・なはり線を活用したイベントの実施
○ごめん・なはり線友の会の運営
・友の会の会員(年会費\2,000)の特典として、沿線施設や飲食店などの協力店での料金割引や粗品提供等のサービスを実施している。
・沿線ウォークなどの各種イベントを年数回実施している。
 
○観光目的の乗車
・高架部分が多く、視点が高いので景色が良い。このため、ツアーなどの観光客の乗車も多い。
・オープンデッキの車両2両を導入し、1日2往復している。
・観光客は、夜須(道の駅あり)〜安芸(駅前ロータリー有)間の乗車が多い。(約10km)
・夜須駅に併設している道の駅「ヤシーパーク」は、車と鉄道の両方からアクセスが可能な施設で、飲食などの商業施設と、芝生広場や海水浴場などの複合的な公園になっており、人気が高い。
 
オープンデッキ付き車両
 
○「やなせたかし」の協力
・開業以来、キャラクター作りに高知県出身の漫画家やなせたかしが協力し、路線と沿線のイメージアップに大きな役割を果たしている。
・キャラクターは各駅毎に一人づつ作られ、駅や車両にデザインされている他、各種印刷物に活用されている。
・絵本の出版、着ぐるみイベントの実施など、様々な活用がなされている。
 
後免駅のキャラクター
 
○沿線利用者
・沿線の利用者は多いが、(普通列車しか運行されていないので)赤字となっており、協議会が2〜3千万円程度補填している。
・平成15年は開業景気で観光客の利用が多かったが、16年は少ない。その分、定期利用者が増えている。特に、南国市に隣接する野市町から高知市への通勤通学客が多く、朝晩は増結が必要な程になっている。
・定期:定期外は、およそ1:2。定期の内、通学は6割程度となっている。
・各駅に自治体が無料の駐車場を整備している。パークアンドライドで通勤している人も結構いる。
・安芸駅や田野駅では、物産市を行い、多くの売上げがある。
 
○フリーきっぷ
・JR四国で今年度より、「安芸・室戸フリーきっぷ」を発行している。
・JR四国(高知〜後免)、土佐くろしお鉄道ごめんなはり線、高知東部交通バスが2日間乗り降り自由で、価格は3,000円となっている。
・当初は利用が少なかったが、次第に浸透し、月間150枚程度の販売実績となっている。
 
 
 
 
(詳細は資料編参照)
取組例 鉄道
NPOによる支援・応援団組織 上田交通
しなの鉄道
鹿島鉄道
樽見鉄道
無料貸し出し自転車の設置 上信電鉄
パークアンドライドの駐車場経営 神戸電鉄
施設とのセット券の発売 会津鉄道
長良川鉄道
JR西日本
列車の相互直通化 会津鉄道
列車内でのインターネット接続サービス 山形鉄道
沿線に花の植裁 いすみ鉄道







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION