日本財団 図書館


第4章 海運事業者・関係行政機関等へのアンケート調査結果
1. 調査の概要
 新型タラップを今後各地に普及拡大していくためには、海運事業者や関係行政機関からみた導入の効果や意向、条件等を把握することが重要であるため、海運事業者や関係行政機関等の関係者に対してアンケート調査を実施した。
 調査は、4月21日(水)に行われた新型タラップの見学会・お披露目式において実施した。調査票は受付で出席者に直接配布し、見学会・お披露目式終了後に記入済み調査票を回収する自記式とした。
 見学会・お披露目式では、海運事業者や関係行政機関の関係者はタラップの移動方法やステップとスロープの切替方法等について説明を受けるとともに、タラップを急勾配に固定したままステップとスロープ両方に試乗した。
 配布29人に対し、回収状況は、有効回答数28人、回収率96.6%である。
 
【調査対象】
・新型タラップの見学会・お披露目式に出席した海運事業者及び関係行政機関の関係者29人
【調査方法】
・調査票を受付で直接配布し、記入済み調査票を回収する自記式
【調査日】
・2004年4月21日(水)、天候は晴れ
【回収状況】
・有効回答数28人、回収率96.6%
 
 アンケート回答者を所属機関によって、国・公益法人、県、市町村、海運事業者、その他に分類し、その割合をみたものが図4-2-1、所属機関を一覧したものが表4-2-1である。なお今回参加した市町村はすべて定期航路事業を営んでいる。
 
図4-2-1 アンケート回答者の所属機関(n=28)
 
表4-2-1 所属機関の一覧
  所属機関
国・公益法人
(6人)
九州運輸局
(財)交通エコロジー・モビリティ財団
(社)博多港振興協会

(4人)
長崎県
熊本県
大分県
鹿児島県
市町村
(5人)
福岡市
福岡県大島村
唐津市
鹿児島県十島村
海運事業者
(8人)
九州郵船(株)
九州商船(株)
西海沿岸商船(株)
江崎汽船(株)
マリックスライン(株)
大島運輸(株)
甑島商船(株)
その他
(5人)
九州旅客鉄道(株)
(有)吉川造船所
(有)橋口製作所
日本海事新聞社
注)( )内は出席者数を示す。一つの所属機関からの出席者が複数いる場合は、出席者数と所属機関数は一致していない。
 
(1)ステップ使用時(急勾配時)の評価
 ステップ(階段)として利用するとき、利用しやすいと感じるかどうか聞いたところ、「大変利用しやすい」が17人(60.7%)、「やや利用しやすい」が11人(39.3%)で、「やや利用しにくい」、「大変利用しにくい」と回答した人はいなかった。
 
図4-3-1 ステップ(階段)の使用感(n=28)
 
 ステップとして利用するときに利用しやすい点、しにくい点について複数回答で回答を求めたところ、「ステップ(階段)式のため、踏み台が水平で、スロープより危険や怖さが少ない」が20人(71.4%)で最も多く、ついで「潮位が高いときもタラップが利用でき、車両甲板に回らなくて済む」が9人(32.1%)となっている。また「その他」と回答した人の具体的な意見として、「ステップの幅が広く利用しやすいと思った」、「揺れがあるとき、安全に利用できるか?」との意見があげられた。
 利用者アンケート調査においてステップ時に以前と比べて利用しやすい点、しにくい点をたずねた結果とこれを比べると、利用しやすくなった点として、踏み台が水平になることで危険や怖さが少ない点を評価する人の割合が高いことが共通している。
 
図4-3-2  【ステップ】利用しやすい点、しにくい点(複数回答 n=28)
 
<利用しやすい点>
・ステップの幅が広く利用しやすいと思った。(その他)
<利用しにくい点>
・揺れがあるとき、安全に利用できるか?(県)
 
(2)スロープ使用時(緩勾配時)の評価
 次にスロープとして利用するときに利用しやすいと感じるかどうか聞いたところ、「やや利用しやすい」が15人(53.6%)、「大変利用しやすい」が5人(17.9%)で合わせて約7割を占めている。しかしステップ時には回答のなかった「大変利用しにくい」や「やや利用しにくい」もそれぞれ2人(7.1%)、6人(21.4%)おり、両者を合わせると約3割を占めている。見学会・お披露目式ではタラップの角度を急勾配に固定したままスロープとステップを切り替えてそれぞれに試乗したことから、急勾配の場合にはスロープよりステップの方が利用しやすいと感じた人が多いことがわかる。
 
図4-3-3 スロープの使用感(n=28)
 
 スロープとして利用するときに利用しやすい点、しにくい点について複数回答で回答を求めたところ、「タラップの幅が広いので、利用しやすい」が最も多く14人(50.0%)のほか、「つぎ目に段差がないので、利用しやすい」が12人(42.9%)、「タラップの床がすべりにくいので、利用しやすい」が10人(35.7%)となっている。
 「その他」(6人)の具体的な意見では、潮位が高くタラップの傾斜がきつい場合には利用しにくいことや、危険を感じることなどが指摘されている。
 
図4-3-4  【スロープ】利用しやすい点、しにくい点(複数回答 n=28)
 
<利用しやすい点>
・潮位がないときのスロープは有効。(国)
<利用しにくい点>
・傾斜がきつくなるとやや大変と思われる。潮位が上がる。(公益法人)
・傾きが急だと利用しづらい。(国)
・傾斜がきつく、危険を感じた。(国)
・傾斜に問題あり。(国)
・傾斜が急な場合、車いす等での利用はむしろ大変なようにも感じた。(その他)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION