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海と空のコーナー
九州の玄関からアジアの玄関へ
〜新時代を築くグローバルネットワーク拠点づくりをめざして〜
国土交通省九州地方整備局 北九州港湾・空港整備事業所
 
 九州の北端に位置し、古くから交通の要衝となっていた北九州。500km圏内には大阪や韓国の大部分が入り、1,000km圏内には東京や中国北東部沿岸までが入るという、地理的優位性をもっています。
 九州地方整備局北九州港湾・空港整備事務所では、全国第4位の港湾区域面積を有する北九州港や、北九州空港の代替となる新北九州空港の整備をおこなっており、北部九州における交通ネットワークのさらなる発展をめざしています。
 
関門海峡をはさんで本州と接する北九州市
 
◇百年以上の歴史をもつ、アジアとの結節点 〜北九州港〜
 1889年(明治22年)に開港した東部の門司港は、最盛期には約200隻/月の外航客船が入港し、国内航路を含めて年間600万人近い乗降客数があるなど、国際貿易港として繁栄していました。背後の街には、商社や海運会社などをはじめ、商業施設や宿泊施設、門司港駅(旧門司駅)などが建ち並び、華やかに「みなとまち門司」を盛り上げていました。それから100年。現在では昔ながらの建物と新しい建物がうまく混ざり合い、新しくて懐かしい街、「門司港レトロ地区」として生まれ変わり、海と歴史にふれ合う憩いの空間としても親しまれています。
 また、西部の若松港は1904年(明治37年)に開港。背後に筑豊地方の炭田を抱え、官営八幡製鉄所が1901年に操業を開始するなど、アジア大陸との交流の結節点として我が国経済の発展を支えてきました。
 このように歴史と文化をも兼ね備えた北九州港。近年では、急激に経済成長を遂げるアジアヘの玄関口として重要な役割を果たし、西日本最大級の国際貿易港として、また国内物流の拠点港として、九州・山口地域の生活や産業・経済を支えています。
 
門司港レトロ地区
 
◇環黄海圏のハブポートをめざす「ひびきコンテナターミナル」
 平成7年6月、港湾審議会により、みなとづくり長期ビジョン「大交流時代を支える港湾」が策定されました。北部九州を含めた全国4箇所を中枢国際港湾として指定し、集中して整備することにより、港湾の国際競争力強化を図ろうというものです。それを受け、平成8年11月には北九州港の港湾計画を改訂し、平成9年12月より、響灘地区において「ひびきコンテナターミナル整備事業」に着手。西日本各地、及び中国北東部などの環黄海圏地域から発生する、北米・欧州向けコンテナ貨物の中継港(ハブポート)をめざして整備することとなりました。さらに、(1)日本一安い経費の港、(2)365日24時間稼働の港、(3)定時性・信頼性・効率性の高い港、を整備目標に掲げ、国際ターミナルとしての競争力を強化します。
 ひびきコンテナターミナルは、環黄海圏地域から、日本海、津軽海峡を通って太平洋へ抜けるルート(日本海ルート)上に位置しています。日本海ルートは、環黄海圏地域から北米へ向かう場合、太平洋ルートに比べ最大2日ほど早く、また関門航路の通峡制限を受けないため、国際航路ネットワークに組み込まれやすいなどの利点があり、今後の北米航路の主流となる可能性を秘めています。
 ひびきコンテナターミナル運営会社の中核出資者であるPSA社(シンガポール)は、海外10カ国15港で事業展開しており、世界中の船主や荷主とのネットワークを有している会社です。よって、ひびきコンテナターミナルはこのネットワークの一員として、グローバルな航路誘致・集貨戦略の展開が可能となります。とりわけ環黄海圏地域においては、PSA社が運営する大連港、仁川港のターミナルと連携して、ハブポートの地位を確立していくことが見込まれています。
 なお、ひびきコンテナターミナル第1期事業の供用開始は平成17年春。物流拠点都市、北九州の新時代へ向け、着々と準備を進めています。
 
ひびきコンテナターミナル
 
◇“みなと”と都心を結ぶ新たなアクセスルート「新若戸道路」
 北九州港響灘地区のひびきコンテナターミナル供用に伴い、北九州都心部や主要高速道路へ向かう交通量の増大が予想されます。そこで、響灘地区から戸畑・小倉方面への円滑な交通アクセスを確保するため、新たに洞海湾を横断する臨港道路として整備しているのが「新若戸道路」です。
 トンネル形式の新若戸道路は、幹線道路としての必要性が確認されたことにより、平成10年6月に「地域高規格道路」に指定されるとともに、平成11年12月には北九州市都市計画道路として認可され、港湾事業と道路事業の合併事業として整備することとなりました。
 新若戸道路の整備により、国際物流拠点となる響灘地区が、九州内や本州とを結ぶ高速道路と直接つながり、広域な背後圏の形成が可能となります。この新たなアクセスルートは、ひびきコンテナターミナルの定時性、高速性を確保するとともに、安全かつ効率的な市民生活にも寄与することとなります。
 
環黄海圏
 
新若戸道路







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