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4. スロープ・ステップ切替式タラップの普及・導入等に対する考え方
(1)スロープ・ステップ切替式の普及について
 スロープ・ステップ切替式の普及に対する考え方を聞いたところ、「姫島港以外への普及は期待しにくい」との回答は1人(3.6%)で、それ以外の27人(96.4%)は「姫島港以外にも九州各地や全国への普及が期待される」と回答している。
 
図4-4-1 普及に対する考え方(n=28)
 
 「姫島港以外にも九州各地や全国への普及が期待される」と回答した人に対してその理由を聞くと、「取り扱いが容易であり、作業係員への負担が小さい」が20人(74.1%)、「潮位や船舶に合わせて、適切な方式に切り替えることができる」が18人(66.7%)、「構造が簡素であり、動力も不要なため、設置・運用コストが小さい」が14人(51.9%)などとなっている。「岸壁背後の用地が狭くても利用することができる」をあげた人は、4人(14.8%)であった。図4-4-3は普及が期待される理由を回答者の所属機関別にみたものである。
 
図4-4-2 普及が期待される理由(複数回答 n=27)
 
図4-4-3  普及が期待される理由・所属機関別(複数回答 n=27)
 
 一方、「姫島港以外への普及は期待しにくい」と回答した人にその理由を複数回答で聞いたところ、「切替式タラップの利用に適した港湾・船舶が少ない」ことや、「従来のタラップよりも設置コストが大きくなることが予想される」ことのほか、「コストを下げることが要」との回答が得られた。
 
(2)スロープ・ステップ切替式の導入について
(1)海運事業者・市町村
 海運事業者及び市町村に所属する人(13人)にスロープ・ステップ切替式タラップの導入に関する考え方を聞いたところ「ぜひ導入したい」との回答はなく、「導入は考えにくい」の6人(46.2%)が「導入を検討する可能性がある」の4人(30.8%)を上回っている。
 導入が考えにくい具体的な理由をみると、船の規模が大きかったり小さかったりするため切替式タラップが合わないことや、スロープ時に補助者が必要となること等があげられている。また「その他」(1人)では、車いすでの利用に問題があると指摘されている。
 普及の可能性では九州各地や全国への導入が期待されるとの回答が9割以上を占めたが、実際の導入にあたっては解決すべき課題が個々に存在することがわかる。
 
図4-4-4 導入に関する考え方(複数回答 n=13)
 
<導入が考えにくい理由>
・ステップは良いがスロープはバリアフリーとしては補助者が3人程必要と思われる。(海運事業者)
・もっとシンプルが良い。(海運事業者)
・船舶自体にタラップを搭載している。(海運事業者)
・大型フェリーのため。(海運事業者)
・船体が小さくスロープが逆。(市町村)
<その他>
・バリアフリー、特に車いすの場合の角度の問題あり。(海運事業者)
 
(2)国、地方公共団体及び公益法人
 国、地方公共団体及び公益法人に所属する人(15人)に対して導入促進に関する考え方を聞いたところ、「切替式タラップの導入を促進する広報・啓発活動について検討したい」が8人(53.3%)、「切替式タラップの導入を促進する補助制度について検討したい」が3人(20.0%)であった。これを回答者の所属機関別にみたものが図4-4-6である。広報・啓発活動については国・公益法人及び県の取組み意向が高く、補助制度の検討については市町村の取組み意向がやや高い。
 
図4-4-5 導入促進に関する考え方(複数回答 n=15)
 
図4-4-6  導入促進に関する考え方・所属機関別(複数回答 n=15)
 
(3)普及・導入に向けて改善が求められる点
 新型タラップの普及・導入に向けてさらに改善が求められる点として、以下のような意見があげられた。最も多いのはコストを下げることが6件で、そのほか、雨よけ対策として屋根を設置することやさらにバリアフリーな構造を求める意見等があげられている。
 
さらに改善が求められる点(自由回答) 所属機関
■コスト面(6件)
もっと安くできないか。 国・公益法人
コストダウンができないか。 国・公益法人
コストダウンが要。 国・公益法人
コスト、如何によって普及すると思われる。 海運事業者
価格面。 海運事業者
低価格化。 市町村
■雨よけ対策として、屋根などの設置(2件)
シェルター付き。 市町村
雨の日でも対応できるように屋根などがつけばもっといいのではないか(素人考えですが)。 その他
■各港の潮位差への対応(2件)
干満の差とスロープの長さについて考えたい。 市町村
他の離島で沢山の港に寄港する航路があり、それぞれに潮位(岩壁の高さ)が異なる場合があるため、タラップの長さ傾斜等の検討が必要と考える。 市町村
■さらなるバリアフリー化への対応(3件)
第1(最初)タラップ部分がもう少し低くならないか(できれば15cm〜20cmぐらい)。 国・公益法人
車イスの乗降には補助者が必要であることから、安全面での改良がさらに必要ではないか。
交通バリアフリー法にどう対処するか。 海運事業者
■その他、タラップに関する改善点(1件)
強度及び保全の面で要検討。 海運事業者







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