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海と空のコーナー
物流の効率化や地域再生、観光立国などを支える「みなとづくり」への取組み
〜地域の特性や資源を最大限に活かす「みなとづくり」「みなとまちづくり」を支援〜
国土交通省九州地方整備局 唐津港湾事務所
 
 佐賀県は九州の北西部に位置し、北は玄界灘、南は有明海に面しています。海岸線は延長約350kmに及び全国海岸線の総延長の1・2%に相当し(40都道府県中31番目)、県北部の玄界灘に面する松浦沿岸約250kmと県南部の有明海沿岸約100kmで構成されます。北部の玄界灘側は、リアス式海岸となっていて、天然の入江を利用した良港が発達しており、東京までの直線距離は900km、大阪までは500kmであるのに対し、朝鮮半島までは約200km足らずという位置関係にあり、古くから北部九州の海の玄関口としての役割を果たしています。一方南部の有明海側は6mに及ぶ干満差のために干潟が広がり、河口を中心とした港湾が多くなっており、海上連絡、水産物の荷揚げなど地域に密着した利用がなされています。
 
佐賀県内の港湾
 
 九州地方整備局唐津港湾事務所は佐賀県各港湾を所管し、玄界灘側にある重要港湾の唐津港及び伊万里港、避難港の呼子港の整備を行ってきました。
 
◇「唐の津」と呼ばれた港!〜唐津港〜
 唐津港は、玄界灘を経て日本海に面し、佐賀県における北部海岸の玄関口としてその役割を果たしており、その昔から大陸との交流が盛んな地で、大陸を意味する「唐」(韓)、港を意味する「津」から「唐の津」と称されたことに由来しているといわれています。市内には日本で最初に稲作が伝わったといわれる菜畑遺跡を始め、多くの史跡が点在しており、ここから大陸の文化が取り入れられ、伝わっていったと考えられています。
 
唐津港全景
 
 また、茶人に「一楽、二萩、三唐津」といわれるほど愛されている唐津焼。唐津焼は佐賀県の西部から長崎県一帯で焼かれた陶器で、陶工たちがこの地で焼き物を始めたのが室町末期、その後豊臣秀吉が朝鮮から多くの陶工たちを日本に連れて帰り現在のような唐津焼になり、唐津港から出荷されたのがその名の由来ともいわれている歴史ある港です。
 近代においては、石炭の積出港、世界航路の寄港地として大いに栄え、水産基地としても全国第2位の水揚げ高を誇っていました。
 
◇人々が集い賑わう「里浜」を目指して
〜唐津里浜づくり推進協議会設立〜
 唐津湾沿岸は、日本三大松原にも数えられる「虹ノ松原」をはじめとする美しい白砂青松や湾内に浮かぶ島々、海辺に構える唐津城など、豊かな自然や景観を持った地域です。
 その中でも唐津港海岸(西ノ浜)は「うみ」と「まち」の接点ともなる重要な場所であり、かつては有名な「唐津くんち」の曳山がひきこまれた場所でもあります。最近は花火大会、イカダ大会、海上運動会、火陶祭、クリーンアップなど、人と海がふれあえる各種イベントの舞台となっていますが、これまでは特に連携もなく個別に行われていたため、個々には魅力的な素材ですが、多様で豊かな「海辺と人々のつながり」としての活用は十分とは言い難い状況でした。
 
西ノ浜が賑わう花火大会
 
 そこで、各種イベントの実施主体等の「里浜づくり」有志、地元行政等で構成される「唐津里浜づくり推進協議会」が平成16年10月に設立されました。「里浜づくり」という共通テーマのもと、各イベント等の協力連携を図り、唐津の浜の利活用・賑わいづくりを推進することを決めました。関係者の中からは以前からこの様な場が欲しかったとの声もあり、地元の海や浜に対し強い愛着をもった方々が多数おられる様です。
 
西ノ浜で開催されたイカダ大会
 
 唐津港湾事務所としても本協議会の今後の活動、運営について積極的に支援する考えです。
 
◇「みなとまちづくり」への挑戦!
〜唐津みなとまちづくり懇話会〜
 唐津港の現在の港湾計画は目標年次に達したことから、港湾管理者である佐賀県が新しい計画(長期構想)づくりに着手しました。
 
唐津みなとまちづくり懇話会
 
 唐津は「まち」と「みなと」が一体となって風光明媚な自然や歴史・文化の薫る唐津の魅力を醸し出しています。唐津港にはオリンピックでは数少ないヨットのメダリスト(歴代2人のうち1人)を輩出した素晴らしい海とヨットハーバーがあり、唐津城眼下に白い砂浜があり、特色ある松浦川河口部にも近接した独特な海辺・水辺の景観を有しています。今後東港には平成19年に壱岐フェリーが就航し、そのターミナル周辺には交流の拠点となる緑地も整備されます。この唐津港を核とした「みなとまちづくり」については地元が主体となって議論しようと、商工、水産、物流、観光、海洋スポーツなど各分野で活動する民間代表や地元行政、学識経験者などの「コア委員」と、地元商店街やまちづくりに取組む市民団体なども加わった「部会委員」の計37人により「唐津みなとまちづくり懇話会」を設立、さらに地域住民の代表者まで加わって懇話会を開催しています。本懇話会ではみなとまちの将来像や新港湾計画の素案づくりに取組み、さらには長期構想の具体化にむけた地域主体での取組みを調整・推進していく場として存続させていくことにしており、唐津港湾事務所としても積極的に支援しています。
 
西ノ浜現地視察







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